令和4年12月25日
食料供給、国土計画の論点に 生産担う「人材確保」、農村維持へ「分散」定期 国土審議会
国土の将来像を示す「国土形成計画」の策定を巡り、食料の安定供給が論点になっている。
同計画を検討する国土交通省の審議会ではウクライナ危機に伴う穀物や肥料・飼料原料の輸入停滞などを背景に、
国土保全の視点から、食料の確保や生産基盤を担う農村の持続を重視。
「人材確保」「分散社会の形成」などを提起する意見も出ている。
23年夏の同計画の閣議決定に向けて、具体策を示せるかが問われそうだ。
同省の国土審議会計画部会は22日、次期計画の策定に向けて
「食料・農業・農村」などをテーマにした有識者ヒアリングを開いた。
その中で、東京大学大学院の中嶋康博教授は、国内農業の課題を整理。
農業経営体数の減少などによって、耕地利用率が100%を下回る状況が常態化していると指摘。
「どれだけ人材を確保するかが重要。
そのための投資を喚起する施策が必要だ」と強調した。
生産面では、食料自給率向上のために飼料の国内自給強化を課題に挙げた。
持続可能な地域社会総合研究所の藤山浩所長は、中山間地域の可能性について報告。
「大規模・集中・グローバル」から「小規模・分散・ローカル」への転換を提起。
地域の持続に向けて、住民を中心に、デジタル技術を活用しながら、農業や福祉、
交通など複数分野を横断した「地域経営会社」が重要な役割を果たすとした。
同部会では、これまでも「国土における農地、国民の中における農業の担い手をどう位置付けるか」(明治大学・小田切徳美教授)、
「休耕農地をどのように使うのか、食料をどう増産するのか」(政策研究大学院大学・家田仁特別教授)といった意見が出ている。
同省は、来夏の同計画の閣議決定を目指しており、来年2月以降、同部会で主要論点の整理に入る。
国土の将来像と食料生産の確保をどう示すかがポイントとなる。