社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「高齢者ショートステイにおける生活相談員の悩みとは何か-全国調査における自由記述の分析を通して」口村淳(2011)

2019-02-28 12:06:47 | 社会福祉学
 高齢者ショートステイにおける生活相談員の悩みを明らかにし、それらを改善する方向性を示すことを目的としている。

引用
・(調査協力者の)取得資格を複数回答で尋ねたところ、社会福祉主事が63.1%で最も多く、次いで介護福祉士の56.7%であった。施設ケアマネを兼務している人は約2割であった。
・(業務量が多いという回答を受けたの考察→)相談員の業務だけで飽和している上に、他職種業務に携わることは、施設の相談機能に支障をきたすことにもなりかねない。
・経験年数の浅い相談員がリスクに対して腐心している傾向がみられたことから、リスクに関する業務を相談員のみに背負い込ませない体制が望まれる。


 稼働率を上げることが期待される側面、自宅と施設との往復を円滑に送れるように連携に力を入れることを期待される側面、質の高いケアを提供できるよう介護のマネジメントを期待される側面など、多くのことを期待されているのを間近で見ている。
 私の同僚の相談員さんは介護福祉士さんであり、施設での介護業務の経験が長い。故にか、「連携」という面には少し弱みを感じる。
回答に時間をかけすぎてしまったり、反対に事前のアセスメント(情報収集)が手薄なままに早く動きすぎてしまって一人で空回りをしてしまったり。そして残念ながら、それをバックアップし教育できる組織の体制は全くと言っていいほどない。自己研鑽にまかせているのである。
 これは少なからず、どこの高齢者施設も抱えている現状である。職員個人に多くを任せ、うまく回っているとまた業務を課す。そして職員は潰されてしまう。
経営者からは「社会福祉法人だから利益は出してはいけない」という意見が出る。経営は難しい。でもなんとかならないのか?と日々思わされている。
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「単身要介護高齢者に対するケアマネージャーによる在宅継続支援の実態と課題」(2016)

2019-02-03 17:16:44 | その他
 中島民恵子、沢村香苗、山岡淳『社会保障研究』2016,vol.1,no.1

 ケアマネージャーに対して、個別ヒヤリング調査、フォーカスグループ面接を実施し、単身要介護高齢者の支援に関する実態と課題を整理している。
 フォーマルサービスには限界があることから、共助、自助の重要性が叫ばれている昨今、「そうは言っても難しい!」という現場の声が反映されていた。

引用
・単身用要介護高齢者に必要な支援
 ①日常生活を維持するための手続き面支援(銀行の振込、通帳の記帳、電気代等の各種支払いなど)
 ②日常生活を維持するための生活面支援(季節ごとの衣服の入れ替え、電球の交換など)
 ③日常生活を維持するための医療面支援(通院介助、服薬管理など)
 ④安否・安全を確認するための見守り支援(誰かが1日に1回は訪問できるようなプランにする、民生委員による見守りなど)
 ⑤インフォーマルな支援への目配り(家の仲間でのインフォーマルなサービスはある程度の利害関係がないと動いてくれない、金銭目的で関わる人から大きな危険を被らないように見守っているなど)

・(担う人が誰もいない、でもやらなければ生活やサービスが立ち行かなくなる・・・という現状から)「ケアマネージャーが擬似家族にさせられて、ケアマネージャーがキーパーソン化していく傾向がある」



 「主介護者が緊急入院をしたので、明日から緊急でショートステイお願いします!」勤務先の特養では、先月、こういった問い合わせが多くあった。そして必ず確認するのが「夜間に救急搬送をした場合、対応はどなたがしますか?」「残薬がなくなった場合、どなたが持参されますか?」ということである。今や、息子、娘が他県に住んでいることは珍しくなく、「どんなに頑張っても娘さんは新幹線で4時間かかるので、それまでは私(ケアマネ)がつなぎをします」と緊急対応時を担うことを嫌がらないケアマネージャーさんもいる。そこまでしないと、支えられないのが現状なのだ。
 地域包括ケアシステムにおける施設サービスはなにか?なにができるのか?
 自分たちだけのリスク回避だけを提案、解決しているようで、なんともやりきれない・・・。
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