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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

Tempo Dulu(古き良き時代)風

2018年04月03日 | バリ

 Tempo Duluを、なんと訳すのが最適なのかわからないが、直訳すると「前の時代」となる。前といっても、いつぐらいなのか、はこのduluという単語からでは全く想像できない。そこで重要なのが、オランダ時代の綴り、つまりuをoeと表記し、tempo doeloeと書くとなんとなくニュアンスが伝わってくる。
 植民地時代は現インドネシア、特にジャワやスマトラの人々にとってはオランダによる搾取の時代であったことはいう間でもない。しかしそんな時代はとうに過ぎ、人々はそんな雰囲気を残した風景などを懐かしむようになった。それがTempo Dulu(Tempo Doelue)である。つまりただ「前の時代」なのではなく、西洋文化がインドネシアの中に共存しはじめた「古き良き時代」なのである。そんな背景の中で、それまでは壊して立て直してしまった家も、リフォームして素敵なレストランなどに代わっているのだ。
 今回宿泊したホテルにもそんな雰囲気のお店ができていた。外見は、クタやサヌールの洒落たレストランとはその趣はだいぶ異なっており、古い白黒の写真に写された1030年代のような様相を醸し出している。いい雰囲気だ。中はオシャレな作りとはいえ、やはり当時を反映した内装である。このお店に腰かけて道路の反対側に建つバリ・ホテルを眺めていると、なんとなく自分が1930年代のバリにタイムスリップしてしまったような錯覚に陥るのだ。