市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・3月3日に東京地裁で開かれた第2回口頭弁論

2017-03-03 23:46:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専の電子情報工学科を舞台に発生した陰湿なアカデミックハラスメント(アカハラ)事件に関する当会からの情報公開請求に対して、群馬高専側が存否応答拒否を含む完全不開示決定をした事件で、当会は異議申立てを経て存否応答拒否をクリアさせたものの、再度、群馬高専側にアカハラに関する情報開示請求をしたところ、またもや全面不開示処分とされてしまいました。当会は現在、群馬高専の上級機関である国立高等専門学校機構を被告として、不開示処分取消処分請求のための行政訴訟を行っています。2017年3月3日は、地下鉄丸ノ内線で10時35分に霞ヶ関に着き、10時40分に東京地裁に入りました。入場時には金属探知機による検査と、X線による手荷物検査がありました。さっそく5階の522号法廷に着くと、次の開廷表が壁に貼り付けてありました。

第2回口頭弁論が5階522号法廷で開かれた裁判所合同庁舎(東京高裁、東京地裁、東京簡裁(刑事))。





*****開廷表*****
東京地裁
522号法廷(5階)開廷表
平成29年3月3日(金)
●開始/終了/予定   11:00/11:10/弁論
〇事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第91号 / 固定資産価格審査決定取消請求事件
〇当事者      岩崎不動産株式会社 外 / 立川市
〇代理人
〇担当 民事第3部B1係
    裁判長 古田孝夫
    裁判官 荒谷謙介
    裁判官 大畠崇史
    書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定   11:15/11:25/弁論
〇事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第499号 / 法人文書不開示処分取消請求事件
〇当事者      市民オンブズマン群馬    / 独立行政法人国立高等専門学校機構
〇代理人
〇担当 民事第3部B2係
    裁判長 古田孝夫
    裁判官 荒谷謙介
    裁判官 南 宏幸
    書記官 佐藤春徳

**********

■早く到着したため、前回同様当日の最初の裁判を傍聴しました、

 この裁判は東京都下の立川市の不動産業者らが提起した訴訟で、固定資産価格審査決定取消請求事件です。これは固定資産税の価格(評価額)に対する不服で、地方税法432条1項の規定に基づき、固定資産税の納税者で、固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して60日以内に、文書をもって固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたものです。審査申出の結果、立川市固定資産評価審査委員会の裁定に不服だったため、事業者が市を相手取って行政訴訟に踏み切ったものです。

 原告の不動産業者らも被告の立川市も訴訟代理人の弁護士同士のため、法廷内の緊張感が全く感じられません。裁判は僅か4分30秒で終了しました。やりとりの概要を見てみると、前回の被告の準備書面への反論として、原告から第3準備書面が提出され、併せて甲第21の3号証が提出され、これに基づき調査嘱託又は文書提出命令を採用するかどうか裁判所が決める予定のようです。かなりスピード感を持った裁判の様子で、6週間ピッチの期日が基本で、裁判長は準備書面や証拠は通常は次回期日の1週間前までに提出を要するところ、前日でも構わないから必ず提出するように指揮をしていました。被告側の都合で次回は2週間遅れの4月28日(金)午前10時30分と決まりました。

■立川市の行政訴訟が終わると、まだ10分程度時間がありました。裁判官は一旦退室しましたが、書記官はそのまま残り、次の当会の住民訴訟の準備に入ったらしく、間もなく、法廷の中に入るよう促されました。さっそく出廷簿に氏名を記入しました。今回は原告として市民オンブズマン群馬の名義となっているため、氏名を記載しますが、通常は個人で訴訟する場合は、既に記載された名前に○を付ける場合がほとんどです。

 被告の国立高等専門学校機構の訴訟代理人の藍澤弁護士もまもなくやってきて、出廷簿に氏名を記載しました。法廷から傍聴席(42人分)を見ると、傍聴人は誰もいませんでした。

 11時15分定刻に裁判長を含む裁判官3名が入廷し、原告、被告ともに全員起立をしました。早速裁判長は「では、はじめます」と口火を切りました。

 裁判長から「原告から2月24日付で準備書面(1)をいただいたので、これを陳述するか?」と聞かれたので、原告から「はい、陳述します」と答えました。

 続いて裁判長は被告に向かって、「原告から書面が提出されたので、被告から反論をしていただく。ところで、(被告は全面不開示としているが)部分開示があれなのか、このあたりをよく精査すること。もう1点は対象文書の中で、被告の説明によると、学校としての今後の対応方針を説明した部分があるということだが、この部分も個人識別文書に該当するという主張なのか?」と質問しました。被告の藍澤弁護士は小さい声で「はい」と述べました。

 裁判長は「すると、なぜ該当するのかについて、説明が必要だと思う」と言うと、被告の訴訟代理人は「依頼者に確認したうえで反論したいと思う」と答えました。

 裁判長は被告に対して「書面の提出はいつ頃になるか?」と訊くと、被告弁護士は「1ヶ月程度(期間を)いただきたい」と答えました。

 裁判長は「4月の前半は期日が入りにくいので、4月14日金曜日とかはどうか?」と原告と被告双方に確認を求めて来たので、原告からは「大丈夫です」と答えました。被告の弁護士も異存なさそうでした。

 裁判長は「11時30分でもよいか?」というので、原告は「了解です」と答えました。被告の弁護士も「はい」とうなずいていました。

■こうして、僅か3分30秒余りで、第2回口頭弁論が終わりました。被告の国立高等専門学校機構=群馬高専は、反論のために1ヶ月もの期間を裁判長に要求しました。これでは新年度になってしまいます。

 原告としても、4月14日(金)午前11時30分からの次回第3回口頭弁論期日まで、ただ座して待つだけではなく、どのような文書が開示対象として存在するのか、アカハラによる被害者の個人情報がプライバシーを理由に不開示とされることによる学校側のメリットと、不開示されることでアカハラの被害者が受ける精神的身体的な苦痛や健康への悪影響などデメリットを比較考量して、次回期日に備えたいと思っています。


日の丸が掲揚されているが、我が国の司法がどれほど行政一辺倒の判断をしてきているかは、実際に行政訴訟を提起してみないと分からない。

東京地裁前の冬木立。次回期日の4月14日は、果たして春の気配を新芽に見ることができるかどうか。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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学校での体罰に寛容な教育界・・・公金で体罰を不問にしてくれる安中市にお墨付きを与えた市監査委員

2017-03-03 22:23:00 | 安中市の行政問題
■2015年11月に安中市内の小学校で発生した体罰事件について、暴行罪で起訴された元教諭が安中市による被害児童の代理人の弁護士に賠償金50万円を支払ったことが考慮されて前橋地検により不起訴処分(起訴猶予)となった件で、当会は、公金での損害賠償金の支払いが妥当かどうか今年1月6日付で住民監査請求を安中市監査委員に提出していました。その後、1月27日(金)に陳述が行われた後、早くも2月24日付で監査結果通知が、届きました。果たして、体罰教師への公金の支払いについて安中市監査委員はどのような判断をしたのでしょうか。


 監査結果通知の内容は次のとおりです。

*****監査結果通知*****PDF ⇒ 20170224sm.pdf
<P1>

                       安監委発1787号
                       平成29年2月24日

 請求人 安中市野殿980番地
     小 川  賢  様

                 安中市監査委員  安藤志善

                 安中市監査委員  齊藤盛久


      安中市職員措置請求書に係る監査結果について(通知)

 平成29年1月6日付で提出のあった本件措置請求について監査した結果を、地方自治法(以下「法」という。)第242条第4項の規定により次のとおり通知する。

               記

1 請求書の受理
  本請求書は、所要の法定要件を具備しているものと認め、これを受理した。

2 請求の要旨
  本件申請に係わる請求人の主張事実及び措置請求については、次のとおりである。(原文のまま掲載。事実証明は省略)
(1)平成27年11月24日(火)に発生した安中市立小学校勤務の教諭による同校児童への体罰事件について、平成28年2月3日に被害児童保護者の弁護士から安中市に対して損害賠償請求通知が届いた。同2月5日に安中市の教育部長が市の弁護士に相談し、その後、双方の弁護士どうしで協議のあと、被害児童保護者の弁護士から損害賠償額50万円の提示があった。
(2)このため、平成28年4月22日に、市長、副市長、教育長、教育部長、学校教育課長、市民部長、市弁護士で相談の結果、損害賠償額50万円を了承し、同5月19日に安中市長の専決処分事項として、専決処分が為され、同6月17日に、教育費、教育総務費、事務局費、事務局運営事業、補償補填及び賠償金、賠償金として、被害児童保護者の弁護士に損害賠償金50万円が支払われた。

<P2>

(3)一方、加害者の教諭については、障害の疑いで書類送検されたが、高崎区検は、平成28年10月7日付で、同教諭に対して暴行罪を適用した上で起訴猶予とした。報道によれば、高崎区検は「証拠を精査し、市側か賠償金を支払ったことも考慮した」としているという。
(4)請求人が入手した資料によれば、加害者による児童への体罰の事実が認められており、このことは高崎区検による起訴猶予の前提としての暴行罪の適用からも窺える。
(5)安中市長によれば、安中市の財政状況は厳しい状況にあるという。また、21年前に安中市土地開発公社を舞台にした巨額詐欺横領事件の和解による群馬銀行への103年に亘る支払いなども厳然たる事実である。
(6)ところが、平成28年7月7日決裁の教育部学校教育課による起案用紙によれば、「今回の事案が教育現場における指導中の行為であり、対応の誤り、行き過ぎた指導行為は明白であるが、故意又は重大な過失が認められていないこと」や「こうした事案での個人に対する求償が、教職員全体の生徒指導や保護者対応への意欲や積極性の低下を招き、今後の適切な教育活動の推進に支障をきたす恐れがあること」などとして、加害者教諭への損害賠償額の求償を放棄しており、このことは一罰百戒の機会を自ら喪失させようとするものである。
(7)この求償放棄に関連して、県内公立高校の判例が引用されているが、この場合、体罰とはいえ部活における行き過ぎた指導によってうつ状態を発症させたものであり、判決文では「故意または重大な過失が認められない」とする記述が為されたものと思われる。その結果、加害者の元教諭は減給1か月の懲戒処分を受け、そのまま定年退職したとされている。
(8)他方、安中市の事案の場合は、加害者の元教諭に対して何の処分もなされてはいない。また、事件の態様についても、被害児童に事情を丁寧に聴くことなく、自分の担任しているクラスの児童の言い分のみを鵜呑みにして、
  一方的な思い込みにより体罰を加えたことで、重大な過失ということができる。
(9)そのため、加害者である教諭が、いくら児童への指導に熱意を持って公務に携わっていたとはいえ、本人の重過失は明らかであり、刑事罰である暴行罪の適用を前提に起訴の可能性もあったところ、全額公金によりカバーされた損害賠償金の支払いにより、起訴を免れたところから、その代償として、当該損害賠償金と同額の金額を市に支払うことで、安中市の被った損害を結果的に回避することが、住民感情からも適切だと考える。
(10)よって、安中市監査委員におかれては、安中市教育委員会教育長をして、加害者の元教諭に対して、公金から支払われた損害賠償額と同額の支払い

<P3>

を請求するよう勧告することを求める。

3 監査の実施
(1)監査対象事項
   本件請求において監査対象とする財務会計上の行為を次のものとした。
   市立小学校勤務の教諭(以下「甲」という。)による同校児童(以下「乙」という。)への体罰事件の和解書に基づいて市が損害賠償金として乙の保護者の弁護士(以下「丙」という。)に支払った金員について、市が甲に対して求償権の行使を違法に怠っているか否かを監査対象とした。
(2)監査対象機関
   安中市教育部学校教育課を監査対象機関とした。
(3)請求人の証拠の提出及び陳述
   法第242条第6項の規定に基づき、請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会を与えたところ、請求人は、平成29年1月27日に、追加資料(陳述書)を提出するとともに、次の項目に分けて請求の要旨を補足する陳述をおこなった。
   ・本体罰事件の概要について
   ・なぜ安中市が和解金を全額負担しなければならなかったのか
   ・県費負担教職員制度とはなにか
   ・本件体罰事件の報告は群馬県に正しく為されたのか
   ・体罰は果たして「故意又は重大な過失が認められない」行為なのか
   ・安中市の財政は国家賠償法による求償権を放棄できるほど潤沢なのか
   その中で、新たな事実として、甲が群馬県教育委員会から懲戒処分を受けたことが示された。

4 監査の結果
  本件請求については合議により次のとおり決定した。
   「本件請求は、理由が無いものと認める。」
  以下、その理由について述べる。
(1)事実関係の確認
   本件請求において、監査委員は、証書等を調査し、以下の事実についての確認をおこなった。
   ・平成27年11月24日 甲から乙への体罰があり、甲の勤務地の校長から市教育長宛に連絡があった。
   ・  同日 市教育委員会から県教育委員会へ体罰があったことを連絡した。
   ・12月2日「教職員による体罰調査書」が市教育委員会に提出された。

<P4>

   ・平成28年2月3日 市が丙から損害賠償請求の通知を受けた。
   ・2月4日 市教育委員会から県教育委員会へ内申を提出した。
   ・2月5日 市教育部長が市側弁護士に相談した。
   ・2月12日 甲に対して群馬県教育委員会から懲戒処分かおこなわれた。
   ・3月23日 丙から市に対して損害賠償額50万円の提示があった。
   ・4月22日 市と市側弁護士で相談したうえで、丙から市に対して提示された損害賠償額50万円を了承した。
   ・5月19日 和解についての専決処分がおこなわれた。
   ・   同日 和解書の取り交わしがおこなわれた。
   ・5月30日 市議会全員協議会で本件体罰事案経過報告がおこなわれた。
   ・6月17日 市が丙の預金口座に50万円を振り込み、支払いが完了した。
   ・   同日 学校教育課が群馬県西部教育事務所に、本件は市が甲に対して求償すべき事案か否かの問い合わせをした。
   ・7月7日 市は甲に対して求償しないことを決定した。
   ・10月7日 高崎区検察庁は本件体罰事件を不起訴処分とした。
(2)監査対象機関の説明
   市が甲に損害賠償額を求償するか否かの検討は次のとおりおこなわれ、求償しないという結論になった。
   平成28年5月19日の和解書の取り交わしで賠償金額が定まったことを受け、教育委員会内部で求償についてが話題となった。検討の中で甲に対して求償の可能性があることを伝えた事実もある。6月17日に群馬県西部教育事務所に相談をしたうえで、求償の条件となる、「故意又は重大な過失があったとき」とはいえないと判断し、求償しないという案とした。同月22日に市議会会派代表連絡会議の席上でこの案を伝えた後、7月7日付け市長決裁で求償しないことが決定された。
(3)判断
   求償権を有する要件は、国家賠償法第1条第1項で「国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。J としたうえで、同条第2項で、「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」としている。
   したがって、本件監査において市が甲に対しての求償権を有するか否かの判断をするには、甲に故意又は重大な過失かおるか否かを判断する必要がある。
   しかし、すでに甲は、甲の任命権者である県教育委員会から戒告の懲戒処

<P5>

分を受けているが、この懲戒処分は、教育公務員特例法第9条に基づいて県教育委員会が評議会を開催して審議したもので、群馬県教育委員会懲戒指針(以下「指針」という。)に則しておこなわれた。指針の標準例のうち体罰に関しては次のとおりである。

  標準例6児童生徒に対する非違行為関係から
   (1)体罰
     ア体罰により児童生徒を死亡させ、又は児童生徒に重大な後遺症が残る傷害を負わせた教職員は、免職又は停職とする。
     イ 体罰により児童生徒に重傷を負わせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において体罰を常習的に行っていたとき、
      又は体罰の態様が特に悪質なときは、免職又は停職とする。
     ウ 侮辱的な言動等により児童生徒に著しい精神的な苦痛を負わせるなどの行為を行った教職員は、ア又はイに準じて取り扱う。


   この県教育委員会がおこなった懲戒処分を尊重して、監査委員は次のとおり判断した。

   本件に係わる体罰が生じたことは、甲に事実誤認があったとはいえ、その職務である教育活動の過程における指導の結果から起こったことであり、甲の故意とはいえない。
   また、懲戒処分の内容と指針を照合すると、甲は体罰を常習的に行っていたとはいえない、又体罰の態様が特に悪質であったとはいえないといえることから、甲に重大な過失があったとまでは認められない。

   よって、甲には、国家賠償法第1条第2項に規定する故意又は重大な過失があったとまでは認められず、市は、甲に対する求償権を有するとは認められない。求償権を認められない以上、市に、違法又は不当に求償権の行使を怠る事実も存在しない。

   したがって、本件請求は、理由が無いものと判断する。

<P6>

            監査結果等に不服の場合

 請求人が監査結果などに不服な場合は、住民訴訟を提起して、措置を講ずるよう請求する手段があります。(地方自治法第242条の2)
 なお、住民訴訟の対象事項は「違法な」行為又は怠る事実に限られています。

住民訴訟の出訴期間には、次のような制限がありますので、ご注意ください。

1 監査結果や勧告の内容に不服のある場合(監査を実施せず却下されたことに不服のある場合も含む) ⇒ 監査結果などの通知があった日から30日以内

2 監査委員の勧告を受けた、市長や職員等の措置に不服がある場合 ⇒ 措置にかかる監査委員の通知があった日から30日以内

3 監査委員が監査請求のあった日から60日以内に監査又は勧告を行わないとき ⇒ 60日を経過したときから30日

4 監査委員の勧告を受けた市長や職員等が、必要な措置を講じない場合 ⇒ 勧告において示された期間を経過してから30日以内
**********

■驚きました。安中市監査委員は、当会が提起した問題点をまともに直視しようとせず、安中市学校教育課の言い分を100パーセント鵜呑みにして、公金から和解金を支払ったことを不問にしたのです。

 今回、安中市監査委員が行った監査というのは、安中市学校教育課のみを対象に、説明内容又は関連文書を確認しただけで、加害教師ら関係者への事情聴取を全く行わずに結論を出すものだったことが伺えます。

 この中で、監査委員は「新たな事実として、甲が群馬県教育委員会から懲戒処分を受けたことが示された」と指摘しています。これは、当会が新聞報道から知った事実を陳述したことを指していますが、新聞では「県教委は二月に、男性教諭を戒告処分にしている」と報じています。ところが市監査委員は、「2月12日に甲(体罰教師)に対して群馬県教育委員会から懲戒処分がおこなわれた」と述べており、懲戒処分に関する何らかの情報が、安中市学校教育課にあったことをうかがわせます。

 そして群馬県が懲戒処分をくだした理由について、「この懲戒処分は、教育特例法第9条に基づいて県教育委員会が評議会を記載して審議したもので群馬県教育委員会公開指針に則しておこなわれた」として、安中市監査委員は、群馬県教育委員会のこの懲戒処分を“尊重”して、安中市学校教育課が下した判断と同じ判断をしたのだそうです。

■ここには、監査委員としての判断の主体性が微塵も見られません。体罰という行為が、故意ではなく、教育活動の過程における指導の結果から起きたことだと結論付けているのです。これは完全に学校教育課の判断の追認に過ぎません。

 監査委員は本当に今回の監査結果通知を自分で書いたのでしょうか。学校教育課に書いてもらったとした思えないほど、どっぷりと行政側のぬるま湯に浸かっている感じを受けます。

 これでは住民目線の監査はできません。それを知ってか、当会の住民監査請求を「理由が無い」として、棄却した上で、ご丁寧にも「監査結果等に不服の場合」として、住民訴訟の対象事項について、「違法な」行為又は怠る事実に限られるとして、監査結果などの通知があった日から30日以内に住民訴訟ができるとして、当会に対して教示をしてきました。

 当会では2月25日に監査結果通知を受け取ったので、この日を含めて30日以内、すなわち、3月26日が期限ですが、この日は日曜日なので実質的には3月24日(金)までに住民訴訟を提起するかどうかを決めたいと思います。

■今回の住民監査で判明したことは、安中市学校教育課も安中市監査委員も、さらに群馬県も、体罰教師が児童や生徒を殺すか、重篤な後遺症を残すほどの重傷を負わすか、常習的に体罰で重傷を負わせない限り、体罰教師をクビにすることはないことです。

 さらに体罰教師は、たとえ被害者から損害賠償で訴えられても、すべて公金で損害賠償金を市や県から支払ってもらえるし、暴行罪で警察に送検されても、公金で被害者に和解金として支払ってもらえるので、検察に不起訴処分にしてもらえることです

 これはどうしても納税者市民として理解できません。体罰は故意に行われる行為のはずです。今回の安中市内の小学校で起こった体罰事件では、体罰教師は、被害児童に対して「下級生に暴力をふるっただろう。本当のことを言え!」と胸ぐらをつかんで揺らしたり床に押し倒したりしました。この時、被害児童の頭を壁や窓枠に打ち当てたため、被害児童は頭にコブができ、あごやひざなどに打撲、首と左指のねんざで全治10日のケガを負わされたのです。

 被害児童は「自分はやっていない」と何度も体罰教師に伝えましたが、体罰教師はそれを信じないで、体罰を加え続けました。

 実際に下級生に暴力を奮った児童も、体罰教師に本当のことをいうことができませんでしたが、これは普段から体罰教師が担任している児童らに対して、高圧的に接していることをうかがわせます。

■今回の体罰事件にかかる住民監査請求で分かったことは、体罰を行って児童生徒に危害を加えても、殺したり後遺症が残るほどの重傷を負わさないかぎり体、罰教師はクビにならず、重傷を負わせても常習的に体罰をしていなければ、やはりクビにならないことです。

 しかも被害児童や保護者から傷害容疑で告訴され、損害賠償を請求されても、教育委員会が公金から損害賠償金を被害者に支払ってくれるので、傷害罪についても検察が起訴を見逃してくれるのです。

 これでは体罰という暴行容疑と紙一重の犯罪の再発防止にならないでしょう。体罰で被害者に身体的、精神的ダメージを負わせた場合、免職や停職処分にもならず、損害賠償をすべて公金で賄ってくれるのですから、何の抑止にもなりません。いくら体罰を行っても、免職にもならず暴行罪の適用も受けないのであれば、せめて原因者としてなにかペナルティーが必要だと思われます。

 一方、当会が住民訴訟を提起した場合、安中市は顧問弁護士を起用して着手金30万円を支出し、裁判の口頭弁論では市の職員らが都度前橋地裁に出張し、交通費や出張手当が支給され、当会が勝訴しても敗訴しても、控訴審や成功報酬で顧問弁護士にさらに多額の公金の支出がなされるという事態も予想されます。

 こうしたジレンマをよく検討したうえで、3月24日までに対応を決めたいと思います。

【ひらく会事務局からの報告】

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