(1)最近の裁判では不起訴相当という判断がよく目につく。近年、警察、検察の捜査手法が不法と判断され起訴要件を有しないとして不起訴相当、無罪ということは聞くが、中には対外的に「理由」をあえて示さない事例もある。
示せないではなくて「理由」を示すことによってどちらかに一方的に不利益を及ぼす可能性があるということが考えられるが、裁判は公正、公平を基本とするものだけに不起訴相当、無罪判決でどちらか一方に不利益をもたらす理由開示は、パラドックス(paradox)として裁判が公正、公平とはいえないともいえる。
(2)それでも一方で公正、公平な裁判としては不起訴相当、無罪ということになれば、それを正当化する理由は必要なのではないのかともいえる。裁判で事実関係を解明し、責任の所在を明らかにすることで、社会正義のパラダイム(paradigm)を守るという立場からすれば「理由」を明らかにしない不起訴相当、無罪などあってはならない。直接的表現ではなくとも言い方があるはずだ。
司法、裁判に対する不信、疑心暗鬼を生むもので、国民感情からすれば納得のいかないものだ。
(3)来年早々(8日)に定年退官する寺田最高裁長官がこれまでの歴代長官が行ってきた退官記者会見(a press interview of retirement)を行わない見通しだ。報道各社に伝えられた。
これには「理由」がつけられて、最高裁広報では①個別の裁判については一切答えられない、②司法行政の今後のことは新長官に尋ねてほしい(報道)というものだった。
裁判官は裁判審理を通して事実解明に努め被告責任(有罪、無罪、量刑など)を判断するものだから、部外社会に対して余り裁判にかかわる情報を公にすることは公正、公平な裁判審理に予断を許すことになり、ふさわしくないともいえる。
(4)専門家は「開かれた司法を目指す裁判所のトップなのに語る場を自ら閉ざすのは組織が目指す方向性と逆行している」(報道)と批判している。一方で寺田長官と最高裁で共に仕事をした経験者は「何かを話せば言い訳や自慢になる恐れがある。判決を呼んでもらえれば考え方は分かってもらえるという思いがあるのではないか」(同)と弁護している。
(5)最高裁長官(the chief justice of the supreme court)の発言ということになれば裁判の最高、最終決定方針、方向性を示すことになる影響力を持つものだけに慎重になるのは当然だが、これまで慣例としてすべて退官会見は開かれているということなので、特に司法のあり方について昨今の警察、検察捜査の不正が問題となって捜査過程の録音、録画による司法改革が進んでいる時なだけに、また冒頭例のように不起訴相当、無罪判決が目につき「理由」も示されない事例に納得のいかない国民感情もあり、最高裁長官としての考え、意見もあるのではないのか。国民としては聞きたいところだ。
(6)寺田最高裁長官は先の天皇退位問題の皇室会議にメンバーとして出席しており、原則個人的意見を公表しない感想意見を聞かれることを嫌ったか、昨今の政府機関の情報不開示、文書不在、破棄の隠ぺい体質が問題となっている時だけにせめて司法の最高責任者、最高裁長官として国民の前で正々堂々と退任会見に応えてほしいところだ。
示せないではなくて「理由」を示すことによってどちらかに一方的に不利益を及ぼす可能性があるということが考えられるが、裁判は公正、公平を基本とするものだけに不起訴相当、無罪判決でどちらか一方に不利益をもたらす理由開示は、パラドックス(paradox)として裁判が公正、公平とはいえないともいえる。
(2)それでも一方で公正、公平な裁判としては不起訴相当、無罪ということになれば、それを正当化する理由は必要なのではないのかともいえる。裁判で事実関係を解明し、責任の所在を明らかにすることで、社会正義のパラダイム(paradigm)を守るという立場からすれば「理由」を明らかにしない不起訴相当、無罪などあってはならない。直接的表現ではなくとも言い方があるはずだ。
司法、裁判に対する不信、疑心暗鬼を生むもので、国民感情からすれば納得のいかないものだ。
(3)来年早々(8日)に定年退官する寺田最高裁長官がこれまでの歴代長官が行ってきた退官記者会見(a press interview of retirement)を行わない見通しだ。報道各社に伝えられた。
これには「理由」がつけられて、最高裁広報では①個別の裁判については一切答えられない、②司法行政の今後のことは新長官に尋ねてほしい(報道)というものだった。
裁判官は裁判審理を通して事実解明に努め被告責任(有罪、無罪、量刑など)を判断するものだから、部外社会に対して余り裁判にかかわる情報を公にすることは公正、公平な裁判審理に予断を許すことになり、ふさわしくないともいえる。
(4)専門家は「開かれた司法を目指す裁判所のトップなのに語る場を自ら閉ざすのは組織が目指す方向性と逆行している」(報道)と批判している。一方で寺田長官と最高裁で共に仕事をした経験者は「何かを話せば言い訳や自慢になる恐れがある。判決を呼んでもらえれば考え方は分かってもらえるという思いがあるのではないか」(同)と弁護している。
(5)最高裁長官(the chief justice of the supreme court)の発言ということになれば裁判の最高、最終決定方針、方向性を示すことになる影響力を持つものだけに慎重になるのは当然だが、これまで慣例としてすべて退官会見は開かれているということなので、特に司法のあり方について昨今の警察、検察捜査の不正が問題となって捜査過程の録音、録画による司法改革が進んでいる時なだけに、また冒頭例のように不起訴相当、無罪判決が目につき「理由」も示されない事例に納得のいかない国民感情もあり、最高裁長官としての考え、意見もあるのではないのか。国民としては聞きたいところだ。
(6)寺田最高裁長官は先の天皇退位問題の皇室会議にメンバーとして出席しており、原則個人的意見を公表しない感想意見を聞かれることを嫌ったか、昨今の政府機関の情報不開示、文書不在、破棄の隠ぺい体質が問題となっている時だけにせめて司法の最高責任者、最高裁長官として国民の前で正々堂々と退任会見に応えてほしいところだ。