社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「自宅浴室での湯灌体験に対する家族の気持ち-悲嘆作業へのつながりから考える-」

2014-06-21 16:49:23 | これまでの活動
第19回 日本緩和医療学会学術大会 ポスター発表

2014年6月19日から21日まで、神戸で開催されました。
2年ぶりのポスター発表は、㈱GCIとの共同研究で、
ルーテル学院大学大学院包括的臨床死生学研究所において研究指導を受けました。

一部、ご紹介です。
湯灌は、かつては弔いの儀式として親族によって行われていましたが、
現代ではグリーフケアの一環として、看護師や葬祭業者によって行われています。
そして、自宅という日常の空間での湯灌は、緩和ケア病棟でのそれとはまた、
違った感情を引き起こすのではないかと考えました。
そこで、ご遺族15人に対して、非構造化インタビューを実施しました。

結果としては、高齢者に対する湯灌は、家族に対してグリーフケアに効果的に働きました。
印象的なコメントとしては、おじいちやんの湯灌をしたお孫さんは、
「命の勉強ができた」とおっしゃっていました。
しかしご自身より年少者を湯灌したご家族は、
「しなければ良かった」とマイナスの感情に作用していました。
お子さんを亡くした方は、
「もっとしてあげれることがあったかもしれない」という強い無念の思いがある一方で、
浴室はケアを行った場所であることから、
入浴する度に闘病生活とケア全体の不全感を想起させることにつながったと考えられます。

湯灌は現代では一般的な取り組みではないので、看取り後に説明と意向を確認をするのではなく、
死がそれほど遠くないと判断された時期から、その意向確認をしていくことが必須です。
そして選択肢として、清拭か湯灌かをゆっくりと考える時間が必要と考えます。

関心を持ってくださった方、詳細の資料をご希望の方は、下記までご連絡ください。
naonao0706@mail.goo.ne.jp
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「高齢期の孤独・孤立の要因分析とその解消にむけたソーシャルワークの接近方法」高藤真弓(2010)

2014-06-01 06:37:34 | 社会福祉学
『日本社会福祉大学社会福祉論集』第122号 2010年3月

高齢者夫婦、高齢者単身世帯が増加する中で、「孤独」が「孤立」へとつながり、やがて生活の不安定性を作り出していく様相を明らかにし、ソーシャルワークはこの課題にどうアプローチできるのか。文献からの分析、インタビュー調査からの分析を行っている。

引用
・社会的孤立の状態が生活の不安定性を引き起こす要因のひとつとなる。
・2007年の自殺者のうち、60歳以上の高齢者は36.6%を占めている。その動機は健康問題が突出している。
・社会関係を失い、孤立した結果起こってくる社会的モンぢあの一つとして、「高齢期の自殺」「孤立死」がある。(中略)そして、孤立死を予防するためには「孤独」の解消が必要である。
・タントールは孤独の諸形態として、①独居②社会的孤立③孤独不安④社会的植物人間化の4点を挙げている。
・竹中星郎は、孤独とは老いそのものによるさびしさであり、仕事や立場などのラベルをうしなったことによる無名化であり、心身の喪失と生きる空間の狭隘化だとしている。
・(筆者のまとめとして…)孤独な高齢者を発見し、高齢者の社会的孤立を防ぐために、高齢者の身近にいる人や期間・集団との協働を行うネットワーク形成を行うことがソーシャルワーク・アプローチの重要課題である。


その人が持っている「つながり」を知ることが必要であり、それがソーシャルワーカーが果たせる機能であると考える。
筆者の指摘しているように、地域包括支援センターは介護予防の観点からの役割であり、対象者が限定されてしまっているのが現状であろう。
「自宅」という枠組みが拡大されている。法的な根拠を有しない、民間の独自事業として、ソーシャルワーカーや看護師がサービスを提供しているところもある。
誰とつながっているのか、どこと繋がっているのか。それを把握することは法的な根拠の有無を超えて、援助者として最低限必要な果たすべき役割であろう。

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