Photo by Ume氏
昨日上に行ったUme氏の話によれば、雪はおろか、初の沢では当然目にするはずの氷結すら期待外れだったという。きょうの氏の写真が語るように、白樺やダケカンバの樹幹ばかりが目立つ色彩の乏しい、侘しい風景だったようだ。これで、少し雪でもあれば、また印象も変わるのだろうが、つい「暖冬」などという言葉が浮んできた。
で、昨年のこの時季はどうだったかと、一年前のこの呟きを聞いてみた。相も変わらずあれこれと独り言ちてはいるものの、昨年もそれほど雪はなかった。12月の頭にCM撮影があり、それが終わってからは、山奥氏と露天風呂の土台にするクリの木を製材屋に持ち込んだり、ウン十万円もする座卓を小屋へ運んだりして、なかなか入笠ばかりか山奥氏とも縁が切れずにいる。
それで、降雪があったことも思い出した。300キロもありそうな座卓を小屋まで運んだはいいが、さてそれをどうやって中に入れるかと二人して途方に暮れていた時に、雪が激しく降ってきた。そしてたちまち周囲を白い世界に変えた。しかし、その時の雪も根雪というまでには至らなかったのは、その後の写真の様子から分かる。
結局、入笠が雪化粧に変わったのは暮れも押し迫ってからで、それは、新年が明けて1時間もしないうちに、某氏が機嫌をそこね山を下りかけ、側溝に車を落としエライ目にあったことをしっかりと覚えているからだ。今も思い出すだに笑う。
越年、もしくは正月の三か日に入笠へ行かなかったことは過去13年間で一度もない。歩いていったこともあったかも知れないが、ほとんどの場合、車で行ってる。雪が深くなってそれができなくなるのはやはり1月半ばぐらいからだろう。
それにしても、一昨年まではいくらここで越年営業を叫び、吠えても、いつも寒い孤独で、貧相な年越しばかりだった。それがようやく、チラホラとだが人が来てくれるようになった。しかも、昨年に引き続きというのが嬉しいではないか。28日から2泊で3人家族もやってくる。越年には新人もいれば、二人連れだって来る。感涙。
「奇人」だとか、「原人」だとか言われているのは知っている。独りよがりだとも。結構だ。それが時代遅れの山男にとっての、失いかけた矜持だろう。山奥氏もそうだが、冬期はあくまで個人の自発的な行いである。
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