いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

地位協定。 status of forces agreement

2011-11-29 19:36:12 | 日記
 (1)09年の政権交代による民主党政権初代首相の普天間基地移設先問題発言で、「国外、最低でも県外」主張がいかに政治環境の整理、整備の不備、不足のものであったのかをあらためて思い知らされた日米地位協定の運用改善の合意発表だった。

 米軍は国外に展開する駐留米軍軍属(軍人以外の家族、民間人)の身元安全、米軍の行動優位を保障するために、当該国と米国主導、一方的優位の地位協定(status of forces agreement)を結んでいる。
 当該国での米軍兵士、軍属の犯罪行為、事故の第1次裁判権を米国側が有するとか、基地は元どおりにして返えす義務はない、通信電波は米国優先という治外法権政策だ。

 生命を賭けて当該国の安全、財産を守る米国の代償としての一方的優位な保障条件協定と言うところだ。戦後60年以上も経過して、沖縄返還から40年以上も経つのに、沖縄ではつい近年まではこの地位協定のために増え続ける米軍関係者の犯罪、事故にあたっては、米国側が身柄確保から裁判の有無まですべての権利を有していた。

 治外法権の米軍基地内に米軍関係被疑者の身柄を置き、帰国させて事件、事故の責任を問わないことがまかり通った時代があった。米国側の生命を賭けてまで日本の安全、財産を守る日米安保同盟の代償、優位観に基づく当然の権利と言う米国の主張、論理(地位協定)だ。

 沖縄がいまだに米国(米軍)占領政策の中にあることの実態を示し、そして、いざと言う時に米国(米軍)が本当にその生命を賭けてまで日本を守るかという現実的保障もない、中東、アジアのようにエネルギー資源の確保のためでもなく、軍事戦略的基地だけの日本だ。
 そもそもアジア共産化阻止への軍事的布石政策のものであり、近年は中国をターゲットにした東アジア軍事戦略の拠点化、果ては中東軍事戦略の出撃地点化まで拡大している「沖縄米軍基地」の存在だ。
 とても政権交代しての「いきなり」の米軍基地国外、県外移設主張など問題にされるレベルのものではないことがわかる沖縄事情だ。

 (2)さすがに近年は日米同盟の深化、経済協力関係の強化促進で日本の立場にも配慮が見られて、犯罪、事故事例(悪質性)によっては日本側の要請により被疑者の引き渡しにも応える柔軟態度に変わってきていた。
 そういう経過を踏まえてようやく米国に第1次裁判権があるとした「公務中」の場合でも、「日本側の要請に好意的考慮を払う」として日本側の裁判権行使の「可能性」を容認する地位協定運用上の見直しに両国が合意した(公務外では日本側に裁判権を認めているが、公務かどうかは米国の裁量)。

 日米両国の安保体制上の立場を踏まえた何とも押し付けがましい、遠回しのもったいぶった譲歩姿勢の「運用上の見直し」文言だ。

 (3)政府は普天間基地の県内移設(辺野古沖周辺)日米合意の実現に向けて米国譲歩の一定の成果、前進と言っているが、実質上の沖縄占領政策としての地位協定の現実が浮き彫りになればなるほど、一体今はどういう「時代」なのかの時代錯誤観に陥るばかりだ。

 この「一歩」を沖縄開放、普通の日本化へつなげる布石として「時代」に合った日米安保、同盟、協力関係のデザイン構築に政府はまい進(交渉)すべきだ。
 (本日、沖縄問題での「不適切」な発言で政府機関関係責任者が解任され、この問題をまた複雑化させた。)

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