社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅ホスピス緩和ケアにおけるグリーフケアの現状と課題-質問紙調査による実態把握を踏まえて-」

2012-06-28 10:05:24 | これまでの活動
第17回 緩和医療学会学術大会 ポスター発表

6月22日~23日に神戸で開催された学会で、7年振りに発表をしました。
今回は、横浜に本部がある「㈱GCI」と協働で実施した調査をもとにしています。
当日は、現場の方を中心に、貴重な感想、意見もいただきました。
多くの実践者が、その必要性を感じながらも、「続かない」「取り組めない」と頭を抱えています。

以下、ポスター発表からの一部引用です
・診療所221機関、訪問看護288機関の計509機関に質問紙を発送し、有効回収率は17.4%。
このうち、グリーフケアを実施していると回答をした診療所は36.1%、訪問看護は58.4%でした。

・実施方法と頻度について、診療所、訪問看護ともに、家庭訪問を実施した事業所が最も多く、行なっていないと回答をした事業所は、わずかに1事業所。次いで、「電話相談」「カードや手紙の送付」という結果となりました。

・グリーフケア全般について自由記述で回答を募ったところ、グリーフケアを実施している事業所を中心に、金銭的な支援を期待する声、知識や技術を学ぶための研修会の開催を期待する声が多くありました。

・在宅ホスピス緩和ケアにおけるグリーフケアは、人員的、時間的、財政的に制限があるなかで、事業所内の理解と協力を得て、職員ひとりひとりの「思い」を支えに実施され、それがケアの継続の要因であることが確認できました。また普及に向けては、ケア従事者の養成が必要です。本調査結果では、職種を問わず、自身がグリーフケアの担い手となる意識が高いことがわかりましたが、その一方で、専門の知識を持たないことへの不安感も示されました。さらに、今後は在宅ケア領域で提供されるグリーフケアの研究が欠かせないと考えます。それを踏まえ、在宅ホスピス緩和ケアにおけるグリーフケアの指標の提示を検討していくことも必要であると考えます。


緩和ケア病棟を中心に、グリーフケアは発展し、普及しています。しかし、在宅ケアならではの方法や取り組みの困難性もあると考えます。
そのため今後は、在宅ケアでの実践をより詳細に分析し、使いやすく分かりやすい、いわゆる「how to」の提示をしていく必要があり、そして検討していきたいと考えています。

本研究に関心を持って下さった方、詳細について郵送もしくはメールで資料を送りますので、下記までご連絡下さい。

naonao0706@mail.goo.ne.jp
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「緩和ケアの早期化・在宅化が専門病院に与える影響―長年の実績に基づく専門病棟のあり方―」

2012-06-05 11:04:59 | その他
がん医療マネジメント研究会 News Letter11(2008年8月)
取材協力:池永昌之・田村恵子

淀川キリスト教病院・緩和ケア病棟における実績とこれからの課題についてのインタビューが中心。
がん治療のあり方が、緩和ケア病棟でのケア提供のあり方に、そのまま影響を及ぼすことを実感する。
緩和ケアとは何か?を再確認できた。

引用
・新しい抗がん剤の登場と外来化学療法の発達により、ホスピス病棟では緩和ケアの提供機関が従来よりもむしろ遅くなる傾向がみられる。
・緩和ケアは命を縮めるものではなく、QOLを上げ、長く生きるために必要な医療である。
・病診連携や訪問看護ステーションとの連携において、コーディネートを主に看護師が担っていますが、今後、その役割はMSWへシフトすべきだと感じています。
・緩和ケアを早期から看取りまで一貫して同一チームで行うことは、患者さんが安心して緩和ケアを受けられることにつながります。



緩和ケア病棟は対象患者が限定されているがゆえに、「緩和ケア=がん終末期」という印象が拭えない。このインタビュー記事にも、そのような箇所が垣間見られた。
しかし両氏はもちろん、そのような限定的なこととして述べているのではないであろう。それでも垣間見られるのは、在宅ケアの提供機関ではなく、ホスピス病棟からの発信であるからだと感じた。

在宅ケアであれば、上記引用の一番最後の事柄については、数年間の訪問診療の後に亡くなる高齢者や障がい者等がその対象となっている。
しかし在宅ケアの領域に、「緩和ケアを提供している/その専門性を有している」とする援助者は、少ないであろう。「終末期ではない患者」に対してはなおのこと…。

何とも言えない歯がゆさが残った。
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