社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「死後のケアに関する意識調査-<処置><ケア>を超えて-」小林祐子

2012-09-05 10:20:59 | 看護学
『ホスピスケアと在宅ケア』Vol.12 No.13 2004

 死後の処置について、看護職はどのように捉えているのか。半構造化インタビューを通してその思いを抽出し、課題を提示している。

引用
・死後のケアの中心となる担い手は誰が適切かという問いには、人の看取りの視点で考えると看護師が望ましいと全員が回答していた。
・(患者さんの整容を通しての看護師の心情)亡くなるまでの苦痛が強かったほど苦痛から解放されてよかったと捉える傾向が強かった。
・(死後のケアは看護師にとって)死を認識するというよりも看護を振り返る場となっていた。


 死後のケアを通して、家族は死の認識を始め、看護師は看護を振り返ることができる。とてもデリケートな場面に、多くの思いが交錯し、そして多くの学びや気づきが存在する。奥が深いとしみじみと感じた。
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「ターミナル期における入浴と湯灌」平田済、佐伯あゆみ、中島真澄、坂元晃子

2012-09-04 09:26:55 | 医学
『臨床看護』2006年4月号

緩和ケア病棟で実施されているターミナル期の入浴と湯灌についての実践報告と、事例からの効果の分析を報告している。
湯灌については、委託先の葬祭業者が行なっている。

引用
・看取りが近くなった場合、以下のような説明をしている(一部のみ引用)。
 ⇒最期に着る服:準備をしておくことについて、本人の好みと本人らしさ
  湯灌:湯灌の内容、無料サービス、夜間は行わず翌朝まで待つこと

・湯灌とは
 ⇒湯灌の儀式には、生まれたとき産湯につかるのと同じように、来世で新たに生まれ変わって欲しいという願いが込められている。現世の苦しみ・汚れを清め、故人が新たに旅立ちをするという意味がある。

・湯灌を導入した効果
 ⇒家族ケアにつながる効果が期待される


湯灌は、家族が死を受け入れることにつながる…という事例報告があった。
死後、葬儀の手配等に追われ、訳が分からずに火葬場に着いていたというのではなく、身体を洗いながら故人と対話することは確かに効果があると思った。
しかし、湯灌は時間も手間もかかる。ゆえに、まだまだ一般的には行われていない。グリーフケアの一環であるという意味で、その方法に位置づけていくことが現実的であると考える。

臨牀看護 2006年 04月号
クリエーター情報なし
へるす出版
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「日本人の死生観・遺体観に基づくグリーフケアとしてのエンゼルメイクに関する考察」小林珠実

2012-09-03 09:43:59 | 看護学
 看護師が行うエンゼルメイクは、遺族のグリーフケアにどのような影響を与えているのかについて、先行研究の分析から考察を深めている。
エンゼルケアの概要を知るために、役に立つ。

引用
①エンゼルメイクは、2000年前後により看護師の業務の一環としてのケアから遺族中心のケアへといったした視点の転換に伴い、家族も共に参加するようになってきている。
②グリーフケアは、遺族の声にじっくりと耳を傾け、気持ちに寄り添うといったいわゆる心のケアだけではなく、専門家の介入による治療や社会資源に関する情報提供など、遺族の生活に関わるサポートとして捉えることができる。
③エンゼルメイクは、その人らしい顔を残すことを重んじる日本人の死生観や遺体観と関係が深く、遺体の清拭や整容、保清などのケアを通して患者の威厳を保つとともに、最期の「顔」の重要性を示すものであった。


引用②について、これはソーシャルワーカーの機能を果たすことができる領域だと、あらためて感じた。心のケアにとどまらず、これから続く生活への支援も、グリーフケアには不可欠な要素である。

引用③について、埋葬を主としている外国ではどのように扱っているのだろうか。おそらく清拭等は実施されているだろうが、湯灌はどうなのか?諸外国の動向を知りたいと思った。
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