昔のJBLの最高級システムたちは、「ジャジャ馬サウンド」の塊でした。その為オーナーの方で上手く調整してやらないと「殺人マシン」になりかねない咆哮を発していました。
個人的な考え方ですが、現在のオーディオ機器は40年前の時代に比べれば大幅に完成度が上がっていると思います。でも全ての面で完成しているかと云うと疑問も有ります。SPシステムにしろ、アンプ・CDPにしろそのままでも使えるモノが殆どですが、完成度と云う点ではまだまだだと考えています。私は現在の機器も「素材」として見ています。
A社で開発した技術が特許等でB社では使えない事もしばしば。同じ様にB社で開発した技術がC社で使えない様に、C社で開発した技術がA社で使えない事もザラに有ります。
また作りも様々で、使って有るパーツもグレードが色々有ります。既成のアンプやSPのSP端子を別の会社の最高級品に交換してやるだけで大幅な音質アップをする事も有ります。
例えばJBL#4425と云う30年前くらいのSPを考えてみましょう。このSPはJBLの最高級クラスSPの入門機と位置付けられます。低域にコーン型、高域にホーン型を使ったシステム(JBLではこの組み合わせが高級機に採用されています)です。このSPは低域は非常に豊かなサウンドがしますが、高域はあまり伸びていません。その為空気感が少ないと思います。このSPの不具合点は、SP端子が二組有り、低域用と高域用に分かれています。それをネットワークドライブする為に「真鍮製」の接続板が付いています。この「真鍮製」の接続板を外して、質の良いケーブルでつないでやれば大幅な音質アップを図れます。また高域が伸びていませんので、ネットワーク内蔵式のツィーターを追加してやれば高域不足は解消します。低域もそのままでも十分なサウンドですが、当方のサウンドトレールSTM-22に載せてやれば、38cmクラスの量感と音の厚みを出してくれます。
買った機器を批評して「あーだ・こーだ」と云う前に、「どうしたら求めるサウンドになるだろうか?」や「この機器の性能を引き出すにはどうしたら良いか?」等の前向きな考えが有っても良いのではないかと思います。私個人は常に前向きに実践を考えます。