『薬学図書館』67(3)
大学図書館の司書による論文。専門職員が継続して雇用されなくなることを危惧し、そのメリットとデメリットを提示している。
司書のみならず、他の専門職種にも通じる点が多くあると感じた。
引用
・世代交代のメリット:業務の見直しが進む、新しい取組が生まれる、マニュアル化が進む
・世代交代のデメリット:昔のことが分からなくなる(図書館業務のスパンは長い!)、目録作成等基本的な経験が抜けてしまう、
非常勤・委託職員への指導力が不足する
・非専門職化のメリット:大学全体の業務の流れが見える・視野が広がる他部署のやり方を学べる(業務の見直し、効率化)、
学内の繋がりができる
・非専門職化のデメリット:研修が終わったころに異動、キャリア形成が難しい、倫理的・法的な知識不足の恐れ、将来像を考える人材の不足
・専門職というのは学び続けることを前提とした職種であり、図書館員は常に情報収集をしていることを前提とされている
財政的に維持が困難であるから、安価の対応で人材を確保する。この流れはどの業界でも起こっている(起こりうる)ことである。
その対応はもたらす弊害は、長期的に見れば取り返しのつかないことにもなりかねない。専門職者が誇りをもってキャリアを積んでいけるよう、
自身の努力ももちろんであるが、組織(環境)の整備も必須であると考えさせられた。現役の大学職員がよくぞここまで書き切ったと、
その勇気に敬意を表したい。