市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟の3.15第2回口頭弁論開かれる

2017-03-15 23:51:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■周辺住民の意見をろくに聞こうともせず東電グループの関電工が前橋市内の赤城山南麓で強引に建設中のバイオマス発電所では、その手続きの過程で行政との癒着が次々に明るみに出ていますが、極め付きのひとつは群馬県環境影響評価条例で群馬県が関電工に環境アセスメントの実施の適用外だとして、本来は排ガス量の観点から、アセスメント実施を義務付けなければならないのに、「アセスをやるかどうかは業者の判断次第だ」などとして、県民の生活環境等を守る責務を自ら放棄したことです。このため、なぜアセスメント不要の判断をしたのか、その経緯と根拠を示す情報一式を群馬県に求めたところ不存在通知があったため、市民オンブズマン群馬では提訴したものです。

周囲の植木の狭間から見た3月15日朝の前橋地裁。

 本件のこれまでの経緯は次のブログを参照してください。

 この第1回口頭弁論期日までの本件の経緯は次のブログをご覧ください。
〇2016年11月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境影響評価条例を歪めた証拠文書不存在でオンブズが県を提訴
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2155.html
〇2016年12月12日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟で地裁から補正指示
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2184.html
〇2017年1月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟で被告群馬県から答弁書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2208.html
〇2017年1月19日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟の1.18第1回弁論の様子
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2216.html
〇2017年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟の原告準備書面(1)を提出 
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2246.html

■群馬県環境影響評価条例で定めた排ガス量4万ノルマル㎥を上回っても条例で義務付けされた環境アセスメントを実施しなくてもよいとする判断を群馬県がしたことを示す情報の開示請求の結果、不存在とされた処分の取消を求める本請求事件の第2回口頭弁論が3月15日(水)午前10時30分から前橋地裁本館2階第21号法廷で開かれました。傍聴席はバイオマス発電施設建設地周辺住民の方々やオンブズマン会員ら約20名が詰めかけました。

当日の開廷表は次のとおりです。

*****開廷表(行政訴訟のみ抜粋)*****
第21号法廷(本館2階)
平成29年3月15日(水曜日)
●開廷/終了/予定 :10:30/弁論
〇事件番号/事件名:平成28年(行ウ)第24号/公文書不存在決定処分取消請求事件
〇当事者     :市民オンブズマン群馬/群馬県
〇代理人     :     -    /石原栄一
〇担当:民事第1部合議係
    裁判長 塩田直也
    裁判官 後藤英時郎
    裁判官 佐藤秀海
    書記官 本多光浩  
 
●開廷/終了/予定 :10:30/第1回弁論
〇事件番号/事件名:平成28年(行ウ)第27号/住民訴訟によるバイオマス補助金支払い差止請求事件
〇当事者     :小川賢 外1/群馬県知事 大澤正明
〇代理人     :   ―  /石原栄一
〇担当:民事第1部合議係
    裁判長 塩田直也
    裁判官 後藤英時郎
    裁判官 佐藤秀海
    書記官 本多光浩 
●開廷/終了/予定 :13:10/第1回弁論
〇事件番号/事件名:平成28年(行ウ)第25号/交通違反原点の異議申立書に対し決定書の取消請求事件
〇当事者     :宇居凡生/群馬県
〇代理人     : ―  /石田弘義
〇担当:民事第1部合議係
    裁判長 塩田直也
    裁判官 後藤英時郎
    裁判官 佐藤秀海
    書記官 本多光浩
**********

■第2回口頭弁論は定刻より若干早く、10時28分ごろに開始されました。 

*****アセス不要根拠不開示事件3.15第2回口頭弁論*****
 冒頭に書記官から「平成28年(行ウ)第24号」と事件番号が読み上げられました。そして直後に裁判長が「原告から2月24日付で原告準備書面(1)が届いている。このとおり陳述することでよいか?」と原告に確認を求めて来たので、原告は「はい。陳述いたします」と答えました。

 次に裁判長は「(原告準備書面(1)の)4ページの第2の求釈明のところで、「被告は『事業者の自らの任意の判断で実施しなくてもよい』と断言する」と書いてあるが、それは被告の準備書面のどの部分を言っているのか?」と原告に向かって質問してきました。「えーと、3/4ですか?」と原告が聞き返すと、裁判長は「4ページの」と言いました。それでようやく4/4のページの中下段にある「第2 求釈明」のところだと確認できました。

 裁判長は、「被告は、この条例のアセスメントの対象事業がどうかの判断を事業者がすると言っていて、アセスメントをするかどうかが事業者の任意の判断だとは言っていないと思うだよね。言っている意味が解る?」と質問をしてきました。原告は「ふーん、そういうふうに受け取れたんですけれどもね」と感想を述べました。

 原告は、事業者である関電工が、バイオマス発電施設からの排ガス量が、条例で定める4万㎥を超える計画の下話を群馬県にしたら、群馬県が原料木材の水分が多いので、排ガス量は4万㎥に満たないと関電工に伝えたため、関電工はこの群馬県からの情報を基に、勝手にアセスメント不要と判断し、それについて群馬県は条例義務に反していると言っていないわけなので、アセスメント実施の要否の判断は関電工が行うということになると考えて、準備書面(1)の求釈明でその旨陳述しました。裁判長はその点をいまひとつよく理解していないようです。

 裁判長はさらに「(アセスメントの)対象事業にあたるかどうかは事業者が判断するんだと言っているが、アセスメントを実施するかどうかは、事業者の任意だとは言っていないと思う。対象事業に当たったら実施しなければいけないのだろう。言っている意味は分かる?
と原告に訊いたので、原告として「分かります。(対象事業としてアセスメントの)そこまで(の段階まで)行っていない、その前段だけしか行っていない、ということですね?」という理解であることを述べました。

 裁判長は「対象事業に当たっているかどうかは事業者が判断するが、当たるんだったらやらなければいけない、そういうことを言っているだけで、やるかやらないかを事業者が勝手に決めていい、ということを言っているわけではないと思う。ちょっとそこは首を傾げるような質問なのだ。そこは考えてみてほしい」とさらに表現を換えて原告に説明しました。

 続いて裁判長は原告から提出した証拠について、「甲6号証、7号証。いずれも写しだね?」と原告に尋ねたので、「そうです。いずれも公表されている条例と要綱です」と原告は答えました。

 裁判長は、さらに求釈明について、「それで原告がおそらく言いたいことは、対象事業か、対象事業ではないか、ということを自らの判断で決めると。そうすると、仮に対象事業であるにもかかわらず、対象事業ではないと事業者が判断したらどうなってしまうのか、と、そういうことを聞きたいのではないかと思う」と持論を展開しました。

 原告は「・・・」と返事を考えていると、裁判長は「分かるかな。そうすると、手続がずっと進んで行って、どこかの段階で事業者の対象事業か否かの判断があっていたのか、間違っているかどうかというのを被告の方で判断する時期、チェックする時期というのはないのかな?要するに、この段階では、対象事業についての判断する文書、判断に関係する文書というのがあるのではなかろうか?と、そういう(原告の)疑問ではないかと思う。言っている意味、分かる?」とさらに持論を開陳し原告に質問しました。

 原告は「あのう、行政は文書主義なので、必ず判断については文書で存在しなければないんですよね。なぜなら私はオンブズマンを20数年やってきておりますが、これまでの経験でそう言える」と答えました。裁判長はそれを遮るように「それはそうだが、どの時点かの問題がひとつあると思う。要するに、そもそも対象事業かどうかを決める段階で、そういう文書が作られるのかどうか、それとも、ずっと手続が進んで最後の段階まで行った時に、これは許認可の問題となるのかどうか、(アセスメント)対象の問題なのか、ちょっとそこは私は分からないが、その最後の結論のところで初めてつくられる文書なのか、それによってどの段階で(文書が)あるのかないのかどうかに関係してくるのだと思う。そのへんのところを相手(被告?)に関して書いてもらう必要があるのだと思う」と詳細に説明してくれました。

 原告は「すいません、裁判長!事業者がこのアセスに則ってこういう事業内容ですよという、今それは口頭しかない、ということで不存在になっているわけですけれど、そんなことは絶対有り得ないんですよね」と私は思っています。さきほどの文書主義からしてもですね」と意見を述べました。

 それを聞いた裁判長は「だから最終的に、開発許可かなにかの文書のなかに、それが入っているかもしれない」と例を挙げて説明しました。そこで原告は「えー、だから例えば、実際に焼却施設ができたとか、そういう時にボイラーの設計が固まって、排ガスが実際にこうなったからということがあとで出て来て、その時に判断するということなんですかね、それは分からないですよ」と意見を述べると、裁判長はすかさず「それは、裁判所は全然分からない」と述べました。

 原告は「だからそれは、彼ら(被告に)きちんと答えてもらわないといけないと思います」と被告席を指さしながら言いました。

 一方、裁判長は「要するに、実施するかどうか、任意かどうかというものではなくて、最終的に当たるかどうかの判断だというふうに被告は言っている。そうすると、(原告の見解と)ちょっと食い違っている。逆に、被告の主張を前提としたとしても、どこかでそれを判断する時期というのがあるのではないかと、いうことを原告は訊きたいのではないかと思う」と、被告の見解を随分斟酌した表現で原告に説明しました。原告は「なるほど。なるほど」と相槌を打たずにはいられませんでした。

 裁判長は「だから、原告のほうも、もう一回、それをちょっと食い違っていないかどうかを考えてもらいたいし、被告の方も、そういう趣旨でどこかで判断するという時期がないのかどうか、それをちょっと返答してみてもらいたい、というふうに思っている。そういう意味で、一緒に対象、および求釈明に対する釈明をお願いしたいと思うがよろしいかな?」と原告・被告に双方に向けて言いました。双方は「はい」と答えました。

 裁判長は、原告適格について随分気にしてくれているようで、「それから原告のほうに聞きたいが、前回、ちょっと言っていたが、(市民オンブズマン群馬としての)代表者の関係はどうなったのか?」と原告に質問してきたので、原告は「すいません。1月の第3土曜日に総会を開きまして、私が継続して、続投ということで引き続き市民オンブズマン群馬の代表者として認められたので、その議事録をこのあと、一両日中に提出するようにします」と答えました。

 裁判長が「ぜひお願したい」というので、「はい」と答えました。

 裁判長は最後に、「今、裁判所が言っているような観点からね、なにか文書があるんではないかと、そうさせるような事情があるかどうか、それを検討してもらいたい」と双方に言いました。双方は「わかりました」と答えました。

 そして、次回期日について、裁判長は「ではどのくらいの期間をみればよろしいか?」というので、原告からは「3週間でお願いします」と伝えました。「被告の方は?」と裁判長に促された被告は、「1か月程度で・・・」と答えました。

 裁判長は「1ヶ月か・・・4月の14日までには書面が出るということでよろしいかな?」と言うので、「ええ、原告は大丈夫です」と答えましたが、被告からは即答がありませんでした。

 裁判長は「4月26日午前10時30分でいかがか?」と提案してきたので、原告は「差支えありません」と即答しました。

 裁判長は「差支えない。ええと、異動の関係で、もしかしたら裁判官の構成が変わるかもしれないが、まだ初期の段階なので、弁論の方針については通常通りのやり方でやりたいと思う」と言うと、なぜか被告の訴訟代理人は「はい」と答えました。

 裁判長が「4月の26日、午前10時30分、弁論期日にする」と宣言すると、被告の訴訟代理人で有る弁護士が「いや、差支えます」と言い出しました。

 「差支える? なんで?」と原告は驚いて言葉を発してしまいました。裁判長もキョトンとした風情で「えっ、差支えるのか・・・それじゃあ、5月の10日午前10時30分は?」と言い出しました。

 これを聞いた原告は困ったことになったと思い、「うーん、あのう(その時期は)日本にいない可能性があるので、南米に行かねばならないのです、1ヶ月ほど。代表でなく他の者でもよろしいですね? オンブズマンとしてのですね? 委任状でよろしいか?」と裁判長に尋ねるしかありませんでした。

 裁判長は「代表者でないと困っちゃうな。あとは弁護士さんでないと・・・」と答えました。そして「代理を頼むなら、弁護士さんだ」と付け加えました。原告は「本当ですか・・・まあいいや、後で考えます」と述べるしかありませんでした。

 裁判長は怪訝そうに「うん?」と原告に質問してきたので、原告は「いや、なんとかしますよ。だから、うん、外国への出張予定を調整するとか、それしかないですね」とつぶやきました。

 原告の都合にはお構いなしの風情で、裁判長は「それでは5月10日午前10時30分でよろしいかな?」と宣言しました。原告は「どうするかなあ、まあいいや」と思いましたが、裁判長は「はい、じゃあ、準備のほうをよろしく」と告げて、次の裁判に備え一旦法廷を退出していきました。
**********

※注:法廷内のやり取りは、当会会員らによるメモや記憶に基づき再現してみましたが、あやふやな点も多々ありますので、ご了承ください。あくまでも参考情報として認識してください。

■以上のとおり環境アセス不要の根拠文書不存在処分の取消し訴訟の第2回口頭弁論は、約9分余りで終わりました。

 もう一度、おさらいをしてみたいと思います。

**********
【原告】関電工のバイオマス発電事業を条例で科せられたアセスメント対象から除外すると被告群馬県が判断した根拠と経緯を示す情報を公開せよ
【被告】環境影響評価を行うべき事業に該当するか否か、事業者自らが判断する制度であるため、資料は存在しない。

<論理の矛盾>
①条例の条文では事業者判断に委ねるという解釈はできなし、国の環境影響評価法や被告群馬県の環境影響評価条例の精神や条例を無視した暴言である。
②条例は、事業者がアセスメントの実施の有無を判断できるものではなく、あくまで、実施しなければならない対象事業かどうかを別表により判断できるだけであり、被告群馬県の言う通りだとすると、関電工は、条例違反、環境影響評価法の精神に違反している。
③被告群馬県の言う通りだとすれば、何も、関電工に対する排ガス量制限値における2割の「おまけ」は必要なかった。


【群馬県環境影響評価条例】 ⇒ 被告群馬県が、環境破壊の恐れのある事業を無審査扱いとして、この条例に基づく責務を放棄することで、環境破壊を手助けする結果を招きはしないか?
(定義)
第2条 2 この条例において「第1種事業」とは、別表に掲げる事業であって、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるものとして規則で定めるものをいう。
(県等の責務)
第3条 県、事業者及び県民は、群馬県環境基本条例(平成8年群馬県条例第36号)第3条の基本理念にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この条例の規定による環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われ、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は低減することその他の環境の保全についての配慮が適正になされるようにそれぞれの立場で努めなければならない。
(第1種事業方法書の作成)
第5条 事業者は、第1種事業に係る環境影響評価を行う方法について、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した環境影響評価方法書を作成しなければならない。

**********

 被告群馬県が環境影響評価条例の精神の責務を歪めて、東電グループ会社の関電工に特別な判断を下したとなると条例の意義がないがしろにされたことになります。なぜ群馬県は関電工の事業にアセスメント実施を問わなかったのか?・・・この基本的な疑問について、当会は徹底的に被告群馬県に求釈明をしていきたいと考えます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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