筆者は、40代~50代の方の引きこもり支援をしている実践者である。法律、制度の限界(狭間)を埋めるべき活動されている様子が
わかりやすく書かれている。
ひきこもりとは?という堅苦しい学問的な側面からではなく、とある若者のある一つの生活の有り様として。
そういった視点から本書を読むと、先入観や思い込みを打ち破るような感覚になると感じた。
引用
・本来、学校は子供の安心と安全を守り、成長をさせることが責務です。しかしそれが機能せず、子供が学校に行けない理由を学校側にあると考えず、それぞれの子供の気質にその原因を求めたのです。そこに子供の悲劇の一つがあります。「発達障害」という言葉は、この20年の間に社会に蔓延しました。子供はいびつなのが自然であり、そのデコボコと向き合って人として成長させていくのが学校の役割ではなかったでしょうか。
「ひきこもり」支援は、法律、教育、福祉、場合によっては医療と、多岐にわたるものである。しかしながらそれは長く「厄介なもの」としてとらえられ、見て見ぬ振りをされてきたもののように思う。自治体によっては、急速に専門支援員の雇用がされ始め、「専門特化している」と「アピール」している感がある。問題は専門家を雇うのではなく、「向き合い、逃げず、つながり続ける」ことを専門家と称する人たちに教育し続けることなのだろうと思う。そう考えたとき、日本ではまだまだ産声を上げただけのように思えてならない。