社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「高齢者ショートステイにおける生活相談員業務の実態調査-業務の「実施状況」と「必要性認識」に着目してー」口村淳(2011)

2018-06-16 19:59:33 | 社会福祉学
第58巻第15号『厚生の指標』2011年12月

 短期入所生活介護における生活相談員業務について、「実施状況」と「必要性認識」を郵送調査を通して明らかにしている。
 必要だと認識した上で実施している、必ずしも必要とは認識していないものの求められて実施している-各々の業務を整理している。

引用
・調査回答者について:取得資格は社会福祉主事が最も多く、次いで介護福祉士であった。
・「利用者・家族の入所前相談面接」は(中略)多職種協働の必要性が高い業務であるにもかかわらず、実際には相談員が担っている状況がうかがえる。


 ショートステイサービスに関わる職員の配置について、入所もしくはデイサービスと兼務になっている事業所がほとんどであろう。
自宅と施設との切れ目のないケアの提供は、地域包括ケアの実現に必要不可欠な視点であり、ショートステイも重要なサービスの一つであるにもかかわらず、その専門性を追求していくことは、実践においても研究においても多くみられない印象を受ける。
 「時間や労力だけ取られて、なんだか疲れる」。これはともにショートステイサービスを運営している仲間が一日1回は漏らす言葉である。ショートステイは家族本位のサービスという側面が強く、それは決して否定はできない。
しかし2泊3日、家族が休息をとることで、その後の1ヶ月間を介護者も要介護者も穏やかな気持で過ごすことができるのもまた事実である。専門職としてそのサービスを円滑に、そして心地よく遂行できるためには何が必要か?本論文から少しそのエッセンスを読み取れた気がした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ALS患者におけるジェンダーと人工呼吸器の選択について」酒井美和(2012)

2018-06-09 22:58:32 | 社会福祉学
「Core Ethics」Vol.8

症状の進行に伴い、人工呼吸器の選択が回避できないALS患者。その選択の際に、男性であること女性であることが何らかの関係を及ぼしているのではないか?ということについて、文献、調査研究をしている。

引用
・女性患者が人工呼吸器を選択しにくい状況があり、、女性患者の場合には、まず「家族負担の憂慮」が挙げられ、次に「症状の進行に伴う未来への失望」が挙げれらることが窺える。
・家族の安定に非常に重きを置き、そこに自分の存在価値を認め、家族のために生きる、家族を害するぐらいなら自分が犠牲になった方が安寧が得られる、といういわゆる典型的な女性のジェンダー像が透けて見えるようにも感じる。(中略)女性の患者本人だけではなく、家族が各専門職など、周囲の人、地域、社会も含んだ、根本に根ざしたジェンダーがあるのではなかいと思う。


 「家族を愛しているから、家族を守りたいから」と、人工呼吸器の装着を選択しなかった男性を担当したことがある。おそらく、ものすごい苦悩があり、計り知れない家族の中での葛藤があり、誰かがそう言い切らなければ、きっと最終決断を表出できなかったであろうと思うと、どんな選択であれ、大きな決断については脱帽の思いでいる。
 選択の幅をできるだけ広げていくことが専門職としての使命であると思うが、同時に、選択の先の生活、思いに寄り添い続けていくことも忘れてはいけないと痛感した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする