いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

「直ちに影響はない」の先。 uncertainty of immediately uninfluence

2011-04-03 19:26:04 | 日記
 (1)福島原発事故による放射性物質の漏えい汚染データの分析、解説の有り様には「みだりに社会不安を助長しない」というメディア、専門家の意図も勘ぐりたくなるような楽観的な表現、見通しが続いて、メディアの情報公開にも一定の客観的整合性を持つ日本文化を信用すれば、現在時点での結果としては影響力の安全基準値ではあるのだろうが、パラドックス(paradox)として一部混乱を招く結果となっている。

 放射線量の濃度が基準値を超えているが「直ちに人体、健康に影響はない(immediately uninfluence)」範囲内に推移しているのだから、福島原発から半径20~30キロを超える地域での現在時点での放射線量影響度の安全性は確保されているのだろう。
 海水に流出した放射性物質の基準値を数千倍も超える濃度の高さも、海流に漂流拡散している内に「直ちに影響を与えるもの」ではなくなるらしい。

 放射性物質も種類によっては地上、人体内に蓄積して残るものもあり、われわれが放射線量に抱くのは、半永久的に影響力を残す不安だ。分析、検証、解説を通して知りたいのは、「現在時点」ではそうであってもこれが「継続」して1か月、数か月後この状態が改善されない場合の「人体、健康に及ぼす影響度」へのきめの細かい情報だ。

 「仮説」を通してみだりに社会不安を煽(あお)るようなことは、専門的見地からは言うべきでないとするスタンスは理解できない訳ではないが、国民の知る権利、安全安心社会の保障からは、最大限起こり得る可能性、影響力についてきめの細かいデータ開示は不可欠だ。
 むしろ限定的な狭義のデータ発信のスタンスが、パラドックス(paradox)としてメディア、専門家、放射線量の安全性に不安、不満、疑心を生んでいる。

 (2)放射線量データへの疑心暗鬼が周辺地域への物資搬入を滞(とどこお)らせ、生産物の風評被害を増長させて、関係住民生活を窮地に追い込んでいる。
 ①全国各地で観測が続けられている空気中の放射線量のデータのように基準値を超えないものであれば、安全安心感を持って良識ある対応は可能だ。
 ②一方、福島原発周辺、海域で発生している汚染水のように基準値を大幅に超えて発生しているデータについては、「現在時点では直ちに影響するものではない」分析は説得力を持って受け入れられないものがある。
 放射線量の特性、累積影響度をも見据えたきめの細かいデータ分析、検証、解説、発信が、メディア、専門家の使命でもあり、安全安心社会には必要だ。

 (3)そうでなくとも、被災地での放射線量の分析ではIAEA(国際原子力機関)と経産省原子力安全保安院との「くい違い」(IAEA調査の濃度は保安院調査よりは高い)も発生している。
 日本側の説明では、IAEA調査は葉の上に蓄積した物質量のデータであり、保安院調査は空気中の物質量のデータでの違いがあり、日本側データの方が安全影響度調査には有効性が高い(つまりオンタイムデータと言うことか)と主張しているが、それでも社会不安を解消することは出来ないでいる。

 (4)特にこの問題での海外の反応は敏感で、環境問題に対する「間違っても安全(fail safe)」意識の違い、関心の高さを感じる。来日外国人の帰国が相次いでおり、プロ野球巨人の新外国人投手も「家族が心配している」として米国に戻ったまま再来日のメドもついていないと言う。
 被災地周辺の想いと同じで、とにかくもっと「直ちに影響はない」の「その先」(uncertainty of immediately uninfluence)のきめの細かいデータ分析、情報発信が求められている。

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