大連立のパラドックス。paradox of huge coalition cabinet

　(1)首相が復興構想会議を設置して、与野党一体となった復興ビジョンの策定による被災地復興支援を推進する。東北地方太平洋側一帯の壊滅的な被害の復興には、「ゼロ」からの行政、経済、社会のそしてエネルギー政策の建て直しが求められる。

　被災地地元の声も聞き、取り入れながら今回の重い教訓を復興に活かした後世につながるとりわけ安全で安心な地域、街づくりを策定しなけらばならない。
　東北地方の歴史的な文化、産業、精神性を残した、取り入れた復興ビジョンが欠かせない。

　(2)前代未聞の東日本大震災では、与野党一体となった全国会協力、協調による復興支援体制は当然のことだ。民主党内には復興担当を含めた閣僚３名を増員して、自民党を視野に入れた「大連立」構想（huge coalition cabinet plan）も再び出始めており、今度は自民党内にも同調の機運が見られると言う。

　「与野党一体（self-same government party and opposition party）」と「大連立（huge coalition cabinet）」とは、必ずしも一致しない。本来、政治手法、政治理念、基本政策の違う政党同士が、時限的であっても目的を狭義に限定して「連立」する政治的意義はどこにも見出せない。

　(3)大連立構想は、国民が選択した政治体制とはかけ離れて、国民の意思を反映するものではないし、基本理念、政治手法の違う者同士が内閣を構成しても、おっつけ理念矛盾が噴き出して政策推進には逆効果となることが自明だ。
　またパラドックス（paradox）として、そうでなければ「政党」の存在意義は「ない」ことになるからだ。大連立のパラドックスだ。
　政治的一体感を示すだけの政治パフォーマンスは必要もなく、前代未聞の東日本大震災復興支援策定には全国会をあげた「与野党一体」となった協力、協調の政治体制が必要なだけだ。

　(4)首相が提案した復興構想会議に全与野党が参集して、復興ビジョンの策定、計画、実施を推進すればいいのだ。
　この会議は、「政治的立場」を離れた①行政能力（比較、分析、検証）、②行政主導、③行政推進力で一体となればいいので、これは政党、議員の枠を超えた全能全知を集約する効果が期待され、これは可能だ。

　(5)今震災前にも政治的危機、閉そく感を解消するための連立構想が政党間のエゴ（egoism）だけで語られ、しかも国民の見えないところで勝手に話し合われた形跡もある。

　国民が選択した政治体制の「責任放棄」であり、国民の意思への「政治的背信行為」の何ものでもない。
　国民に託された政治的期待、信頼に応えられない政権なら、再び国民の「信」を問うべきだ。今は、残念ながらその環境にはないが。