Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ふじの木の下で

2016年10月15日 | 家・わたくしごと

 国分寺の実家にはりっぱなヤマフジが植えられている。たぶん相当に前に植えたに違いない。私の小学生の頃の記憶の中にもこの木に咲く淡い紫色の花がはっきりと刻まれている。そして今なお、その花は初夏になると咲き乱れる。私が大好きな庭の花の一つである。野生種に近いヤマフジだから、鑑賞用のふじの花にくらべればちょっぴり寂しいと、これを植えた今は亡き祖父や祖母によく言われたが、私には自分のうちの庭先に咲くふじ。やはり世界でもっとも美しいふじの花である。
 先日、このふじの木の下にもぐってみた。こんな時期にここから上を臨むことなんてほとんどないだろう。緑のふじ棚から空を覗くことができる。まあ、当たり前の風景。ここまでくると幹もだいぶ疲れてきているのがわかる。もう長いこと植えているわけだし、年も重ねて生き続けているわけだから。
 寒い冬がやってくる。大嫌いな冬を思い浮かべるだけで「溜息」が何度も出てしまう。嫌だ、いやだ。何度、ブログで冬嫌いを表明しているだろう。しかし、それが過ぎればまた花の季節がやってくる。真冬の最中に、もう一度、この木の下で空を眺めてみようと思う。なぜかよくわからないが、そうすることによって、冬を前向きに過ごすことができるような気がするのである。来年咲くふじの花を思い描いて。