いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

大阪都 革命前夜。 the night before of metropolitan revolution

2011-11-01 19:36:46 | 日記
 (1)大阪と言うのは、実に調和のとれないインバランス(imbalance)な不可思議な街だ。東京に次いで第2の都市と言われながら、人口構成以外は直近データの(府)県民平均所得(全国第5位)に代表されるように第2の都市にほど遠い実態ランクで、人口力も含めて都市機能が円滑に効果的に働いていない見本のような街だ。

 ①自治体の財政基盤もぜい弱で、大規模国際空港の関空は都心とのアクセスに時空ムダの問題があって関西ハブ(hub)とはなりきれずに、地方の伊丹空港に利用が偏りインバランスが地方財政を圧迫している始末だ。
 ②経済では港湾貿易は神戸に、製造工業は名古屋、東海に集中して、その狭間(はざま)に置かれて沈滞してかっての商業都市のイメージはない。
 ③地方自治、政治では、異色好み、庶民市民好みと言うか、タレント知事、議員輩出で知事に横山ノック氏、国会議員に西川きよし氏など選んできた。東京に対抗する地方の反権力志向、独自性の色彩感は鮮明で市民感情に根強いものがあるのだろう。

 外部から見ていても政治家としての力量、実績は未知数で、市(府)民もそれに期待してもいない、セオリー(theory)にただ従う、沿った「やり方」では「つまらない」というそれでも自分たちの「こと(生活)」は自分たちで何とかなるという、遊び心の旺盛な大阪気質とでも言うべきなのだろう。

 横山ノック氏が府知事の頃に大阪に行くと、いつもやけに街並み、道路が整然と小ぎれい(枯れ葉が見当たらない)なのに感心したものだ。誤解を覚悟で言うなら、どうでもいいこと(街の美化はそれで環境時代の先取りでもある)には熱心で、肝心の行政には無とん着の印象がいつも離れなかった。

 そういう市(府)民性、行政志向が第2の都市と言われながら、都市機能が作用しない、できない非現実性となってあらわれているのではないのか。

 (2)当時30代後半のタレント活動もする弁護士の橋下氏が08年に自ら「破産会社・大阪」と言う大阪府知事に就任して、議会との対立を基本として地方政治の大阪改革を目指した。
 財政再建が急務であったから、殊更(ことさら)まず府庁改革中心となったが、府庁移転問題、論議以外都市機能の再生に向けた効果的な政策は見えてこなかった。

 本人も府内行政指揮に限界を見たのだろう、府と市の権限、行政の重複解消、税の振り分け・仕組み(地方の直接徴収)変更を目指す「大阪都」構想(metropolitan revolution)を他の自治体に先がけて打出した。

 自らの地方政党を立ち上げて支持を受けて選挙で勢力を伸ばし、「大阪都」構想の実現に向けてこれに一貫して反対するメディア業界出身の平松大阪市長に対抗して、同市長選に立候補するため10月末で府知事を退任した。

 (3)国政の停滞、自虐的な公約後退に比較して、地方自治、政治は「都・州」構想、減税、議員定数・報酬削減政策を各自治体が率先して打ち出し実行して、政治改革を推進している。市民の強い支持を背景にして首長自らの地方政党を立ち上げて、国政参画にも意欲的だ。

 ただし、いづれも立法府議会との関係、対策の軽視、不足による混迷の打開策を、安易に市民の高い支持に求める手法が共通して、一部に独裁色、独善性が指摘されている。
 政治の新しいスタイルなのか、政治手法の未成熟なのか、市民の判断が注目される。

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