『広島大学大学院教育学研究科紀要』 第三部 第67号
育児支援の一つとして、就労していない親(主に母親を指す)が休息できるよう、一時預かり事業が実施されているが、
当事者にはその利用が浸透していない現状も見られている。利用しにくい理由や背景を明らかにすることを目的に、
文献調査、自治体Hpからの情報収集を行っている。
引用
・乳幼児子育て期の保護者がリフレッシュ目的での一時預かり事業を利用しにくい理由や背景について、次の3点が明らかになった。
①手続き上の困難
②子育てをめぐるアンコンシャス・バイアス
③女性(母親)自らが抱く育児呪縛
・先行研究からの抜粋
リフレッシュ目的による一時預かり事業を実施していない施設長に限っては、一時預かり事業の実施が子どものためにならない
と思う理由について、「保護者の都合で急に知らない環境に置かれるのは、子どもに与える負担やマイナス面が多すぎる」「明確
な理由がない場合は、保護者が子どもを保育したほうがよい」などの回答があったと報告している。
「子どもは社会の財産です」というキャッチコピーを耳にする機会が多くなってきているが、
その真剣度は果たしてどの程度あるのか?という素朴な疑問を沸き立たせる論文である。
利用手続きの煩わしさ、利用面接の際のなんとも言えないプレッシャー(これは私が体感したことなので主観ですが…)、
様々がハードルが一時預かり事業の利用を阻み、結果として「利用者数が少ない」ということになっていないか?と
怖ささえ覚える。
どうか広い目で、親たちの成長をサポートして欲しいと切に願う。