『精神療法』Vol.45 No.2
染色体異常のために、生前から命が短いと分かっていた赤ちゃんの誕生と、遠くはない死に対する支援について、事例を通して紹介している。
引用
・(事例より)Aちゃんの障害が判明した時点で両親(夫婦)は、健康な子を産み育てるという希望を喪失し、そして我が子の命は短いという事実に直面した(予期悲嘆)。
・近い将来の家族メンバーの死を「家族が共に悲しむ」や、子との死別を「夫婦で哀しみを分かち合う」は、とても難しいことなのである。基本的にグリーフはその人個人のものであることをまずは押さえておきたい。
子の障害が重篤であったがゆえに、手技をこなせる母親が一手にケアを担ってしまうことになり、結果として家族の中で孤立してしまった…事例ではそのような一幕も紹介されていた。そしてそんな母親を支援することに集中してしまった支援者たちは、父親もまた、孤立させてしまったと紹介している。
子の誕生、育児支援、看取りの支援…ものすごいスピードで場面が展開するなかで、支援者たちはおそらく、常に次の二手三手先までの支援を模索し、検討し、用意していたのだろう。
医療技術が発達した近代においては、特別な配慮を必要とする子も多く誕生している。病院で在宅で、もしくは施設で、そういった子と家族の支援はますます重要となり、専門特化していくのだろうと考えさせられた。