『看護』2008.9
「領域争いではなく、専門性を活かした役割分担を」と頭ではわかっているものの、やはり気になる看護師の存在。
退院調整を看護師が担うことの現状を知りたいと、この論文を読んだ。
引用
「(患者・家族は、どこにいても切れ目のないケアを受けられるべきであり、)そのためには連携・調整・仲介等の役割を果たすサービス機能が期待されている。退院調整看護師は、その機能を看護師の立場で担うものであり…」
退院調整看護師は、病棟看護師との役割を分担する存在なのか、はたまた病院内においてその専門性を確立させるべき存在なのか…。
診療報酬改定において、後期高齢者の退院援助に際し、「退院援助を専門とする社会福祉士もしくは看護師…」の評価が加えられた。
「病院と地域の窓口」「心理社会的サポート」を前面に出し、いかにしてその専門性を組織で確立させようか、と頑張っていた社会福祉士(ソーシャルワ-カー)にとって、この文面は納得のいくものであったのだろうか。
10年くらい前、病院内でのソーシャルワーカーの立場を明確にさせようと、保健医療の領域でのソーシャルワーク分野では、「退院援助」を表した論文が多く発表されていたのを思い出した。
当時から考えると、法的にその存在の一部が認められた
となるのだろう。
今後、看護師との役割分担がどのようになっていくのか、どうあるべきなのか、考えさせられることが多い。
余談として
地域から病院にアクセスする立場からすれば、病院には「地域連携室」「医療福祉相談室」「看護相談室」…と窓口が多く、その分担は外から分かりにくい。
「訪問看護師指示書」は書類手配に関するものだから、地域連携室だろうと問い合わせをしても、「看護業務に関わるものなので、看護相談室が窓口です」と言われた。そして医師が書く情報提供書は、地域連携室が窓口になるらしい。
さらに、入院中の相談は「医療福祉相談室」がメインとなり、退院後や外来患者は「看護相談室」がメインになるところもあった。
組織体系を整理することで、職員の業務は円滑になるのかもしれない。しかし外部の人間にとって、それはどうなのか?その体系の在り方を、今一度振り返ることも必要だと考える。