■アカデミックハラスメントに関係する情報はプライバシー保護の観点から不開示とするという方針を行政訴訟事件の法廷の場でも主張している群馬高専ですが、3月3日に東京地裁で行われた第2回口頭弁論期日では、裁判長が4月14日(金)午前11時30分からの次回公判までに「全面不開示ではなく部分開示と言う観点から主張を整理すること」と「学校としての今後の対応方針を説明した部分も個人識別文書に該当すると主張する理由を整理すること」の2件について訴訟指揮をしました。この個人識別情報をキーワードとして捉えた当会では、群馬高専のホームページをあらためてチェックしてみました。すると興味深い事実が浮上してきました。
↑校内発行刊行物の閲覧のために訪れた群馬高専の管理棟前の校章をモチーフにした記念碑。↑
※もっとハッキリ見る場合 JPEG ⇒ dscf9427zu.jpg
↑総務課の配置図。↑
↑学校側が準備していた学校だよりの綴りファイル。↑
群馬高専のホームページ上で、「校内発行刊行物」のページを開くと、「学校だより」「群馬高専レビュー」「校報」と題する刊行物を外部に向けて公開していることがわかります。
※群馬高専ホームページ ⇒ http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/gakkodayori
*****校内発行刊行物*****
<学校だより>
学校だより109号(PDF) 2016年12月16日
学校だより108号(PDF) 2016年6月29日
学校だより107号(PDF) 2016年3月15日
学校だより106号(PDF) 2015年12月16日
学校だより105号(PDF) 2015年6月29日
<群馬高専レビュー>
群馬高専レビュー34号(PDF) 平成27年度
群馬高専レビュー33号(PDF) 平成26年度
群馬高専レビュー32号(PDF) 平成25年度
<校報>
校報129号(PDF) 平成28年1月~6月 PDF ⇒ kouhou12920170314zj.pdf
校報128号(PDF) 平成27年7月~12月 PDF ⇒ kouhou12820170314zj.pdf
校報127号(PDF) 平成27年1月~6月 PDF ⇒ kouhou12720160803z.pdf
**********
↑2017年3月15日当日発行の最新版の学校だより110号。まだ現時点では群馬高専HPには掲載されていない。↑
これらの刊行物のなかで、奇妙な事実があります。それは、刊行物の中の「校報」に関してです。
「校報」は毎年2回、夏と冬に発行されていますが、夏に出される奇数号では「人事関係」の欄があります。ここには、当該年の退職者や異動者の氏名や事由が記載されています。しかし、現在学校のHPを確認してみても、127号にも129号にも、いずれも人事関係の欄は「校内のみ」と記されているだけです。
そのため、市民オンブズマン群馬では、直接、群馬高専の校内発行刊行物の原本を確認すべく、3月15日(水)朝8時半に群馬高専を訪れました。訪問に際して、前日の午後3時に同校総務課に電話を入れました。
あいにく総務課の櫻井課長は当日休みだそうで、代わりに部下の村田係長が電話口に出てくれました。「明日午前8時30分に総務課の櫻井課長に面談したいのでその旨メモ書きを机の上に置いておいてほしい」と依頼したところ、「もし櫻井があすも休みの場合どうすればよいか」と係長が言うので、「明日の訪問の主目的は群馬高専の刊行物一式のバックナンバーを閲覧したいので、ついでにしばらくご無沙汰していることから課長に挨拶をしたいのですが」と言ったところ、村田係長は「バックナンバーは何年前までのものを用意すればよいか」というので、「5年前まで、つまり平成24年からのすべての刊行物を見せてください」と依頼しました。
なお、「昨年8月ごろまで、率先して当会の情報開示要請に対応してきた六本木次長は今どうしているのでしょうか?」と聞いたところ、「半年前の昨年9月に異動になった」とのことでした。
■3月15日朝8時半、定刻に群馬高専を訪れたところ、櫻井課長が在籍していましたが、村田係長らが緊張した面持ちで対応してくれました。既に準備していただいた資料を持参して、2階の一番奥にある、いつもの会議室に案内していただきました。
↑情報開示の際にこれまでも使われた管理棟の一番奥にある会議室。↑
↑壁に架けられた同校の教育理念等が掛かれたボード。↑
そして、準備していただいた校内発行刊行物の資料綴りと閲覧することになったのですが、机の上に置かれたのは「学校だより」のみでした。「他の刊行物はどうしたのですか?」と訊ねると、「学校だよりの閲覧を希望するとのことだったので、これを準備した」との一点張りです。「学校だよりの他にも、技術や研究内容などの話題を扱ったレビューという刊行物もあるはずです。また、半年ごとに刊行している学校の報告もあるはずですが」と食い下がると、「それらは学校内部用です。ホームページには加工してあるものも掲載しており、きょう閲覧していただけるのは、これだけです」として、学校だよりしか閲覧させてもらえないことが明らかになりました。
校内発行刊行物は総務課が保管しているのに、なぜ学校だよりしか閲覧できないのでしょうか?「加工してあるから」見せられないということは、やはり見せたくない、という同校上層部の方針や判断があることをうかがわせます。
■村田係長らは「閲覧にはどのくらい時間がかかる予定なのか?」と訊かれたため、「約1時間を予定しています。9時半には退出します」と伝えました。学校側が準備した「学校だより」には、ホームページにはまだ掲載されていない、3月15日に発行されたばかりの「学校だより110号」が綴られていました。
こうして、群馬高専レビューと校報は加工されていることを理由に閲覧を許可されませんでした。そこで閲覧を終えて学校から戻った後、改めて群馬高専のホームページをチェックしたところ、不可思議な経緯が明らかになってきました。
同校のHPの過去の履歴を確認したところ、2016年8月の時点では、2014年3月付の人事関係の情報を記した校報125号が公開されていることが分かりました。その時は、群馬高専の人事関係情報が外部にもちゃんと公開されていたのです。
※校報125号(PDF) 平成26年1月~6月 PDF ⇒ kouhou12520160803lw.pdf
さらに視点を変えて、2017年3月現在公開中の校報127、128、129号の更新日時を調べてみると、いずれも2016年10月20日に更新されていることが分かりました。
■こうした時系列を、群馬高専を揺るがせているアカハラ事件と対比させてみましょう。
電子情報工学科におけるアカハラが苛烈になり始めたのは2014年4月でした。そして、そのアカハラを受けていた教職員のかたが退職したのは2015年3月付でした。その時点からの人事情報が外部に閲覧不能にされているわけですから、群馬高専の上層部が、何を目的として何を考えて、こうした「情報操作」や「情報統制」を行ったのかは火を見るより明らかです。
当会がアカハラや寮生連続不審死事件に関する公開質問状に関連して群馬高専を訪れたのは2016年7月から8月にかけてでした。また、当会がアカハラ情報の不開示処分について東京地裁に訴状を提出したのは2017年10月26日でした。
当会のこうした動きが、群馬高専側に対して、同校HP上の「校報」に掲載してきた人事情報の「加工」という形を誘発したのでしょうか。
■もしそうであるとすれば、群馬高専側の取った行動は、あまりにも身勝手だと言わざるを得ません。
教職員・学生の“個人情報”など、「校報」に限らず、これまでに問題なく公表されてきているにも関わらず、なぜか、アカハラ問題に絡む情報だけが、この度ピンポイントで閲覧不能となっているのです。
しかも、連綿と続いて来た群馬高専のオープンな慣習が、たったひとりの文科省天下り校長の保身と気まぐれのために握りつぶされてしまったのです。
開かれた学校を目指す同校としては、なぜかアカハラ事件については完全に封印をしたいようです。
■約1時間の学校だよりの閲覧を終えてから、学校だよりを綴ったファイルを総務課に返還した際、櫻井課長に挨拶をしようと思いましたが、生憎在籍していませんでした。そのため、村田係長によろしくお伝えくださいと頼んでから、帰ろうと廊下を出口に向けて歩いていると、来るときはドアが開けたままだった校長室のドアが閉まっていることに気付きました。
↑櫻井課長が西尾校長に報告中だった校長室。↑
ドアにあけてある小窓から中をのぞくと、櫻井課長が西尾校長になにやら報告している様子が目撃できました。
そのため、廊下で両者の打合せが終わるまで待機していました。3分ほどすると、西尾校長が出てきました。「4月からも校長として続投されますか?」と質問しましたが、当会に一瞥をくれただけで足早に廊下を進み、総務課の北側のドアから中に入っていきました。
続いて櫻井課長が校長室から出て来たので、「物質工学科のアカハラに関する当会の公開質問に対して、回答をお忘れなくお願いします」と声を掛けました。しかし、櫻井課長も無言のまま総務課に入っていってしまいました。
なお、公開質問状については、総務課の村田係長によれば「引き続き調査中」とのことです。どこまで調査が進んでいるのか、具体的な進捗は明らかにされませんでしたが、歯切れの悪い説明の背景には、トップの西尾校長の意向が強く影響されていることが感じられます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑校内発行刊行物の閲覧のために訪れた群馬高専の管理棟前の校章をモチーフにした記念碑。↑
※もっとハッキリ見る場合 JPEG ⇒ dscf9427zu.jpg
↑総務課の配置図。↑
↑学校側が準備していた学校だよりの綴りファイル。↑
群馬高専のホームページ上で、「校内発行刊行物」のページを開くと、「学校だより」「群馬高専レビュー」「校報」と題する刊行物を外部に向けて公開していることがわかります。
※群馬高専ホームページ ⇒ http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/gakkodayori
*****校内発行刊行物*****
<学校だより>
学校だより109号(PDF) 2016年12月16日
学校だより108号(PDF) 2016年6月29日
学校だより107号(PDF) 2016年3月15日
学校だより106号(PDF) 2015年12月16日
学校だより105号(PDF) 2015年6月29日
<群馬高専レビュー>
群馬高専レビュー34号(PDF) 平成27年度
群馬高専レビュー33号(PDF) 平成26年度
群馬高専レビュー32号(PDF) 平成25年度
<校報>
校報129号(PDF) 平成28年1月~6月 PDF ⇒ kouhou12920170314zj.pdf
校報128号(PDF) 平成27年7月~12月 PDF ⇒ kouhou12820170314zj.pdf
校報127号(PDF) 平成27年1月~6月 PDF ⇒ kouhou12720160803z.pdf
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↑2017年3月15日当日発行の最新版の学校だより110号。まだ現時点では群馬高専HPには掲載されていない。↑
これらの刊行物のなかで、奇妙な事実があります。それは、刊行物の中の「校報」に関してです。
「校報」は毎年2回、夏と冬に発行されていますが、夏に出される奇数号では「人事関係」の欄があります。ここには、当該年の退職者や異動者の氏名や事由が記載されています。しかし、現在学校のHPを確認してみても、127号にも129号にも、いずれも人事関係の欄は「校内のみ」と記されているだけです。
そのため、市民オンブズマン群馬では、直接、群馬高専の校内発行刊行物の原本を確認すべく、3月15日(水)朝8時半に群馬高専を訪れました。訪問に際して、前日の午後3時に同校総務課に電話を入れました。
あいにく総務課の櫻井課長は当日休みだそうで、代わりに部下の村田係長が電話口に出てくれました。「明日午前8時30分に総務課の櫻井課長に面談したいのでその旨メモ書きを机の上に置いておいてほしい」と依頼したところ、「もし櫻井があすも休みの場合どうすればよいか」と係長が言うので、「明日の訪問の主目的は群馬高専の刊行物一式のバックナンバーを閲覧したいので、ついでにしばらくご無沙汰していることから課長に挨拶をしたいのですが」と言ったところ、村田係長は「バックナンバーは何年前までのものを用意すればよいか」というので、「5年前まで、つまり平成24年からのすべての刊行物を見せてください」と依頼しました。
なお、「昨年8月ごろまで、率先して当会の情報開示要請に対応してきた六本木次長は今どうしているのでしょうか?」と聞いたところ、「半年前の昨年9月に異動になった」とのことでした。
■3月15日朝8時半、定刻に群馬高専を訪れたところ、櫻井課長が在籍していましたが、村田係長らが緊張した面持ちで対応してくれました。既に準備していただいた資料を持参して、2階の一番奥にある、いつもの会議室に案内していただきました。
↑情報開示の際にこれまでも使われた管理棟の一番奥にある会議室。↑
↑壁に架けられた同校の教育理念等が掛かれたボード。↑
そして、準備していただいた校内発行刊行物の資料綴りと閲覧することになったのですが、机の上に置かれたのは「学校だより」のみでした。「他の刊行物はどうしたのですか?」と訊ねると、「学校だよりの閲覧を希望するとのことだったので、これを準備した」との一点張りです。「学校だよりの他にも、技術や研究内容などの話題を扱ったレビューという刊行物もあるはずです。また、半年ごとに刊行している学校の報告もあるはずですが」と食い下がると、「それらは学校内部用です。ホームページには加工してあるものも掲載しており、きょう閲覧していただけるのは、これだけです」として、学校だよりしか閲覧させてもらえないことが明らかになりました。
校内発行刊行物は総務課が保管しているのに、なぜ学校だよりしか閲覧できないのでしょうか?「加工してあるから」見せられないということは、やはり見せたくない、という同校上層部の方針や判断があることをうかがわせます。
■村田係長らは「閲覧にはどのくらい時間がかかる予定なのか?」と訊かれたため、「約1時間を予定しています。9時半には退出します」と伝えました。学校側が準備した「学校だより」には、ホームページにはまだ掲載されていない、3月15日に発行されたばかりの「学校だより110号」が綴られていました。
こうして、群馬高専レビューと校報は加工されていることを理由に閲覧を許可されませんでした。そこで閲覧を終えて学校から戻った後、改めて群馬高専のホームページをチェックしたところ、不可思議な経緯が明らかになってきました。
同校のHPの過去の履歴を確認したところ、2016年8月の時点では、2014年3月付の人事関係の情報を記した校報125号が公開されていることが分かりました。その時は、群馬高専の人事関係情報が外部にもちゃんと公開されていたのです。
※校報125号(PDF) 平成26年1月~6月 PDF ⇒ kouhou12520160803lw.pdf
さらに視点を変えて、2017年3月現在公開中の校報127、128、129号の更新日時を調べてみると、いずれも2016年10月20日に更新されていることが分かりました。
■こうした時系列を、群馬高専を揺るがせているアカハラ事件と対比させてみましょう。
電子情報工学科におけるアカハラが苛烈になり始めたのは2014年4月でした。そして、そのアカハラを受けていた教職員のかたが退職したのは2015年3月付でした。その時点からの人事情報が外部に閲覧不能にされているわけですから、群馬高専の上層部が、何を目的として何を考えて、こうした「情報操作」や「情報統制」を行ったのかは火を見るより明らかです。
当会がアカハラや寮生連続不審死事件に関する公開質問状に関連して群馬高専を訪れたのは2016年7月から8月にかけてでした。また、当会がアカハラ情報の不開示処分について東京地裁に訴状を提出したのは2017年10月26日でした。
当会のこうした動きが、群馬高専側に対して、同校HP上の「校報」に掲載してきた人事情報の「加工」という形を誘発したのでしょうか。
■もしそうであるとすれば、群馬高専側の取った行動は、あまりにも身勝手だと言わざるを得ません。
教職員・学生の“個人情報”など、「校報」に限らず、これまでに問題なく公表されてきているにも関わらず、なぜか、アカハラ問題に絡む情報だけが、この度ピンポイントで閲覧不能となっているのです。
しかも、連綿と続いて来た群馬高専のオープンな慣習が、たったひとりの文科省天下り校長の保身と気まぐれのために握りつぶされてしまったのです。
開かれた学校を目指す同校としては、なぜかアカハラ事件については完全に封印をしたいようです。
■約1時間の学校だよりの閲覧を終えてから、学校だよりを綴ったファイルを総務課に返還した際、櫻井課長に挨拶をしようと思いましたが、生憎在籍していませんでした。そのため、村田係長によろしくお伝えくださいと頼んでから、帰ろうと廊下を出口に向けて歩いていると、来るときはドアが開けたままだった校長室のドアが閉まっていることに気付きました。
↑櫻井課長が西尾校長に報告中だった校長室。↑
ドアにあけてある小窓から中をのぞくと、櫻井課長が西尾校長になにやら報告している様子が目撃できました。
そのため、廊下で両者の打合せが終わるまで待機していました。3分ほどすると、西尾校長が出てきました。「4月からも校長として続投されますか?」と質問しましたが、当会に一瞥をくれただけで足早に廊下を進み、総務課の北側のドアから中に入っていきました。
続いて櫻井課長が校長室から出て来たので、「物質工学科のアカハラに関する当会の公開質問に対して、回答をお忘れなくお願いします」と声を掛けました。しかし、櫻井課長も無言のまま総務課に入っていってしまいました。
なお、公開質問状については、総務課の村田係長によれば「引き続き調査中」とのことです。どこまで調査が進んでいるのか、具体的な進捗は明らかにされませんでしたが、歯切れの悪い説明の背景には、トップの西尾校長の意向が強く影響されていることが感じられます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】