いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

屈折したオリンパス。 refracting olympus

2011-11-09 19:35:04 | 日記
 (1)議員の定数・報酬削減を利害当事者の国会審議にばかりまかせては、とても整合性のある公正な結論など期待できない。第三者委員会を設置して最高裁判例の趣旨に沿った客観論からの整備、制度化が必要だ。

 その「第三者委員会」による調査で、かねてから不条理、不適切が指摘されてきたカメラ、医療機器の光学機器メーカーのオリンパスの、①海外企業の買収にともなう投資助言会社への不釣り合いな高額(660億円)の報酬、②国内3社のこれまた不相応な高額(734億円・相場は200~300億円相当)買収について、同「差益」含みによる20年以上にも及ぶ粉飾決算、損失隠しが行われていた経理不正の実態があきらかになった。(金額は報道)

 (2)就任早々の英国人社長がこの間のこの問題の同社方針、対応に疑問を呈して資料の提出を求め、即座に解任されるという突如の不可思議な同社の動静から疑惑が浮かんでいた。
 同社は一貫して不正の事実、同疑惑を否定してきたが、設置された「第三者委員会」の調査によって、はじめて「会社ぐるみ」の長年(20年以上)の不正の実態があきらかとなった。

 同社は「これまでの説明(不正はない)は『誤り』で、会社ぐるみ(の不正経理)と言われても仕方がない」(報道)と、この期に及んでのまるで他人ごとのような前言翻(ひるがえ)し、改心の情も見られない社長の説明、謝罪には、あきれるばかりだ。

 (3)20年以上にも及ぶオリンパスの屈折(refracting olympus)した粉飾決算、損失隠しとなれば、会社ぐるみ、とりわけ毎年の決算のチェック機能の監査役、監査法人も含めた不正経理関与責任は免れない最悪のシナリオだ。

 そもそも監査役、監査法人と言っても、対象の企業「人」またその企業から「報酬」を受けての監査になるため、余程の職能意識の高さを持ち合わせたスタンスでもなければ監査対象会社の不利益になる監査、決算報告まで切り込まない、切り込めないのが通例だ。
 株式一部上場で国際的に知名度、信頼度の高い代表企業の監査、決算となれば、企業内経理の精査に基づく有資格組織による形だけの承認というのが相場だろう。

 (4)その慣例が会社ぐるみの長年にわたっての損失隠しの負のパラダイム(negative paradigm)に利用されたのだ。
 利益追求目的の企業にとっては、コンプライアンス(compliance)を都合よく解釈しての手法を問わないあくなき利益第一主義がプライオウリティ(priority)であり、場合によっては人(構成員)は手段、目的のための切り捨て型の企業体質が主流で、オリンパスの場合は会社一体となった不正コングロマリット(conglomerate of injustice)化で良識ある経営人(英国人社長)をひとり排除するその企業体質には嫌悪感を覚える。

 ①消費者への不徳、背信(breach of trust)、②企業倫理の一線を会社ぐるみで大きく踏みはずした社会パラダイムへの不徳、背信、③日本企業全体への世界の見る目への不徳、背信とオリンパス(unfaithful olympus)はすべての責任を会社ぐるみで負う重大結果を導いていた。

 全企業体質、健全経営のパラダイムが確立されるまでは、企業利益と職能意識で一線を画した(第三者委員会のような)スタンスの監査、決算体制の改革実行が急務だ。

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