ソーシャルワーカーとは、どんな仕事をする人か?
ソーシャルワーカーは必要な職業か?
そんな直球な問いについて、自らの実践を振り返りながら、問いに問いつつ、答えを探すプロセスを書いている。
支援方法や面接方法などの、いわゆるHOW TOものではない。
実習を前に現場の泥臭さを知りたい方、入職して現場の立ち位置に迷っている方、管理職にいて現場の声を忘れがちになった方・・・
社会福祉援助職のその原点に立ち返るための一助になると感じた。
引用
・(ケースに向き合い、夢中で支援をしたのちに、スーパービジョンの場でバイザーからバイジーへのコメント)
専門職は振り回せれるのが仕事よ。(中略)相手は振り回したいんでしょう。振り回したい相手の気持ちは誰が受け止めるの。大事なことは
振り回されないことではありません。振り回されることがわかった上、振り回されることです。あなたはそのためにいるの。
・対象者が抱える困りごとについて、誤った知識にもとづく解釈で構成されてはいけない。そのために、学問を積んできたのだと思う。エビデン
スが重視されるが、エビデンスという名の知識もまた、自身の中に落とし込んで初めて有効なものとなる。
十数年前に母校にゲストスピーカーとして呼ばれたとき、社会福祉学科の学生さんを前にある事例を通してソーシャルワーカーの仕事を紹介した。最後に私はこう伝えた。
「ソーシャルワーカーは格好いい職業でも、楽な仕事でもない。自分自身が試され、時には削ぎ落とされる。それでも続けていきたいと思うのは、普通に生活しているだけでは出会えない、いろんな状況にある人と会えるから。そしていろんな人を通して、いろんな人生を感じることができ、世界を広げさせてくれるからだ。」
福祉の勉強を始めて、それを糧に現場で仕事をするようになり、かれこれ20年を超えた。
それでもなお、自分を成長させてくれる魅力がたくさんあると、本書が背中を押してくれたように思う。