社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「協働で行う死後の”入浴ケア”(湯灌)が家族のグリーフに及ぼす影響」多賀裕美、柳原清子

2012-08-27 20:47:11 | 看護学
『死の臨床』Vol.31 No.1 2008年7月

 緩和ケア病棟で実施されている湯灌について、家族と看護師が協働で行うことで、家族のグリーフにどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的としている。
 湯灌そのものが一般的には行われていない現代において、その実情を知るためにはとても参考になった。

引用
(調査結果、分析より)・配偶者と娘息子の立場では死後の入浴ケアに関する感情に差があるのではと推測そたが、それはなかった。
(調査回答より)
・「病気と闘った日の切なさが、洗い流す度に私の涙となって一緒に洗い流されていくような思いだった」
・「清拭より普通の扱いとして良い方法だと思う」
・「旅立つ時に綺麗にしてもらった」
・「異性だったらどう思ったかは疑問」
・「自分だったら、最後まで裸をさらけ出したくない」
・「何となく悲しくて参加できなかった。生前に(入浴を)手伝っていたのでその思い出を大切にしたかった」


 全体的な評価として、死後の入浴ケアをこのまま続けたほうが良いとの回答は、77%におよんだ。満足度は高いと言えよう。

死後のケアは、「本人のため」というよりもむしろ、「残された者の心の整理のため」に実施されているのかもしれないと思った。
本人に、「亡くなった後に、お風呂に入りますか?」と事前に聞くことはあるのだろうか?と素朴な疑問を抱いた一方で、
もし自分が聞かれたら、「死んだ後のことまで、考えられない」と感じるかもしれないと思った。

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「赤ちゃんを亡くされた遺族へのグリーフケア-遺族のケアニーズの一考察-」関谷共未

2012-08-18 17:32:30 | 社会福祉学
『ソーシャルワーク研究』Vol.37 No.4 2012

 筆者はカウンセラーであり、お子さんを亡くした経験を持っている。
主に、筆者が関わっている法人が実施した、遺族のケアに関する調査結果が報告されている。それを踏まえ、ソーシャルワーカーが支援できる可能性、ソーシャルワーカーだからこその専門性について、論じられている。

引用
・遺族はわがままかもしれない。悲しみと苦しみでいっぱいで、自分のことしか考えられない。
・(援助者が)何をすればよいかがわからなければ、「何をしてほしいか。自分にできることはないか」を率直に尋ねる。何かしたいと思えば、声をかけ思いを伝える。遺族にとっては、自分のことを気にかけてくれる人がいると感じることは。大きな癒しになります。

<遺族が望むケアについての調査結果より>
・「心のケアのサポート体制の充実。病院自体に遺族のケアのシステムがあればいいと思う」
・「医療機関で心のケアまでしていていただくのが不可能なら、せめて家族の会のことを一言教えて頂きたい」


生まれてすぐに亡くなった子を持つ親は、しばらく経ってから、その子の生きた証がないことに気づく…という。だから、手形や足形、写真撮影などを専門家である医療者等に提案して欲しいと望んでいる。
専門家は、医療的な経過を予測する以外にも、心のケアに必要であろう作業(プロセス)についての予測も求められる。
医療者だけでは、対応が難しいであろう。ここに、心理士やソーシャルワーカー等の専門家が介入できるし、していくべきだと痛感した。
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