Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ムーチー

2011年01月12日 | 家・わたくしごと

 沖縄では旧暦の12月8日にムーチーという菓子を食べ、無病息災を祈る。実は昨日の1月11日が旧暦の12月8日で、この日にあわせて、ムーチーをつくる家も多く、大学では学生たちが食べている光景を何度か目にした。専攻の教員が集まる部屋にも、ちゃんとムーチーが置かれていた。
 実は、このムーチーを私は食べることができない。なぜなら、この菓子は月桃とよばれる葉で蒸すのだが、私は基本的に強く香る香草系の匂いが苦手だからである。セロリもレモングラスもシャンツァイもことごとく苦手である。月桃の葉はこれらにまして匂いが強い。もう葉を開いただけで、匂いでむせてしまうのである。家に帰ると、家には近所の方からいただいたムーチーが置かれていた。かみさんと息子は好きなので、あっという間になくなるだろう。
 ところで、10日に息子が一日早いムーチーをスーパーで二個買ってきたそうである。一つは母親に、もう一つは自分のためだが、その事実は私なりにちょっと衝撃だった。沖縄で育った息子は、旧暦のこの時期とムーチーは切ってもきれない関係なのである。息子は東京で生まれたとはいえ、ある意味「沖縄っ子」なのだから当たり前だろう。なんだか、自分の息子が自分から遠い場所に行ってしまったような不思議な感覚を覚えたのだった。
 「お父さんは、ムーチー嫌いなんだよね」と、昨晩、息子にニコニコして言われたのだが、「そうだね」とうつむき加減に答える自分が、なぜだかとても恥ずかしかった……。郷に入れば、郷に入れない自分に対して、そして地域に順応していく息子に対して。