Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

HONDA CUB 1999-2013

2013年06月24日 | 家・わたくしごと

  沖縄に赴任する前は、HONDAのXL250Rというオフロードバイクに乗っていた。そりゃあ、格好いいバイクだった。本当にこのバイクで関東各地にツーリングへとでかけたし、若かったこともあるけれど、何度か事故った。しかし不思議と不死鳥のように蘇り(ボクもバイクも)、結局このバイクに14,15年は乗ったと思う。沖縄に転勤する前に、もう乗らないだろうと廃車にしたのだが、あのときは体調も悪い時期で、それほど感傷的な気分に陥った記憶はない。
 1999年に那覇に移ってから、やはり足がないのは不便だから小さいバイクを買おうと、夏の盛りに汗びっしょりになりながら、あちこちのバイク屋をめぐった。なぜか新車を買うという選択肢が頭になくて、中古車を探した。1か月位の間、大きなバイク屋はまわったけれど気に入ったバイクが見つけられず、「もう諦めようか」と思いかけたとき、家からさほど遠くない場所に小さな家族経営のバイク屋を発見して、バスを途中下車してみると、なんとその店に当時タイで製造されて、日本のHONDAが販売していた、いわゆる「タイカブ110」の中古車が薄汚れた原付と一緒に並んでいたのだった。
 走行距離は2500キロでまだ新車同様。110CCのカブで、その場で購入を決めた。これはボクに買われるためにここに並んでいるんだと本気で思ったもの。それから2013年まで約14年間、「タイカブ」がぼくの足だった。那覇から辺戸岬近くまでバイクで行ったこともある。帰りは日焼けして、サングラスの跡が白くパンダのようになったことを覚えている。キジムナーフェスタの時期は、那覇市から沖縄市なんて、このバイクで二往復してもへっちゃらだった。バイクで、弁当20個なんてふつうに運んでいた。とにかくありがたいくらいに活躍してくれたバイクだった。
 先週、新しいカブに買い替えたことから、そんな「タイカブ」とお別れした。廃車にするわけだけれど、なんだか汚れたままで捨てられるのは忍びないと思って、きれいに掃除をした。このカブは、私の沖縄の記憶そのものといっても過言ではなかったし、「沖縄の私」はある意味、この「タイカブ」そのものだったのだ。廃車にされてしまうことで、ぼくの沖縄の記憶が薄れるわけではないのだが、やはり記憶を呼び起こしてくれる「モノ」が消えていくのは切なかった。でもいつの日か、きっと新しいバイクが「浜松の私」となっていくのだろうし、いつまでも未練がましく、眺めていたって仕方がない。だからこうしてブログの中に記事の写真とともに残すことにした。ここに貼ってあれば、いつでも見ることができるからね。