いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

沖縄問題に対する代執行。 execution by proxy against the okinawa affairs

2015-11-11 20:21:12 | 日記
 (1)沖縄普天間飛行場の辺野古移設問題はなかなかむずかしい問題を含んでいる。市街地の中の普天間飛行場は危険な米軍基地として日米両政府の合意で辺野古への移設が決まっている。
 しかし沖縄県、県民は沖縄に駐留米軍基地の70%以上が集中して沖縄への過重負担を理由に県外移設を主張して対立が続く。すでに前知事の辺野古埋め立て承認にもとづいて政府は辺野古埋め立て調査に着手しており、本格工事に向けて準備を進めている。

 これに翁長知事は反発して前知事の承認に瑕疵があったとして同承認を取り消し、これに対して政府は国交省に承認取り消しの一時差し止めを求めて提訴して、国交省は沖縄県に承認取り消しの執行停止、差し止めを指示しているが、翁長知事はこれを拒否するという堂々巡りの迷路に入り込んでいる。

 (2)結局は普天間飛行場の移設に見通しが開けずに、地元周辺住民への危険は除去されないままの状況が続くだけの沖縄のジレンマだ。政府は日米合意の履行が優先するとばかりに沖縄県知事に代わって政府が辺野古埋め立てを承認する「代執行」(execution by proxy)の方針を決め手続きのため高裁に提訴する(報道)ことになった。

 行き着くところまで行った中央権力と地方権力の争いの結末だが、沖縄には普天間と辺野古の住民の見えないあちらを立てればこちらが立たずの遺恨(grudge)を残すことになりそうだ。

 (3)政府には彼らの言う国益を守る政策のために「代執行」という最後の手段、切り札が残されており、当初その執行可能性を書いたが、沖縄のそして沖縄が抱える問題の反発を加速させることは間違いがないのでいい選択であったのかは疑問に残るところだ。

 似たような事例で有名なのは成田空港建設にかかわる政府と借り上げられる敷地内農家地主との対立抗争だ。当時は学生全学連運動も盛んなころで過激派学生組織がこの農地闘争に参加して、建設中の空港建物の占拠など遺恨の対立を拡大させた。
 政府は抵抗する地主に代わって農地借り上げの代執行を行ったが、当時は滑走路設計計画の変更も余儀なくされて現在の空港仕様になったのはようやく最後の地主の理解、協力を受けた近年のことだ。

 (4)解決までに長い年月を要したのだ。政府の当時の代執行の効果なのか、長い年月を経ての地主の理解、協力だったのかは受け取り方は分かれるが、現在の成田空港は24時間離発着可能の国際空港として何事もなかったかのように機能している。

 この教訓から政府としては代執行の遺恨も時間が解決すると高をくくっているのではないのか。しかし一過性の成田空港と違って沖縄の米軍基地問題は70%以上が沖縄に集中するという過重負担の根本問題は残り、一朝一夕で済む、おさまる問題ではない。

 (5)政府としては普天間周辺住民の生活環境の安全改善と沖縄振興策をセットにして沖縄の理解を得たいところだが、県内相殺策では過重負担の軽減実感はなく、政府の代執行はこれまで沖縄がたどってきた、置かれてきた不幸な歴史を象徴するような抑圧的、占領的な権力支配そのもであり、代執行は沖縄に対しては取るべき方法論(methodology)ではない。

 (6)安倍首相は「解決を図るためには代執行の手続きの着手が適切」(報道)と述べているが、沖縄に対しては慎重に深く考える必要がある。
 沖縄も国民全体の問題として考えることを求めており、政府は逃れることなく「そういう」場面を設定することも考えるべきだ。

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