社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「人生の最終段階に向けた医療・ケアの話し合い経験の関連要因ー埼玉県A市における横断的調査の結果から―」山口乃生子、他(2023)

2023-06-14 16:18:24 | 看護学

『日本エンドオブライフケア学会誌』Vol.7,No.1

死が間近に迫ったとき、もしくは意思表示ができない状態になったとき。そんな「もしも」の時に備えて、家族間で話し合いをしているのか?

もししているのであれば、何がきっかけとなって話し合いをしたのか等の要因を明確にすることを目的としている。

調査方法は、20代から80代以上の地域住民を対象とした質問紙調査である。

*本研究における「もしも」の時の定義、「例えば事故や病気などで死が近い時、あるいは自分の意思を誰かに伝えることができなくなった時」

 

引用

・(管理者 注「死を考える経験」←身近な人が病気になった、大きなけがをした等 を糸口に)その経験が話し合いの糸口となる可能性がある。

・家族と意見が異なる時、「話に触れない」ことが話し合い経験に負の関連を示した。

・話し合い経験に関連する要因⇒話し合いの必要性の認識、死を考える経験、代理意思決定者の選定、書面への記載、かかりつけ医の決定、

               意見が異なる時でも話ができるよう関わること

 

「痛いのは嫌だから、必要以上の注射とか点滴はしなくていい」「口から食べられなくなったら、自然に任せて欲しい」

…一見あいまいに聞こえる意思表示かもしれないが、こういったささいな事がきっかけで、本腰を入れて話を詰めることにつながることもある。

「子どもたちのいいように」とか「あなたに任せる」といった意思表示が、周りの人を苦しめることも少なくないように思う。

元気なうちに、とは言っても実感がわかないと何を話していいのかすら分からない。

そのため、誕生日にとか、結婚記念日にとか、その人の大きな節目に、

支援者があえて「もしもの時のことを話してみませんか?」と切り出してもいいのでは?と思った。

 

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「在宅療養支援診療所における相談支援・連携業務の多面性とその実践状況:社会福祉専門職の特徴分析」西岡大輔、他(2022)

2023-06-02 16:54:33 | 社会福祉学

『日本在宅医療連合学会誌』第3巻・第4号

在宅療養支援診療所において、相談連携担当者が関わる重要な業務の多面性とその種類を統計的に抽出することを目的としている。

さらに、社会福祉専門職が果たしている役割と可能性に関して検討している。

 

引用

・相談連携担当者が社会福祉専門職である場合に、地域活動業務や連携業務、スペシフィックな支援業務が重要と認識され取り組まれやすいこ

 と、医事関連業務が実践されにくい傾向があることが計量的に明らかになった。

 

本研究の最も大きな成果は、社会福祉学関連の専門書や職能団体の学会誌ではなく、

医師や看護師といった他職種が中心となり結成された学会の誌に掲載されたことであると、私は思う。

在宅療養支援診療所に限らず、有床医療機関の地域連携室等には看護職が配置されており、社会福祉専門職としての専門性を

ながく問われている。

20数年前、片手で数えられる数しか存在していなかった在宅医療領域のソーシャルワーカーが、他の学問でも受け入れられ、

そして掘り下げられていくことを、「感慨深い」という一言では表現しきれない、嬉しさ爆発の感情を持って読み進めた。

 

 

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