令和4年12月20日 日本農業新聞
農地利用の将来像 「地域計画」策定へ始動 モデル着手の自治体も
地域の農地の未来を描く「地域計画」の策定が2023年度から始まるのを前に、農水省や自治体が動き始めた。
農水省は12月から、自治体や農業団体関係者との意見交換会を本格化。
モデル地区を設け、説明会などに着手した自治体もある。
地域計画は話し合いを通じ、農地を誰がどう使うかを明確化する。
農地を利用者ごとに集約した将来像「目標地図」も固めていく。
農水省は各地域の取り組みを後押しする。
年度内に素案 長崎県雲仙市
「計画を作ることですぐに来年ということでなくても、5年後、10年後に少しでも調整しやすくなる」。
長崎県雲仙市で19日開いた意見交換会で農水省はこう強調した。
農水省は、策定に向けた具体的な話し合いを後押しするための意見交換会を各地で開く。
この日は県や市、農業委員会、JAの職員ら約20人が集まった。
雲仙市は市内の1地区をモデル地区に選定し、22年度中に目標地図の素案と地域計画案を取りまとめる予定としている。
既に11月には、農家らを対象にした説明会を開いた。今後の経営意向などを聞くアンケートをした上で、策定を進めていく。
意見交換会で市は、農地の将来像の話し合いについて「地元に入って話し合うことで、農家に地域の将来について考える機運を持ってもらえる」などと指摘した。
政府は22年の通常国会で農業経営基盤強化促進法を改正、「人・農地プラン」を地域計画として法定化した。
将来像を明確にすることで、人口減少が進む中でも継続的に農地を利用できるようにする狙いだ。
計画は来年4月の改正法施行後、2年間で市町村が策定する。
地域計画の策定では、農家やJA、農業委員会などの関係者で地域の農業の将来像を協議する。
米から野菜などへの転換や輸出向け農産物の生産など、地域の実情に応じた対応を固める。
農業利用する区域を明らかにし、農地集積・集約や中小・家族経営を含む多様な経営体の確保・育成などの方針をまとめる。
地域計画には、農地1筆ごとに将来の利用者を明確化した「目標地図」を盛り込む。
担い手が見つからない場合などは、農作業委託などを活用しながら随時、調整できる。
改正法施行を控え、農水省は今後も随時、現場での意見交換会を実施する方針。
「地域の農地を継続的に利用するため重要な取り組み」(経営政策課)だとし、着実な策定を促す。
人・農地プランから地域計画へ:農林水産省 (maff.go.jp)
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