辿り着けなかったのは
海が遠かったからじゃない
ここにいる理由は
海が遠かったからじゃない
この曲はアルバムでも屈指の名曲だと思います
丁寧なメロディに美しいアレンジ、まるで海の中を漂ってるかのような気持ち良さがあって、
ライブのセトリを見てると今でも時々演奏されているわりかし人気の高い楽曲だと思われます。
冒頭に挙げた歌詞は、
「風」のサビに次いで個人的に特にお気に入りのフレーズなんですが、
この詞ははっきりと「こういう意味なんです。」って告げず、
聴き手の聴き方に委ねる類の歌詞にもなっていて。
そこが、
自分的にはある種の(聴き手に対する)信頼を感じるというか、
聴き手を見くびってないノーベンバーズの“誠実さ”がよく出ている秀逸な一曲かな、と。
どうとでも解釈出来るというか、想像次第で意味合いも変わる面白いフレーズに仕上がってると思う。
結果的に、
自分自身で選んだ道(物)の所為で豊かさに辿り着けなかったとしても、
圧倒的な同調の前に屈したとしても、それを「間違い」だとか「ズレ」だとか
そういう言葉で一切形容せずに「これで良かった。」って思えればそれはそれで正解だと思うんですよね。
そんな風なイメージを上記の歌詞から感じてたりもするんですが、
同時に、
目標が高かったり不可能だから辿り着けなかったのではなく、
自分自身の不甲斐なさによって辿り着けなかったんだ。という意味合いにも受け取れると思います
だからこそ、それを自覚して、考えて、もう一度「海を目指す」という水面下のメッセージにも聴こえたり
ポジティブな意味にもシリアスな意味にも捉えられるある種の“自由さ”が存在しているのが何よりも粋で、
確かに芸術性を感じられる一曲になっていると個人的に思います
選んだら選んだ分だけ、
その責任を負うのも本懐を遂げて喜ぶのも自分次第ですから
でもそれを「頑張れ」とか「負けるな」とか「諦めるな」とか「君次第」だとか、
そういうストレートな言葉を一切使わずに聴き手に伝える手法を取れているのが個性であり、
ノーベンバーズの、小林祐介の手腕が光っているなあ、、、って感じますね
ライブで聴いた時、
ちょっと“トリップ感”とすら形容出来る陶酔と、
ライブハウスではなくまるで海に連れてかれたような優雅な聴き心地がドライブ感を伴って、
延々と気持ち良さを提供してくれる感じ・・・が非常に堪らなかったです
最後のサビが終わった後もアウトロがたっぷりと続いていく、
そういう長尺で魅せる小気味良いアレンジにもまた注目です。