Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

乗ることより見つけること

2011年01月07日 | バリ

 バリは近年、車が増えて街中は慢性的に渋滞する。だからというわけではないが、車の間を縫って走るバイクの数も相当である。沖縄では成人すると車を持つ人が多く、家族によっては車三台、四台というのも珍しくはないのだが、バリでは車を複数もつなんて家はまだまだ大金持ちで、車を一台持っている家は、それ以外にバイクを数台というのが普通である。たいがい高校生になるとバイクを買ってもらうからだ。

 さて、そのバイクだが、排気量は原付が多い日本と違い、たいていは100から125CCで、どのバイクもきわめてカラフルである。日本のように単色で塗られているなんてバイクはたった一台も存在しない。そのバイクにのって高校生や大学生がショッピングセンターに買い物、デートにくるのだが、その数が驚くほど多く、どれもこれもバイクが似ているのである。
 日本の大型ショッピングセンターで車をどこに駐車したかわからなくなって探す人がたまにいるが、そんな比ではないのだ。数千台のバイクから自分のものを探さなくてはならない。しかも、私は友人からバイクを借りているから、それほど乗っているバイクに愛着があるわけではなく、「これだ」と見つけることが不可能である。一度だけ、まったくどこに置いたのかがわからなくなり、汗だくになって1時間近くバイクを探したころもある。そんな経験から、駐車したときに心の中で何度も復唱する。「何本目の柱の、消火栓が右にあって……」。しかしそれでも不安になる。バイクに安全に乗ることは最も重要なことであるが、と同時にバリではバイクを「見つける」こともまたとても大事なのである。(12月23日に記す)