市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…トーセンの前橋バイオマス燃料㈱が発電用木材集荷整備をなぜか中止!?

2017-03-10 00:23:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■東電グループの関電工が主体となり赤城山南麓で進めている前橋バイオマス発電施設建設事業は、東電福島原発事故により飛来した放射能に広範囲に汚染された群馬県の森林を伐採して一か所に集積し、毎年8万トンもの汚染木材を20年間にわたり、プレスでセシウムを含む水分をある程度絞った後、燃焼させることにより、地下水や焼却灰、そして排ガスを介して群馬県土に放射性物質を拡散させるものです。当会は建設地に隣接する地区の住民のかたがたで構成する赤城山の自然と環境を守る会(以下「守る会」)の活動を支援しています。そうした最中、守る会のメンバーのかたが2月20日付けで「平成28年度主要事業で予算立てした、前橋バイオマス燃料の低質材集荷システム構築(新規)の執行状況及び届出書類一式」を群馬県に公文書開示請求を行ったところ、3月6日付で公文書不存在決定通知が、群馬県環境森林部林業振興課県産木材振興係(TEL027-226-3241)から到来しました。


 この書類の中で「公文書が存在しない理由」として、「前橋バイオマス燃料㈱による低質材集荷施設整備については、事業中止となり、当該請求にかかる公文書は取得していないため」と記されていました。

 昨年7月、大手紙がこのトーセンの計画を報じました。その時の記事を見てみましょう。

**********日本経済新聞 電子版 2016/7/28 7:00
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB27H32_X20C16A7L60000/
群馬で木質バイオマス発電燃料収集 トーセン、関電工向け
 製材大手のトーセン(栃木県矢板市)は、群馬県内で木質バイオマス発電の燃料となる木材の収集を始める。燃料は関電工が前橋市で2017年秋に稼働を予定する発電所向けに供給。年間8万トンの木材が必要で、集積基地の一つを17年初めにみなかみ町に設ける。面積で県内の約3分の2を占める豊富な森林資源を有効活用し、山間地の活性化にもつなげる。
 関電工が前橋市郊外の広さ約4ヘクタールの敷地に建設予定の木質バイオマス発電所の発電規模は6700キロワット。発電所の運転効率を高めるには木材の安定供給がカギで、トーセンは主に群馬県内で確保を急ぐ。藤岡市や渋川市にグループや提携先の製材工場があり、製材過程で生じた端材や木くずを活用。さらに供給を増やすため、山林に近接した場所に木材の集積基地を新設する
 みなかみ町で約6千平方メートルの土地を賃借して集積基地を年末までに完成し、来年1月にも木材の受け入れを始める方向だ。約8000万円を投じ、木材を買い取る際に運搬車両ごと計量できる設備や、約600平方メートルの貯木場などを設ける。
 民間所有の山林や国有林から出る間伐材、建築用材には品質的に向かない木材、製材業で出た端材を持ち込んでもらい、買い取って貯木、脱水が進んだ後にチップに加工し、発電所へと送る。林業家や製材業者は産地から前橋の発電所に直接持ち込むよりも輸送距離が短くコストが少なくて済む。月最大約1500トンの供給を見込む
 こうした集積基地は木材利用が盛んなオーストリアで「ホフ」と呼ばれ、地域住民に燃料のまき用丸太やチップを販売する拠点にもなっている。トーセンは地元・栃木県の那珂川町で手掛ける木質バイオマス発電所の近隣にホフを設け、買い取り・販売の実績がある。
 群馬の森林面積は42万5000ヘクタールと関東一の規模だ。トーセンは木質バイオマス発電や集積基地を核に群馬の豊富な木材を無駄なく活用し、森林の整備保全や山間部の活性化にもつなげる考え
 トーセンの15年度のグループ売上高は単純合算で約90億円。栃木や山形県鶴岡市で運営する木質バイオマス発電所が本格稼働したことによる売電収入などの増加で、前年度に比べ1割強伸びた。
 前橋市の木質バイオマス発電所を巡っては環境や景観への影響、福島の原子力発電所事故による燃料木材の汚染懸念などから住民による反対運動が起きている。関電工などは集じん装置を施すといった環境対策を取るとして理解を求めている。
**********

■守る会によると、トーセンが約8000万円を投じるはずの、この低質材集荷システム構築事業に対する群馬県の補助金支出概要は次のとおりです。

*****県予算*****
【県予算】
 (新規)
低質材集荷システム構築(林業振興課)
45,000千円
・バイオマス発電用のチップ製造施設へ供綸する低質材を、効率良く輸送・集荷するための集荷施設整備に対して補助。
集荷施設2か所
事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
補助率:国1/2
補助額:45,000千円
**********

 この低質材集荷システム構築事業のことは、平成28年2月4日付:とりまとめ担当課 林政課・林業振興課の「政策11ぐんまの産業の強みを活かす戦略」関連事業として、「『林業県ぐんま』の実現を加速」と銘打って予算額 12,096,120千円を掲げ、その中で、「加工流通体制の強化と県産材の需要拡大を図ります」と称して、
  ●加工流通体制の整備に支援します。
  ○林業県ぐんま確立対策(高品質化) 1,700千円
  ○低質材集荷システム構築 45,000千円
  ○木質バイオマス利用施設等の整備 432,412千円 ほか
などと謳われていました。
※PDF ⇒ 2016020411qnyau.pdf

 実際には、関電工の前橋バイオマス発電計画のための支援事業だったわけです。

■この事業の補助理と補助額から推算すると、約9000万円の事業となる勘定でしたが、冒頭の公文書不存在決定通知書の不存在理由からすれば、「前橋バイオマス燃料㈱による低質材集荷施設整備については、事業中止となった」のだそうです。

 日経の記事には、「みなかみ町で約6千平方メートルの土地を賃借して集積基地を年末までに完成し、来年1月にも木材の受け入れを始める方向だ。約8000万円を投じ、木材を買い取る際に運搬車両ごと計量できる設備や、約600平方メートルの貯木場などを設ける。
 民間所有の山林や国有林から出る間伐材、建築用材には品質的に向かない木材、製材業で出た端材を持ち込んでもらい、買い取って貯木、脱水が進んだ後にチップに加工し、発電所へと送る。林業家や製材業者は産地から前橋の発電所に直接持ち込むよりも輸送距離が短くコストが少なくて済む。月最大約1500トンの供給を見込む」とあります。

 ということは、トーセンは別名「ホフ」と呼ばれる木材集積基地構想を捨てるとともに、「群馬の豊富な木材を無駄なく活用し、森林の整備保全や山間部の活性化にもつなげる考え」と放棄したことになります。

■この不可思議な出来事の背景や理由について、さっそく守る会のメンバーが群馬県の担当部署に電話で確認したところ、「当初予定は県内に二箇所4500万円の予算を確保したが、予定していた(トーセン)事業者が、その事業(貯木場建設)を中止した」と言うだけで、県担当者は、中止の理由は教えませんでした。

 これでは、公僕としての務めが果たせていません。守る会ではさっそく新たに情報公開請求を公僕に行うことにしています。

■これに関連して気になることがあります。それは、3月15日に第1回口頭弁論期日が開かれる平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件で、被告の群馬県が3月3日付の答弁書の中で、原告の訴状に対して次のとおり反論の答弁をしていることです。

**********
【原告の訴状】
(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること」について、
 事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、今だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の生活環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。
 これまで関係機関に再三火事の対策を訴えてきたが、ついに、群馬県において、平成28年12月14日の午前6時に近隣住民が出火していることを発見し、119番通報し、事務所と作業棟を全焼させてしまった(甲第35号証)。


【被告の答弁】
 株式会社卜-センが事業主体であることは否認し,その余は認否の必要性を認めない

**********

■もしかしたら、関電工は、当初はトーセンのバイオマス発電計画に後乗りした形だったのに、その後関電工が東電の意向を受けて、この事業を遮二無二押し通したために、トーセンの存在をさほど重視しなくなったのかもしれません。

 いずれにしても、最も重要な木質資源の集荷という分野で、集荷システムが不要になったということになると、やはり関電工のバイオマス発電施設に直接産地から木質燃料を持ち込むことになり、輸送コストを度外視した事業ということになります。となれば、やはり東電による原発事故で流れ出た放射能に汚染された木材を燃やすことが主眼のプロジェクトの可能性がますます高まってきます。

それにしても群馬県は、なぜこんなにも関電工の事業に対して補助金を惜しげもなくばらまくのでしょうか。それらは我々県民が納めた血税を原資としていることを、群馬県の公僕の諸君は、一時たりとも忘れてはならないのです。

■なお、当会が守る会とともに群馬県を相手取って係争中の事件番号・事件名:平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件については、本日3月10日(金)午前10時に前橋地裁第21号法廷で第4回口頭弁論が開かれます。

 今回の弁論では、我々原告らの出訴期間について、被告群馬県が裁判所に提出した調査嘱託申立の結果が判明することになっています。すでに、原告らの提訴は期限徒過にはなっていないことが地裁書記官から通知されています。しかし、未だに被告からは調査嘱託の結果が書証として裁判所に提出されていないらしく、原告の我々にも当該文書の送達がありません。

 本日の裁判でどのような事態が起こるのか、それとも新たなステージに入るのか、予断は許されませんが、群馬県民の皆様がひとりでも多く裁判所に傍聴に来ていただけると幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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