社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅療養支援診療所に所属するソーシャルワーカーの役割-地域包括ケアへの貢献という視点から-」

2017-10-01 09:38:35 | これまでの活動
 兵庫社会福祉士会主催、「2017年度 実践研究の方法を学ぶ研修&実践報告会」で発表させていただきました。

自身がかつて実践の場としていた診療所にご協力いただき、郵送による質問紙調査を実施し、その調査結果をもとに、ソーシャルワーカーの役割を再確認しました。

在宅療養支援診療所に所属するSWは、私が2010年に実施した調査では全国でわずか19機関でしか確認ができませんでしたが、
近年はMSWの職能団体が在宅医療で活躍するSWのための研修会を開催したり、有志での研究会も増えており、その数は少しづつですが、増加傾向にあるようです。

しかしながら、在宅医療AP、トータルヘルスプランナー(THP)といった新たな資格が(民間での任用資格ではありますが)登場し、
せっかくSWという職種がいるのに活用されていないのでは?と危惧しています。

在宅療養支援診療所のSW職は、自転車で居宅に訪問したり、連携のためにひたすらいろんな事業所や医療機関に電話をしまくったり、
他の職種に、自身の職業観を試されたり、患者さん家族を前に人生観、価値観を試されたり…
体力的にも精神的にも、タフでなければ務まらないですし、しんどい領域だと思います。
でもそれ以上に、多くの人に出会い、生き様、死に様をぶつけてもらえ、言葉ではうまく表現できませんが、
楽しく刺激的で、やりがいのある領域だと思います。

SWにとって、在宅療養支援診療所が成長の場となり、あたりまえに活動できる場となるよう、
これからも研究の側面から、発信していきたいなぁとつくづく思いました。

このブログにアクセスして下さった方にとっても、
在宅医療、そこで奮闘するSWを知る、ひとつのきっかけになれば幸いです。


発表の一部より…
在宅療養支援診療所におけるSWの役割
⇒①患者・家族と医療者との仲介役
 ②患者・家族の代弁者
 ③福祉サービス導入の調整
 ④組織間連携

在宅医療サービスの課題「医療サービスが有効になるための環境整備が必要」(先行研究より)
地域包括ケアシステムの構築、円滑な遂行に必要なこと「職種間、機関間の顔の見える関係づくり」「多職種協働による生活ケア全体への支援」(先行研究より)
-上記について、質問紙調査結果より、SWの役割が有効に機能してることが確認できた。

本研究に興味を持って下さる方がいましたら、ぜひご意見ください⇒naonao0706@mail.goo.ne.jp
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「訪問看護事業所における遺族支援の実態調査 報告書」 中里和弘 (平成28年4月)

2016-09-26 13:35:16 | これまでの活動
共同研究者として、微力ながらお手伝いをさせていただきました。
在宅での看取りが推進されていくなかで、当然のことながら、残された人たち(家族、友達、パートナーなど)への支援も、より一層広がりが必要です。
この研究では、訪問看護事業所への質問紙調査を実施し、現況を確認しています。
どのような方法で実施しているか、誰が担当をしているか、どのようなタイミングで実施しているのかなど、
現場の方たちの取り組みの目安になる結果も出ています。

詳細はぜひ、研究代表の方が所属している組織のHPをご覧ください。報告書のダウンロードができるようになっています。

東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム 終末期ケアのあり方 中里和弘
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/kenkyu/team/syumatsuki_care.html

引用
・全利用者の遺族を対象に遺族訪問をしている事業所は7割であった。
・滞在時間は30分と60分に2極化した。
・9割以上の事例で、遺族訪問が「提供したケアの評価、生前の当時の家族の思いを知る機会、提供したケアや仕事への自身につながった」と回答していた。
・2割以上の遺族が、終末期に生前の看取り期に死にゆくプロセスをうまく受容できていなかったと評価された。
・ケア提供者から見て、本人の意思をケアに反映できたとする割合は、家族の意思を反映できたとする割合よりも低かった。
・ケア提供者から見て、家族の意思をケアに反映できた事例の方が、家族は利用者の死にゆくプロセスを受容し、遺族訪問時の状態も良好であったと評価された。


人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ホスピス・緩和ケア病棟の遺族ケアに関する研究」 北得美佐子(2016)

2016-05-02 09:58:37 | これまでの活動
『遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究3 J‐HOPE3』(公財)日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団

共同研究者という立場で、分析等の作業にかかわらせていただきました

ホスピス・緩和ケア病棟で家族を亡くされたご遺族1021名に対し調査を実施し、707名から回答を得た。
「死別後の入浴ケア」「カードや手紙の送付」「追悼会」に対するケアについて、ご遺族からの評価と今後の課題を提起している。

引用
・『死別後の入浴ケア』の経験者は9.0%であったが、85.7%は参加への満足を「そう思う」と示した。
・『カードや手紙』は56.7%が受け取り、「家族の悲しみを癒す心遣いであった」と61.6%感じ、「気にかけてくれる」と42.2%が良い反応を示した。
・『追悼会」は6.9%が参加し、看護師や他の遺族との会話を90.0%が「よかったこと」と示した。

・改善点として、遺族ケアの実施時期や連絡方法、家族への目的や方法の説明、医療者の関わり方について、より明確な指標を明らかにする必要があると示された。


よかれと思って提供したケアであっても、それは「押しつけ」であっては決してならないし、かといって「待ち」の姿勢だけではいけない。
各々の家族の生活形態や気持ちのリズムを感じ、良いタイミングで提供しないと、それはケア提供者の自己満足にとどまってしまう。
本当に難しい…でも必要としてる人は多くいる。
試行錯誤、手探り。ケア提供者も研究者も、逃げ出さずに取り組むことが本当に大切。そう思う。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「自宅浴室での湯灌体験に対する家族の気持ち-悲嘆作業へのつながりから考える-」

2014-06-21 16:49:23 | これまでの活動
第19回 日本緩和医療学会学術大会 ポスター発表

2014年6月19日から21日まで、神戸で開催されました。
2年ぶりのポスター発表は、㈱GCIとの共同研究で、
ルーテル学院大学大学院包括的臨床死生学研究所において研究指導を受けました。

一部、ご紹介です。
湯灌は、かつては弔いの儀式として親族によって行われていましたが、
現代ではグリーフケアの一環として、看護師や葬祭業者によって行われています。
そして、自宅という日常の空間での湯灌は、緩和ケア病棟でのそれとはまた、
違った感情を引き起こすのではないかと考えました。
そこで、ご遺族15人に対して、非構造化インタビューを実施しました。

結果としては、高齢者に対する湯灌は、家族に対してグリーフケアに効果的に働きました。
印象的なコメントとしては、おじいちやんの湯灌をしたお孫さんは、
「命の勉強ができた」とおっしゃっていました。
しかしご自身より年少者を湯灌したご家族は、
「しなければ良かった」とマイナスの感情に作用していました。
お子さんを亡くした方は、
「もっとしてあげれることがあったかもしれない」という強い無念の思いがある一方で、
浴室はケアを行った場所であることから、
入浴する度に闘病生活とケア全体の不全感を想起させることにつながったと考えられます。

湯灌は現代では一般的な取り組みではないので、看取り後に説明と意向を確認をするのではなく、
死がそれほど遠くないと判断された時期から、その意向確認をしていくことが必須です。
そして選択肢として、清拭か湯灌かをゆっくりと考える時間が必要と考えます。

関心を持ってくださった方、詳細の資料をご希望の方は、下記までご連絡ください。
naonao0706@mail.goo.ne.jp
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「在宅ホスピス緩和ケアにおけるグリーフケアの現状と課題-質問紙調査による実態把握を踏まえて-」

2012-06-28 10:05:24 | これまでの活動
第17回 緩和医療学会学術大会 ポスター発表

6月22日~23日に神戸で開催された学会で、7年振りに発表をしました。
今回は、横浜に本部がある「㈱GCI」と協働で実施した調査をもとにしています。
当日は、現場の方を中心に、貴重な感想、意見もいただきました。
多くの実践者が、その必要性を感じながらも、「続かない」「取り組めない」と頭を抱えています。

以下、ポスター発表からの一部引用です
・診療所221機関、訪問看護288機関の計509機関に質問紙を発送し、有効回収率は17.4%。
このうち、グリーフケアを実施していると回答をした診療所は36.1%、訪問看護は58.4%でした。

・実施方法と頻度について、診療所、訪問看護ともに、家庭訪問を実施した事業所が最も多く、行なっていないと回答をした事業所は、わずかに1事業所。次いで、「電話相談」「カードや手紙の送付」という結果となりました。

・グリーフケア全般について自由記述で回答を募ったところ、グリーフケアを実施している事業所を中心に、金銭的な支援を期待する声、知識や技術を学ぶための研修会の開催を期待する声が多くありました。

・在宅ホスピス緩和ケアにおけるグリーフケアは、人員的、時間的、財政的に制限があるなかで、事業所内の理解と協力を得て、職員ひとりひとりの「思い」を支えに実施され、それがケアの継続の要因であることが確認できました。また普及に向けては、ケア従事者の養成が必要です。本調査結果では、職種を問わず、自身がグリーフケアの担い手となる意識が高いことがわかりましたが、その一方で、専門の知識を持たないことへの不安感も示されました。さらに、今後は在宅ケア領域で提供されるグリーフケアの研究が欠かせないと考えます。それを踏まえ、在宅ホスピス緩和ケアにおけるグリーフケアの指標の提示を検討していくことも必要であると考えます。


緩和ケア病棟を中心に、グリーフケアは発展し、普及しています。しかし、在宅ケアならではの方法や取り組みの困難性もあると考えます。
そのため今後は、在宅ケアでの実践をより詳細に分析し、使いやすく分かりやすい、いわゆる「how to」の提示をしていく必要があり、そして検討していきたいと考えています。

本研究に関心を持って下さった方、詳細について郵送もしくはメールで資料を送りますので、下記までご連絡下さい。

naonao0706@mail.goo.ne.jp
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「在宅療養支援診療所におけるソーシャルワーク援助の現状-アンケート調査からの実態把握-」 野田京

2010-04-01 20:01:39 | これまでの活動
『医療と福祉』No.87 Vol.43-No.2 2010-3

昨年3月に行ったアンケート調査をもとに、調査論文を執筆し、このたび掲載が決まりました。
調査にご協力くださった方々に、あらためて御礼申しあげます。

この調査で把握できた結果として、我が国においてソーシャルワーカーを配置している在宅療養支援診療所は、わずか19機関でした。

上司がいない、同じ悩みを共有できる同僚や仲間がいない…そのような環境においても、よりよい支援を提供したい、ソーシャルワークの専門性は何だろうと、切磋琢磨しながら業務開発をしている様子が伺えました。

在宅ケアが推奨されている現在、在宅医療の現場にもソーシャルワーカーは必要です。
調査結果を踏まえ、論文で述べた自身の考察を紹介させていただきます。

「在宅医療は、生活の中に医療サービスを組み込み、その人の在宅療養生活を支援する役割がある。生活が医療提供の基盤となっているため、医療サービスの実施に際しては生活支援が不可欠であり、その支援が適切に行わなければ、在宅での療養生活そのものが破たんしてしまうこともある。そのため、生活基盤の整備や
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「単身高齢者の在宅ターミナルケアの条件」 野田京

2008-11-23 21:53:48 | これまでの活動
『医療と福祉』 No.84 Vol.42-No.1 2008-11

約2年振りに論文が掲載されました

前職場では、「独居」「親族なし」「貧困」というキーワードが、「困難ケース」とみなされ、ソーシャルワーカーの関わりがより重要視されていました。
なかには、患者さん本人も「家で死にたい」、主治医も「最期までここで診てあげたい」と意向は一致していても、実際は「最期まで家で過ごす」ということが困難でした。
それは疾患的な問題よりも、介護体制や援助機関同士の役割分担、援助機関同士の「連帯感」であったように思います。

ある女医さんは独居女性に対して、「貴女もここに居たいっていうし、私もそうしてあげたいけど、私一人で支えている訳ではないし…。後々のことについても責任を負うのは、とても難しい。だから、ずっとこのまま、家で支えるのは無理かもしれない…」と、とても悲しい表情で話をされていました。

患者さん本人もそして医療者も、「家で過ごしたい、過ごさせたい」と思っていても、「独居高齢者」であるがゆえに、実現ができないのはなんでだろう…
という疑問か
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

在宅医療におけるソーシャルワークの実践報告(医療と福祉 No.80 Vol.40-No.1)

2008-04-10 11:13:11 | これまでの活動
日本医療社会事業学会で大きな反響をいただいたので、書面で事例の詳細を紹介したいということで、修士論文をコンパクトにまとめました。

 概要
 厚生労働省が提案している、「在宅医療における分類別の提供体制のあり方」を 踏まえ、以下のカテゴリー別に1事例づつ援助経過を紹介。
 ・高齢者など看護や介護が中心の在宅医療
 ・患者自ら医療技術を用いる在宅医療
 ・在宅末期医療

 ・主治医不在者への診察とアセスメント←このカテゴリーについては、自身の経験から、別枠として設ける必要があると判断し、追加している
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

在宅医療におけるソーシャルワーク~その役割と機能~ (第25回 日本医療社会事業学会 発表)

2008-04-10 11:01:38 | これまでの活動
自身の修士論文が原案。
在宅医療領域のソーシャルワーカーの役割と機能を、業務分析結果を踏まえて報告。

 研究結果
在宅生活は、医療環境が整っていない場合が多いため、その不都合を最小限にとどめられるよう、在宅医療の領域のソーシャルワーカーは、療養生活そのものの基盤作りから支援していることが明らかになった。これは病院のソーシャルワーカーにはみられにくい、特徴的な役割のひとつだと考えられる。またこのような役割を果たすことで、在宅酸素が必要な人、進行性の難病を抱える人、末期状態にある人など、いわゆる重症患者の在宅生活を支援していくことに有効な機能を果たしていることが明らかになった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする