社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅ケアにおけるソーシャルワーカーの役割」いばらぎ診療所こづる 医療ソーシャルワーカー(HPより)

2008-06-27 11:13:07 | 社会福祉学
在宅療養支援診療所に所属するソーシャルワーカー(SW)による、実践報告。

ここでのSWの役割は、①相談支援 ②訪問診療同行 ③啓もう活動と教育及び研究であり、約130名の患者さんに対して、5名のSWが配置されているとのこと。

著者は相談支援に関して、診療所にかかっている患者さんのみならず、広く地域の人が「まずあそこに相談してみよう」と思われるよう、スキルを磨いていきたいと、述べている。

訪問診療同行は、カルテの準備からドライバー、処方箋の処理など、SWが多岐に渡ってその役割をこなしている様子。


相談支援
…地域も視野に入れることは、そのエリアに根付くためにはとても望ましいことではあるが、「行政」の役割はどうなっているのだろうか…と率直に感じた。民間の事業所は、「求められればそれにこたえたい」という思いを抱くのは、多かれ少なかれ、どこもそうであろう。そのことに「行政」は甘えていやしないか

訪問診療同行
…人数が確保されているから、これほど多岐に渡った業務が可能なんだろう。もしくは、これをも期待されているから、人数が確保されているのであろうか。
全体を見渡し、コーディネートする上では有効な役割である気もするが、医師の業務の補助とも受け取れる業務(カルテの整理や処方箋の処理)を「雑務」と混同されないよう、SWの専門性を己で強く認識していくことが必要だろう。

いずれにせよ、「SWがいることの必要性」をどのように周囲に伝えていくか…個々のそして各事業所が手探りで行っている様子が分かった。
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在宅医療におけるソーシャルワーカーの現状と課題 中土純子(武蔵野大学現代社会学部紀要)2006

2008-06-12 11:55:33 | 社会福祉学
在宅医療を実施している医療機関に対して、SW配置の有無からその必要性について、アンケート調査を実施。
有床医療機関を対象とした「在宅医療の現状」ではなく、訪問診療を実施している医療機関を対象とした「在宅医療の現状」であり、真実味がある。


アンケート調査の結果で、「相談業務は医療者が適任である」という回答があった。その理由は「医療に関する知識により詳しいから」というもの。
そもそも、医療以外の面をサポートするためのSWであり、この回答には寂しくもあり、少し情けなくもあった。
世のSWに対する…そして「相談業務」に対する認識は、この程度なのかなぁ…
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死にゆく人のための医療 森岡泰彦(2003)生活人新書

2008-06-06 13:47:14 | 医学
脳死、安楽死、終末期医療などなど、「死」にまつわる医療についての概論。

引用「ターミナルケアは、(中略)死にゆく人を孤独に放置しないことが最も大切」


ひとり暮らしで、在宅での死を迎えることは可能なのか?と考えることがある。
本人に強固な意思があり、たとえ介護の手が薄くなり、時には「不衛生」だと思われる状況になっても「ここにいます」と主張すれば、不可能ではないような気もする。実際、私が実践の場で関わった方で、一人で自宅で亡くなった方もいた。
しかしその実現には、組織の責任問題、家屋を所有する大家さんの問題、亡くなった後の諸々の手続きの問題…容易ではなかった。
「孤独」「独居」…同意義語として用いられることもあるが、決してイコールではなく、家族と同居していても「孤独」を感じる人もいるだろう。
大切なのは、「同居」や「独居」という形の上のものではなく、気持の上でのものだろう。
独居である場合、それを補う(?)のは、フォーマルものかインフォーマルなものか。その人にとっての「かけがいのない存在」を見出すことが、援助者には求められるであろう。
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「在宅医療ソーシャルワーク」 村上須賀子・他(勁草書房 2008)

2008-06-02 15:24:13 | 社会福祉学
医療ソーシャルワーカーによる援助により、主に「在宅生活が実現した」ことを、
事例101を通して立証。


「待ちに待った本だ!!」と心弾んだものの、事例は有床医療機関(病院)に従事するMSWのもの。いわゆる「退院調整」と呼ばれるものが多かった。
広義の在宅医療は「外来患者」をも対象とし、狭義の在宅医療は、「医師が計画的に診察に赴くもの」と言われている。
この点から考えると、この本は広義の在宅医療として論じているのだと思う。

病院に従事するMSWは、入院中~退院調整~退院後(外来フォロー)と、長期的に関わることが増えたようだ。
病院SWから在宅療養支援診療所SWへのバトン渡しが、人材的にも技量的にもうまくいけば、「医療のみならず、生活支援も含めた連携」が今よりも円滑に行えるかもしれない。

それにしても、このタイトルをつける助成研究を行ったのであれば、もう少し「在宅療養支援診療所」のSWの存在にも「光」を当てて欲しかった。

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