社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

年末年始

2008-12-31 13:40:56 | ごあいさつ
単身者の方、定時での内服が必要な方…年末年始は、サービス提供がお休みになるところも多く、こういった方々のスケジュール確認をしていた記憶があります。
食事は確保されているか、一日一回は、安否確認ができるようになっているか…。

人の出入りが少なくなるため、年末年始はキライと言っていた方もいました。

ともあれ多くの人が、「いつも通り+少しHAPPY」なお正月になることを

来年もよろしくお願い致します


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短期入所生活介護におけるソーシャルワーク-サービス特性に起因する諸問題をめぐって- 口村淳

2008-12-26 14:16:05 | 社会福祉学
『ソーシャルワーク研究』Vol.33 No.4 2008

在宅医療とは少し専門が異なるが、実践報告を研究論文にする上で、こういう切り口もあるのか!と勉強になった論文。

短期入所サービスがもつサービス特性を整理し、その上でソーシャルワークの必要性を事例を通して検討、提起している。
サービス特性から生じる課題を「生活環境の移動」「レスパイトケア」「断続的なサービス形態」とし、各々の場面でのソーシャルワーク展開を報告している。


特養で生活相談員をしている友人に、「どんな仕事をしているの?」と聞くと、「介護職とほとんど同じだけど、違うのはお葬式に行くことかな」と返ってくることが多い。入退所の動きがあまりないがゆえに、「業務内容」からとらえると、そのような返事になってしまうのだと思う。
しかし本論文のように、「視点」からとらえるとどうだろうか。それは保健医療のソーシャルワーカーにも同じことが言えると思う。
専門職は「その道のプロ」である。だからこそ、置かれた状況のなかで、いかにして自身の専門性を発揮できるか…という姿勢も大切なんだと思う。
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「在宅医療移行管理のあり方」 新野由子 『看護』2008.9

2008-12-22 13:58:29 | その他
厚生労働省看護系技官による論文。
在宅医療移行管理に取り組んでいる8病院で行われた、モデル事業の概要とその結果が報告されている。

引用「在宅医療移行管理」…
在宅医療移行のハイリスク患者(高度で複雑な継続的医療が必要な患者や、ADL低下により退院後の生活様式の再編が必要な患者、家庭介護力が不足している患者等、通常の退院調整が困難である患者)の在宅医療への円滑な移行システム

<結果>
在宅医療移行ハイリスク患者は、高齢者の女性、移動要介助、排泄要介助の患者(年齢層問わず)、高齢者世帯や独居、介護者不在、日中独居世帯など。

筆者が取り組んだ2つの研究が、「退院調整加算」等の新設に貢献しているとのこと。


研究そのものは2~3年前に行われたせいか、ハイリスク患者層を見ても、「周知の事実」という印象を受けた。
この「在宅医療移行管理」は、病棟看護師が第一段階アセスメントを行い、より多方面からの援助を必要とすると判断したケースは、SWを含んだ「チーム」に依頼される。この流れをみても、病棟看護師が退院調整のキーになることが分かる。
チームに依頼をしなかったケースに関しての経過調査で、病棟看護師およびチームは「チームによる退院援助は必要なかった」という認識で、多くは一致をしているそうだ。これは病棟看護師の判断が、適切であったという裏付けであろう。

少しさみしいのは、SWの介入が必要かどうか…という判断が、他職種によってなされてしまうことだ。それゆえに、SWは他職種にきちんと理解をしてもらわなければ業務が成り立たないし、仕事を振ってもらえるよう、アピールし続けることが必要なんだと思う。
領地争いではなく、住み分け…。難しいけど、これが今の現状なんだと痛感した。
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急性期病院における患者と家族の体験する悲嘆作業 大賀有記『社会福祉学 第49巻第3号 2008』

2008-12-15 22:01:43 | 社会福祉学
副題:3つの「観察軸」を用いたソーシャルワーク・アセスメント-

急性期病院において、医療スタッフから「困った」とみなされた患者・家族の言動を、身体機能後の喪失作業の観点から検討し、ソーシャルワークアセスメントについて考察している。


「困った」とみなされる患者・家族の特徴として…悲嘆作業プロセスの否認や怒りの段階にとどまることが多い。喪失の事実を認めるよりも、その先の生活に適応するという課題に取り組む傾向がある。内的なニーズがあっても、それは外的なものとして表出されることがある。


筆者も指摘されているが、急性期病院は、「いかに入院期間を短くするか」に追われている。そのなかで、「困った」とみなされる患者・家族の言動の源に注目し、アプローチできることこそが、ソーシャルワークなんだろうと思う。
「悲嘆」と聞くと、「=死別体験」と連想しがちであるが、もっと身近で様々な現象によって引き起こされ、日常的に「ケア」が必要なものであることを、再認識させられた。

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求められる退院調整看護師の活躍と退院支援システムの確立 鄭佳紅・上泉和子(2008)

2008-12-14 11:27:04 | 看護学
『看護』2008.9

「領域争いではなく、専門性を活かした役割分担を」と頭ではわかっているものの、やはり気になる看護師の存在。
退院調整を看護師が担うことの現状を知りたいと、この論文を読んだ。

引用
「(患者・家族は、どこにいても切れ目のないケアを受けられるべきであり、)そのためには連携・調整・仲介等の役割を果たすサービス機能が期待されている。退院調整看護師は、その機能を看護師の立場で担うものであり…」


退院調整看護師は、病棟看護師との役割を分担する存在なのか、はたまた病院内においてその専門性を確立させるべき存在なのか…。

診療報酬改定において、後期高齢者の退院援助に際し、「退院援助を専門とする社会福祉士もしくは看護師…」の評価が加えられた。
「病院と地域の窓口」「心理社会的サポート」を前面に出し、いかにしてその専門性を組織で確立させようか、と頑張っていた社会福祉士(ソーシャルワ-カー)にとって、この文面は納得のいくものであったのだろうか。
10年くらい前、病院内でのソーシャルワーカーの立場を明確にさせようと、保健医療の領域でのソーシャルワーク分野では、「退院援助」を表した論文が多く発表されていたのを思い出した。
当時から考えると、法的にその存在の一部が認められたとなるのだろう。
今後、看護師との役割分担がどのようになっていくのか、どうあるべきなのか、考えさせられることが多い。

余談として
地域から病院にアクセスする立場からすれば、病院には「地域連携室」「医療福祉相談室」「看護相談室」…と窓口が多く、その分担は外から分かりにくい。
「訪問看護師指示書」は書類手配に関するものだから、地域連携室だろうと問い合わせをしても、「看護業務に関わるものなので、看護相談室が窓口です」と言われた。そして医師が書く情報提供書は、地域連携室が窓口になるらしい。
さらに、入院中の相談は「医療福祉相談室」がメインとなり、退院後や外来患者は「看護相談室」がメインになるところもあった。

組織体系を整理することで、職員の業務は円滑になるのかもしれない。しかし外部の人間にとって、それはどうなのか?その体系の在り方を、今一度振り返ることも必要だと考える。
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医療格差の時代 米山公啓(2008) ちくま新書

2008-12-07 21:23:43 | 医学
「メタボ健診」「研修医制度」「医師の過剰労働」など、いま話題となっているトピックが分かりやすく書いてある。


「フリーターのような医者が増加している」という指摘に、思わず釘づけになった。
思えば、私が勤務していた診療所も、一時期は内科の常勤医が1人で、あとは当直も含めて10人前後の非常勤の医師であった。
日中の訪問診療でさえも、週に1回の半日しか枠を持たない医師が多く、そういった雇用形態の中で、「円滑なチーム医療」を求めるのは非常に難しい。
当直になると、半年に1回の頻度で、「ぽっかり時間が空いたから、穴埋めするためのバイト」という意識で勤務に臨む医師も少なくなかった。

在宅医療は、医師にとっては未だに「魅力がない」もので、「医療の最前線に乗り遅れてしまう」ものなのか?
コ・メディカルがどんなに頑張っても、医師無しでは医療チームは成り立たない。
だからこそ、医師には「暇つぶしのためのバイト」としてではなく、たとえ非常勤であっても、「医学の専門家」で在り続けて欲しいと、切に願っている。

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死別反応 平島奈津子(2003) 『日医雑誌 第129巻・第11号』 

2008-12-04 14:18:04 | 医学
精神科医による、「死別反応」についての概説。
その段階や、本来「悲嘆」はあって当然のものであるが、うまく表出できずに「病的な死別反応」を起こしてしまう人もいるようだ。その「病的な死別反応」についても触れている。

症状としての説明は分かりやすく、読みやすい。
しかし「どう対応(援助)していくか?」についての詳細は、十分には述べられていない印象を受けた。

引用死別反応とは、「愛する人もしくは近しい間柄の人との死別に対する心身の反応」と定義されている。


病院でも在宅でも、そして施設でも、「死」は必ず存在するもので、同時に「死別」も存在する。
予期できる「死」でさえも、いまの日本では「こころのサポート」を十分に行えていないだろう。
その人に関わる援助者の数が増えれば増えるほど、「誰かがやっている/やってくれている」と思ってしまうことも、少なくないのではないかと思う。

「こころのサポート」の専門家を限定するのではなく、関わっている援助者の誰もが、その意識と知識/技術を持つ。そして「こころのサポート」を中心となって行うのは、この人にとってはどの職種がよいか?を考える…そんなことが、医療・福祉サービスにおける「当たり前のサービス提供」となって欲しい。



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