社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「死後のケアに対する看護師の意識と行動の変化~死後家族と共に入浴を行うことによる影響~」

2013-04-05 15:14:38 | 看護学
大井陽江(2004)『榛原総合病院学術雑誌』

脳神経外科病棟での実践報告。
患者の死後、家族とともに行う入浴行為が家族にどのように影響し、さらにその過程において、看護師の死後ケアに対する意識がどのように変化したのかについて調査している。

引用
・(病棟の性格上、入浴をする前に事故等で搬送され亡くなるケースがある。それを踏まえて)
 「お風呂が好きな人で、なくなってから看護師さんと一緒に入浴介助ができてよかった」「入浴を介助したことで心が落ち着いた」
 ⇒死後入浴は家族のグリーフケアにつながった
・「感染症の患者さん以外は、予防衣やマスクや手袋をせずに介助に入るようになった」
 ⇒(看護師の意識の変化)生死に関係なく一患者として、看護にあたるようになった。


「死は汚いと思っていた」という看護師の声が紹介されていた。これは今の多くの日本人が抱いている感覚かもしれない。
汚いとまではいかなくても、「触れてはいけない」「直視できない」対象であることは、多くの研究者や実践者たちが指摘している。
残された家族が死に向き合い、受け入れていくためのプロセスとして、死後入浴は効果があるのかもしれない。

また死後入浴を実施する際に、感染症患者の対策を整理することで、看護師の取り組む姿勢を後押ししたと述べている。
根拠と対策がきちんと提示されていれば、取り組みに躊躇している実践者たちをサポートすることができる。
実践者たちのための研究と、それにアクセスできるための取り組みは、どのテーマにおいても重要である。


コメント
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