社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「高齢者介護施設に従事する介護職員のバーンアウトに与える影響-組織の支援体制を中心とした検討-」(2012)

2018-07-01 10:43:54 | 社会福祉学
渡邉健、石川久展『Human Welfare』第4巻第1号

 施設介護職員の環境要因としての組織の支援体制がバーンアウトに及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。

引用
・組織の達成目標が厳密すぎて、職場での裁量が極端に制約されれば、就労意欲が減退しバーンアウトにつながる可能性もある。
・分析の結果、組織を支援する要因である、休日や給与体系、勤労形態といった「労働条件」が整えばバーンアウトは低減し、仕事能力の正当な評価や反映といった「個の尊重」が高ければバーンアウトは低減することが明らかになった。


 勤務先である介護老人福祉施設では、3ヶ月での試用期間を経て、正規職員の登用となる。その際には試験と上司の評価によって採否が決まるのだが、ここ8ヶ月ほどは正規職員への登用を見送られる職員が多くいる。
職務態度がよろしくない、専門職としての知識や技術が十分ではないという理由は納得できるのだが、「人員増加となった割には、稼働率が上がらない」「入所とデイサービスでの兼務を条件に雇用したが、シフトでの実績が確認できない」という理由には、私は腑に落ちない思いでいる。
 シフトを組んだ上で「やっぱり夜勤はできません」と断ったわけではなく、そもそも管理者の判断でシフトに組まれなかっただけであり、稼働率についても管理者や経営陣が営業に出向く時間を割かなかったのが要因として挙げられているのである。まさに責任を「個」に押し付け、組織としての管理課題をないがしろにした結果なのである。
 これでは離職率が上がる一方で、それがケアの質の低下にもつながるのである。
 
 組織としての支援体制について、「ああやっぱり!!」と納得させられる論文であった。
コメント
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