いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

原発気休め論。 soothing theory of an atomic power plant

2017-12-14 20:03:48 | 日記
 (1)広島高裁は今年3月の広島地裁の四国電力伊方原発3号機の住民訴訟による運転差し止申請の却下の決定を覆して、運転差し止めを命じる決定を下した。高裁による原発運転差し止め決定は初めてだ。

 原発規制委が策定した「火山影響評価ガイド」に基づいて「阿蘇山の火砕流が敷地に到達する可能性が十分小さいとはいえない」として四国電力の火山噴火安全対策を過小評価だとして「立地として不適」(判決要旨)と断定した。

 (2)規制委が世界で最も厳格な新規制基準だとする審査合格判断に対して、規制委のガイドに基づいて「不合理」との判断を示した。
 四国電力は「阿蘇カルデラは前回の破局的噴火から9万年たっている」として原発稼働中(40年稼働基準)には破局的な噴火はない(報道)と主張しているが、こういう非科学的観測で原発の阿蘇噴火による安全性を保障するという気休め論(soothing theory of an atomic power plant)では意味はない。

 (3)伊方原発運転差し止めの判断基準が規制委の「火山影響評価ガイド」を基準にしていることから、規制委の審査合格判断が身内の安全基準を厳格に適用しておらずに進めた不十分なものとして、四国電力に対して主張するように原発運転中に阿蘇山の破局的噴火が発生しない科学的根拠、対策を実証する責任を負わせたものだ。

 東日本大震災による福島第一原発事故の例をみれば、一旦自然破壊による原発事故が起きれば地域、住民にとって将来にわたって破滅的、破壊的な被害、損害を与えるものであり、とても気休め論ですまされるものではない。

 (4)世界で最も厳格な新規制基準で原発再稼働の審査をするという規制委ではあるが、国民の過半数が反対し、不安を感じている政府の原発再稼働政策、意向に沿った審査を推進しており、国民の反対、不安を司法が(高裁が初めて)規制委の「ガイド」を盾に判断し、規制委の安全審査の矛盾を突いて安全対策が不十分だとして伊方原発の運転差し止めを決定した意味は大きいものだ。

 (5)規制委の原発40年廃炉の原則も政府の原発再稼働政策に沿ってなし崩しに延長が認められており、仮に世界で最も「厳格」な新規制基準だとしても「厳格」に適用されなければ元も子も、意味もない。

 政府の原発再稼働政策は、福島第一原発事故の原因もあきらかになっていない中で経済活動優先政策の中で、国民の支持もない中で推進されており、今回の初めての高裁の伊方原発運転差し止め判断、判決を受けて、原発問題について国民的議論の中で決着をはかる必要性を求められたものだ。

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