社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅療養支援診療所と訪問看護ステーションにおけるデスカンファレンスの意味づけ」大友宣(2010)

2011-10-19 10:40:12 | 医学
『2010年度 在宅医療助成 勇美記念財団 最終報告』

 在宅療養支援診療所及び、訪問看護ステーションにおけるにデスカンファレンスの意味を明らかにするため、半構造化インタビューを実施。
4つのカテゴリーが抽出され、さらに効果的なデスカンファレンスの運用にむけ、課題を提示している。

引用
・デスカンファレンスの意味づけ
⇒「癒しの場としての在宅デスカンファレンス」「学びの場としてのデスカンファレンス」「弔問の役割の再確認」「顔の見える関係の構築」

・《学び》が重視されるデスカンファレンスでは《癒し》がなされにくく、《癒し》が重視されるデスカンファレンスでは《学び》がされにくい。

・弔問を積極的に行い、それを在宅デスカンファレンスとリンクさせることは在宅医療・在宅ケアの強みを生かす上で重要な要素である。

・サマリーの準備は症例を振り返る機会にもなっているが、在宅デスカンファレンスを行う上での大きな負担ともなっている。在宅デスカンファレンスをより普及させるためにはこの負担をなるべく軽減させる形で行なっていくことが必要である。


 病棟で行われるデスカンファレンスは、すでに顔が見える同士で共通のカルテを有していることが多いため、準備に時間がかかりにくく、一方で在宅ではそれがネックとなっているという。
在宅緩和ケアは、病棟と比較し、ケア提供者側の「負担」が多いのは物理的に当然のことであるが、それをうまく克服し、「連携」という力に変えていこう…そういうメッセージが込められていると感じた。

 在宅での看取りが推進されていくなかで、少しづつではあるが、ケア提供者側の「ケア」にも注目が集まりつつある。昨年研修を受けた米国のホスピスでは、チャプレンがケア提供者のメンタルケアを担っていた。また、年に5回までは無料でカウンセリングを受けることができるという。
 在宅ホスピス緩和ケアの普及には、ハード面ならず、ソフト面の充実⇒提供者側の支援も大切であると感じる。
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「インフルエンザ脳症ガイドライン【改訂版】」 厚生労働省 インフルエンザ脳症研究班 (2009)

2011-10-17 15:57:38 | その他
 V章において、グリーフケアを取り上げている。100名を超える遺族へのアンケート調査をもとに、医療関係者がどのような配慮を持ってせっすることが望まれているのか…についてまとめている。
インフルエンザ脳症に限定せず、特に救急医療の現場において活用できるモデルが時系列的に提示されている。

 www.tokyo-med.ac.jp/pediat/data/info0925-01.pdf

引用
・重症児の搬入と初期対応
 ⇒・保護者は、「死亡後の経時的サポート」を希望している。医療者は、「診療録が家族にとってかけがえのない遺品となることを認識する」ことが望ましい。
  ・援助者(看護師)の望まれる行動は、可能な援助の列挙、治療状況と児の状態のリアルタイムな報告や医師説明の補足、保護者の疑問点への回答等である。

・病院が行う遺族ケア
 ⇒1.子どもの死の経過、死因についての医学的な説明を行う
  2.遺族が経験する悲嘆のプロセスについて説明をする
  3.遺族から求めがあれば、カルテを開示する
  4.遺族のセルフヘルプ・グループや保健所などの社会資源を紹介する
  5.遺された兄弟姉妹への説明の仕方、育児不安についての援助をおこなう
  6.次の出産についての相談にのる
  7.心療内科医、精神科医との連携(重篤な抑うつや心身症、パニック障害などの病的悲嘆、本人の希望時)を行う
  8.病院スタッフによる遺族ケア(手紙、遺族会の運営等)を検討する


 救急隊員に対してまでも、グリーフケアの要望が挙げられていることについて驚いた。グリーフケアの必要性が浸透しつつあることの、現れであろう。

 社会におけるグリーフケアについて、遺族が社会復帰を早期に果たしていくためのモデルが提示されている。
医療機関が保健所に報告し、各地区の保健センターが訪問や連絡をする…というものだ。
これが実現できれば、グリーフケアが受けられずに、ひとりで苦しんでいる人を減らすことができるだろう。
グリーフケアの普及には、援助者側の養成、教育が最重要課題であると痛感した。
 
 

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