いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

国語文化の汚点。 a taint of the national language culture

2015-11-01 19:44:38 | 日記
 (1)10月30日には今年の文化勲章、功労者の発表があった。ノーベル賞授賞が決まった大村智さん、梶田隆章さんら科学者をはじめ研究教育、文学、芸術芸能、スポーツ分野と幅広く日本の文化推進にかかわった人たちの顔ぶれが並んでいる。

 文化はその国の品性(品質)と国民性(nationality)を象徴するもので、日本文化は縄文文化から長い歴史の中でアジア、欧米の文明の影響を受けながら、わび、さび、美、心の独自の文化を育んできた。

 (2)日本文化は勤勉で実直、協調、思いやりの国民性を生んで、戦争の反省をもとに戦後は平和憲法の維持のもとに国民性を生かして経済立国としての基盤をつくり上げてきた。

 日本文化、国民性を象徴代表するものとして国語力があり、世界的にも難解といわれる漢字、ひらがな、カタカナの日本語を駆使して多様な独自の文化を創造してきたのだ。

 (3)難解といわれる日本語のその国語力を普及、教育、支えてきたのは辞書であり、学生時代にはどなたも随分とお世話になっているものだ。辞書は知識、学識のステータス、宝庫(treasury)として信頼され信用され、役立てられてきた。

 1500ページにも及ぶ大書でわからないことや知りたいことの知的願望に適切、適正、的確に応えてくれる絶大な信頼性、信用性(credibility)があるが、何億分の一ぐらいの確率かで間違いのあることもある(英語辞書でスペルの間違いに気がついた経験があるー目を疑って何度も確認したがありえないスペルであった)。

 (4)学生時代にお世話になったと書いたがむしろ現在の方が辞書のお世話になることが多く、使っている辞書は国語辞典にしろ英語辞典にしろ表紙がなくなって本体もボロボロになってクリップで止めている愛用書である。

 時代にあまり左右されずに知識、学識が幅広く普遍的、理論的、分類的に整理編集されており、手放すことのできない知識の宝庫だ。

 (5)その辞書の出版元には三省堂、旺文社などのなつかしい名前が並ぶ。その三省堂がこともあろうに文化勲章、功労者発表の時期に教科書出版問題で不正を働いていたことが発覚した。

 利便で使っている辞書同様に出版元も「ボロ、ボロ」になっていようとは思いもしなかったことだ。検定中の教科書は公平、公正を期すため文科省が外部に見せることを禁じており、三省堂はこれに反して事前に公立の小中学校の校長らを集めて閲覧させて、こともあろうに参加者に現金(5万円ー報道)を渡し、交通費、宿泊費なども負担していたというから驚きだった。

 (6)三省堂出版の教科書の採択を有利に運ぶための念の入った二重の不正であったが、日本文化を国語力育成で推進してきた絶大な信頼性、信用性に裏打ちされた辞書、教科書出版元の三省堂のあってはならない背信行為である。

 絶大な信頼性、信用性は国民全体共有のものであるが、ことさら知識欲、学習欲旺盛で従順なこれからの日本文化を継承するであろう子どもたちの信頼、信用を裏切った背信行為の責任は文化推進を基盤から担ってきた出版元としては重く、険しいものがある。

 (7)同時に当然事情をよく知っていながらこれに応じて、さらに金銭まで受け取ったとされる学校関係者のコンプライアンス欠如、不見識はあるまじき行為だ。
 日本文化の継承、推進を支える学校組織、事業体があまりに無防備、無責任に故意に不正に手を染めるなどとは、国民文化の行く末に不安が増すばかりだ。

 現在の日本社会の抱える安易で利己的な自己主義の日本文化とは無縁のあるまじき姿だ。

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