いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

官民対話。 dialogue between the government and the economic people

2015-11-06 20:14:13 | 日記
 (1)物も使いようで、本来民間の自由、自主的な経済活動に対して安倍政権は積極的に関与して「政労使会議」や「官民対話(dialogue between the government and the economic people)」会合を重ねて、来年は経済界に対して3年連続の賃上げ、設備投資の促進、2020年自動運転車の実用化、3年以内のドローン宅配サービスの実現を要請した。

 当然経済界には経済活動への安倍政権の強引な政治関与には不満の声も聞かれるが、何しろアベノミクスでの円安株高効果で企業の自然業績回復の恩恵を受けて、法人税減税、消費税引き上げで経済最優先政策を掲げて経済界(大企業)バックアップを公言する安倍政権には面と向かって逆らえない弱みもある。

 (2)国民からすれば数百兆円といわれる企業の内部留保を賃上げ、市場にはき出させて経済効果をはかろうというもので、経済界の利己主義に注文をつける政治効果に期待できる安倍政権の掟破りの政治の経済主導の関与だ。

 官民対話会合で安倍首相の話を聞く経済界リーダーたちの厳しい、険しい顔(報道写真)が印象的であった。トヨタが1兆5千億円余りの営業利益最高を更新して、黒字業績企業も相次ぐ中で利益を内部留保に蓄えるばかりでは値上げラッシュ、消費税引き上げで苦しめられる国民としては納得のいくものではない。

 (3)いい政治手法とはいえないが、安倍政権の経済界「切り込み」は妙に説得力のあるものとなった。ところで官民対話会合で安倍首相が経済界に要請した2020年自動運転車の実用化、3年以内のドローン宅配サービスの実現は未来社会に何をもたらすのか慎重によく考えなければならない。

 安倍首相としてはともに成長戦略としての目新しさのない中で将来社会の「雇用創出や関連消費の拡大」を期待するもので、アベノミクス、新三本の矢政策の実効性を促進する狙いがある。
 安倍首相としては安保法制の成立での無軌道強引政治への批判、反対の声に対して、小市民的国民の意識の関心度の高い身近な生活、暮らし環境、経済、景気回復に集中して成果を上げたい意図だ。

 (4)しかしそれが未来社会の構造改革にどうかかわってくるのか、暮らしやすさにつながるのかは十分検証、点検される必要性がある。
 自動運転車の社会的効果については前回本ブログでもそこまで高めることが必要なのか、自動車産業界からも別の方法論の声もあり整備すべき車社会環境、法体系、人間即応能力に課題、問題は多く、かっての車が浮揚して都市空間を自由に行き来する未来科学図ほどに想像、描くことは容易ではない。

 (5)安倍首相が3年以内で実現しようというドローン宅配サービスはどうか。米国では実用化に向けて取り組みが進んでいるが、広大な国土、宅地所有の米国社会での利用価値であって、狭い国土の日本では事情も異なる。

 現在ドローンの操縦安定性の精度に問題はあってもそれは開発時間が解決するものとして、ただでも狭い日本社会の空間を比較低い高度でドローンが飛行する社会など考えただけで圧迫感があって、その必要性、効果性と快適生活(空間)の比較検証となればそうまでする必要度があるのかと考えさせられる。

 (6)時代を変えることと同じように、人間の欲望、願望、意識も本質を理解して変わらなければならない。
 注文すればすぐ届くという利便性はあるがそれがどれほどの頻度、必要性のあるものなのかは相対的に考えなければ、未来志向ばかりでは人間の文化的な生活環境に的確に対応するものとはズレ(gap)が必ず生じてくる。

 (7)安倍首相の視野には唯物思想(materialism)が宙に浮いて見えるようだ。

 

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