「センバツ」が終わった。 what a white heat of game

　(1)今年の「センバツ」は、メディア全般が当然のように東日本大震災関連情報中心の上に、例年この時期三寒四温で雨も多く順延もあったゲーム日程が好天に恵まれて、一気に予定どおりの日程で進行してあっと言う間に終わったという印象だ。
　さらにゲーム差のついた短時間のゲームも多くて、１点を争う「白熱のゲーム（white heat of game）」攻防を味わう間もない「センバツ」に終始した。

　予定をすませて遅い食事をとりながら「センバツ」でも観ようかとテレビのスイッチを入れてみても、すでにその日のゲームがすべて終了していることも多く、決勝戦もすでに表彰式の最中であった。

　(2)「郷土愛」に支えられた国民の支持も高い「センバツ」が、東日本大震災の被災地を「ゲーム」で支援できると予定どおりの日程で開催されたが、ゲーム開始時間を繰り上げ、スタンドの応援も自粛し、ゲーム進行も主催団体の意向で意図的に早く設定されていた。
　東日本大震災の被災感情、計画停電に配慮したナイトゲーム、過度の華やかさ回避の措置ということのようだ。
　「郷土愛」に支えられた高校野球の「ゲーム」で被災地を支援するという趣旨からは、「あえて」いつもどおりの普段のプレースタイル、大会運営が望まれた。

　(3)全試合全国テレビ中継（NHK）は欠かすことのできない「センバツ」、高校野球全国大会の重要な構成要素として実施されたように、「センバツ」を開催した以上この「期間」だけはゲームに影響しない進行上の別の視点からの配慮があってよかった。
　「郷土愛」に支えられた「センバツ」が、今までのようにグラウンド、スタンドが普段どおりの「一体」となった進行の中で「プレー」することこそが被災地への強い支援のメッセージになったのではないのか。
　むしろ被災地のエネルギー、物資不足支援のために集団（バス）での応援は自粛してメリハリのある対応での協調という大会運営が望まれた。

　(4)高校野球では確率的にも低いナイトゲーム回避に見られる当初から震災感情を意図的に配慮したゲーム進行は、高校生プレーヤーにも普段どおりのプレースタイルを発揮できない環境がつくられていたのは、容易に理解できる。

　ナイトゲームにまでもつれ込む「白熱のゲーム（white heat of game）」こそが被災地の人を、計画停電地域の人を奮い立たせるのではないのか。
　大会成果の賛否は両論あるだろうが、東日本大震災をゲームで支援するとした「郷土愛」に支えられた「センバツ」を大会運営が活かしきれなかった。