■東吾妻町の農業地帯における区画整理事業で農道にサンパイである鉱滓=有毒スラグ入りの“再生砕石”が敷砂利として多量に不法投棄された事件で、当会は有害物質を原因者に撤去させず公金で舗装による蓋をしてしまった群馬県吾妻農業事務所長に、無駄な舗装工事費を支払わせるべく、群馬県を相手取り住民訴訟を係争中です。前回1月20日に行われた第8回口頭弁論期日に基づき、次回4月14日(金)の第9回口頭弁論に向けて訴訟資料を準備しているところですが、3月7日付で被告から第9準備書面が送られてきました。
↑おなじみの「石原・関・猿谷法律事務所」の黄色い封筒。石原弁護士は副団長(団長代行)として、関弁護士は事務局長として原子力損害賠償群馬弁護団に関与し、福島第一原発事故の放射能被害から群馬県に避難してきた住民らが国と東電を相手取り地裁に提訴した事件を支援しているが、他方では行政側に立って、今回の大同スラグ問題や関電工バイオマス発電問題などで住民側の訴えをはねつけている。これが弁護士の実態であり、行政への配慮は常に潜在化していることに留意しなければならない。↑
前回の第8回口頭弁論の様子は当会の次のブログを参照ください。
〇2017年1月29日:大同スラグ訴訟・・・第8回口頭弁論が前橋地裁で開廷。風向きに変化の兆しは前橋地検の不起訴処分のせい?↓
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前回期日では、裁判長が次の訴訟指揮を被告・原告双方にしました。
1 被告に対して、平成29年3月31日までに、被告準備書面(平成26年12月27日付け)の第1の2(2)(4頁)の裁判所からの求釈明事項に対する回答に関し、以下の点について補充されたい。
(1) 風評被害を避けるために工事をすれば環境上周辺住民の生活の安全が図られることになるのか。
(2) 土壌汚染対策法により行う舗装工事と、本件舗装工事が同等あるいは同一の工事内容なのか。
2 原告らに対し、
(1) 甲53及び54の証拠説明書を提出されたい。
(2) 平成29年3月31日までに、被告準備書面(平成28年12月27日付け)の第2(4頁)に対して認否反論されたい。
(3) 平成29年3月31日までに、原告らの鑑定申立書(平成28年11月30日付け)について、被告の鑑定申立に対する意見書(平成29年1月13日付け)を踏まえ、以下の2点を検討の上、「鑑定申立書の補充書」と題する書面及び鑑定の必要性を裏付ける資料を提出されたい。
ア 裁判所における鑑定とはどのようなことを行うものか。
イ 化学的知見を専門家に相談し、原告らが希望する鑑定結果を得るために、どのような申立てをし、どのような事項を鑑定すればよいか。
■今回、被告は上記1の裁判所からの求釈明事項に対する回答を送ってきたことになります。さっそく内容を見てみましょう。
*****送付書兼領収書*****PDF ⇒ 20170308t.pdf
前橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 清宮書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
原 告 鈴木 庸 殿
平成29年3月7日
前橋市大手町3丁目4番16号
被告訴訟代理人
石原・関・猿谷法律事務所
弁護士 関 夕 三 郎
電話027-235-2040
送 付 書
事件の表示 : 前橋地方裁判所
平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
当 事 者 : 原 告: 小川賢外1名
被 告: 群 馬 県
次回期日 : 平成29年4月14日午前10時00分
下記書類を送付致します。
1 第9準備書面 1通(4枚)
2 書証乙第24号証 1通(6枚)
3 証拠説明書 1通(1枚)
本書含み 12枚
以上
---------------切らずにこのままでお送り下さい---------------
受 領 書
上記書類、本日受領致しました。
平成29年3月8日
原告 小 川 賢
前橋地方裁判所(清宮書記官)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所 御中 :FAX 027-230-9622
*****被告第9準備書面*****PDF ⇒ 201703089.pdf
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
第9準備書面
平成29年3月7日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
同 指定代理人 福 島 計 之
同 指定代理人 松 井 秀 夫
同 指定代理人 阿 野 光 志
同 指定代理人 篠 原 孝 幸
同 指定代理人 油 井 祐 紀
同 指定代理人 安 藤 敏
<P2>
平成29年1月20日の第8回口頭弁論調書の別紙1項の御庁からの求釈明につ
いて,下記のとおり回答する。
記
第1 求釈明(1)
風評被害を避けるために工事をすれば環境上周辺住民の生活の安全が図られることになるのか。
(回 答)
1 被告が本件農道舗装工事を施工した5か所の農道(乙19に①ないし⑤の番号を付しか5路線)は,舗装工事施工前は,鉄鋼スラブが含まれたブレンド骨材が露出した状態であった。
そして,本件農道舗装工事の目的は,本件圃場整備事業の目的,すなわち,農業生産性の向上による農業振興と地域住民等の便益の増進であったが,これと共に,未舗装のままにしておくことによる地域住民等の不安や農作物の風評被害に波及することを未然に防ぐ目的も併有していた(被告の平成28年3月15日付け第3準備書面6ないし7頁)。
2 上記で防止を図った風評被害等は,具体的には,大同特殊鋼に由来する鉄鋼スラブが含まれているブレンド骨材が露出した状態になっているという噂により,萩生川西地区の農作物のイメージが傷付き,売上に悪影響が生ずるのではないかというものであった。
上記の懸念を払拭し,風評被害等を避けるためには,ブレンド骨材を被覆すれば必要かつ十分であったことから,時期を早めて本件農道舗装工事を施工したものである。
3 本件農道に敷設されたブレンド骨材は環境基準(なお,土壌汚染対策法所定の基準も同一)を超えていないので,もともと周辺住民の生活の安全が害されるものではないが,本件農道舗装工事により,周辺住民の生活の安全はより十全に図られることになったものといえ,また,仮に下層路盤材から基準値を超
<P3>
えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても,環境上周辺住民の生活の安全は図られたものといえる。
なぜなら,一般に土壌が有害物質により汚染された場合,これが人の健康に影響を及ぼすリスクとしては,①土壌に含まれる有害物質が地下水に溶出し,その有害物質を含んだ地下水を経口摂取するリスクと,②有害物質を含む土壌を直接的に経口で摂取し,又は,その土壌が皮膚に接触することで皮膚から有害物質を摂取するリスクがあるところ(被告の平成28年12月27日付け第8準備書面4ないし5頁参照),本件農道舗装工事によってブレンド骨材を被覆することにより,上記②のリスクを除去することができたからである。
ただし,本件農道舗装工事では,上記①のリスクを除去することはできないから,地下水の汚染に関しては別途の考慮が必要ではあるが,被告の平成28年12月27日付け第8準備書面・7頁で述べたとおり,これまで,大同特殊鋼株式会社から排出された鉄鋼スラブが混合されているブレンド骨材が使用された群馬県内の場所に関し,地下水汚染が確認された地点はない。
第2 求釈明(2)
土壌汚染対策法により行う舗装工事と,本件舗装工事が同等あるいは同一の工事内容なのか。
(回 答)
1 被告の平成28年12月27日付け第8準備書面7頁で述べたとおり,仮に本件下層路盤材が直接摂取のリスクの点,すなわち,土壌含有量の点て基準に適合していなかった場合は,土壌汚染対策法により,盛土や舗装が求められる(土壌汚染対策法施行規則別表5・9項)。
そして,ここにいう「舗装」の仕様については,同規則別表6・8項により,「イ 当該土地のうち基準不適合土壌のある範囲を,厚さが10センチメートル以上のコンクリート若しくは厚さが3センチメートル以上のアスファルト又はこれと同等以上の耐久性及び遮断の効力を有するもの・・・・により覆うこと。」,「ロ イにより設けられた覆いの損壊を防止するための措置を講ずるこ
<P4>
と。」が必要とされる。
上記の仕様の更に具体的な説明は,乙22号証として一部抜粋部分を提出済みの「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」の舗装の項(乙24)で明らかにされている。そこでは,アスファルト舗装については,最低3センチメートルの肩厚とされ(乙24・403頁),更にその下の路盤については,歩道程度の用途であれば最低10センチメートルの肩厚とされる(乙24・405頁)。
2 他方,本件農道舗装工事の仕様は,アスファルト舗装厚は3センチメートルであり,その下の下層路盤は,既設の下層路盤材(鉄鋼スラブを含んだもの)5センチメートル厚の上に補足材として下層路盤材(鉄鋼スラブを含まないもの)を10センチメートル厚で敷設しており,合算して15センチメートル厚となっている。
一般的に農道のうち支道と耕道については,アスファルト舗装厚3センチメートル,下層路盤材厚15センチメートルで設計されており,舗装の強度としてはこれで十分である。
3 したがって,本件農道舗装工事の仕様は,土壌汚染対策法及び同法施行規則により求められる舗装の仕様を充たしており,仮に本件下層路盤材が土壌含有量の点て基準に適合していなかったとしても,本件農道舗装工事をもって土壌汚染対策法により求められる措置と同等の措置が講じられたものとみなされる。
以上
*****証拠説明書(乙24)*****PDF ⇒
2017030800i24j.pdf
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
証拠説明書(乙24)
平成29年3月7日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
●号証:乙24
〇標目:土壌対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(抜粋)
〇原本・写しの別:写し
〇作成年月日:H24.8月
〇作成者:環境省 水・大気環境局 土壌環境課
〇立証趣旨:乙22として抜粋を提出したガイドラインのうち,舗装の仕様について説明した部分。土壌汚染対策法が求めるアスファルトの厚さは,表層のアスファルトの厚さは最低3センチメートル,その下の路盤の厚さは最低10センチメートルとされている。
以 上
*****書証目録(乙24)*****PDF ⇒20170308i24j.pdf
前橋地方裁判所
平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
書 証 目 録
乙第24号証
上記正写致しました
弁護士 関 夕 三 郎
*****乙第24号証*****PDF ⇒ 2017030801i24j.pdf
2017030802i24j.pdf
<P402>
6)措置の完了の報告
性状の変更を行った基準不適合土壌のある場所について、100 m2ごとに任意の地点において深さ1mから基準不適合土壌のある深さまでの1mごとの土壌を採取し、当該土壌について特定有害物質の量を環境大臣が定める方法(規則第6条第3項第4号)により測定し、土壌溶出量基準に適合することを確認する必要がある。さらに性状の変更を行った基準不適合土壌のある範囲において、地下水流向の下流側に1以上の観測井を設け、1年に4回以上定期的に地下水を採取し、当該地下水に含まれる特定有害物質の景を環境大臣が定める方法(規則第6条第3項第4号)により測定し、地下水汚染が生じていない状態が2年間継続することにより本措置が適正に実施されたかどうかを判断する。
措置実施者は工事状況の写真、工事終了報告書とあわせ、途中の段誓で立入検査を行った場合にはその報告書も参考にし措置の完了を都道府県知事に申請する。工事記録は都道府県知事に提出するとともに、土地の所有者等も保管し、将来土地の所有者等の変更等が生じる場合にそれを承継できるようにする。
7)措置の完了後の留意事項について
措置の実施後は、措置の効果の維持として土地の所有者等において不溶化した基準不適合土壌の飛散等がないことを定期的に点検するとともに、適切な頻度で地下水の水質の測定を行い、措置の効果が維持されていることを確認する。測定の頻度については、「地下水の水質の測定」を参照するものとする。また、地下水の水質の測定の結果、地下水基準に適合せず、あるいは地下水濃度上昇傾向を示す等の現象があった場合には、速やかに都道府県知事に報告するとともに適切な地下水汚染の拡大の防止を実施する必要がある。
5.4.4 直接摂取によるリスクに係る各措置の実施
(1)舗装
舗装については、厚さ10 cm以上のコンクリート若しくは厚さ3㎝以上のアスファルト又はこれと同等以上の耐久性及び遮断の効力を有するものにより覆うこととされている。これらの厚さは十分な耐久性及び遮断の効力を得るための最低限の厚さであり、措置実施後の上部の利用用途により破損しないような十分な強度を保つよう、必要に応じて覆いの厚さを増すことや路盤材により補強することが必要である。
なお、土壌含有量某準を超える要措置区域において封じ込め措置(原位置、遮水工、遮断工)を行い、その上面を本措置と同等の効力を有するものにより覆う場合も、舗装として位置づけられることとなる(規則別表第6の8の項、通知の記の第4の1(6)④イ(チ))。
<P403>
図5.4.4-1 舗装措置(一例) 概念図
1)舗装の種類
舗装の種類を表5.4.4-1にまとめ、表5.4.4-2に各種舗装による基準不適合土壌の人ヘの暴露面からの長所・短所についてまとめる。
表5.4.4-1 舗装の種類
●舗装の種類の名称:コンクリート舗装
〇内容:堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するコンクリートにより覆うことにより基準不適合土壌の人への暴露を防止する。最低10 cmの層厚とする。
●舗装の種類の名称:アスファルト舗装
〇内容:堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するアスファルトにより覆うことにより基準不適合土壌の人への暴露を防止する。最低3cmの層厚とする。
●舗装の種類の名称:その他(ブロック舗装等)
〇内容:ブロックやタイルであってもコンクリート舗装やアスファルト舗装と同等以上の耐久性及び遮断の効力を有すれば問題なく使用することができる。
ブロック舗装は堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するコンクリートの二次製品であるインターロッキングブロック等を利用する。施行に当たっては、目地等からの雨水の流入も抑制できるように配慮する。
<P404>
表5.4.4-2 各種舗装による基準不適合土壌の人への暴露面からの長所・短所
●コンクリート舗装
〇長所:①路面が波打ったり、変形したりしない
②盤として耐力が期待できるため、接地圧が大きい集中荷重に強い
③耐用年数が良い(参考:20年以上)
④路面の耐摩耗性が大きく、ひっかきに対して強い
〇短所:①気温の影響による伸縮膨張影響を受けやすい、そのため目地を設ける必要があり、そこをはじめとする破損に注意が必要
②措置の実施後、コンクリートの養生期間として設計強度の発現までに28日程度かかる
③補修に手間がかかる
④不同沈下に追随性がなく破損することが多い
●アスファルト舗装
〇長所:①可塑性があり、不同沈下にある程度順応できる
②措置の実施後の養生期間が短く、すぐ使用ができる
③補修が容易である
〇短所:①利用の方法や維持管理の程度により異なるが寿命が比較的短い(参考:10年程度)
②接地圧の大きい静止荷重や同一地点の繰返し荷重で、へこみやわだち掘れができやすい
③油に弱く、気温の影響も受ける
④下地の裁根が不十分な場合は根の成長で破壊される
●ブロック舗装
〇長所:①不同沈下にある程度順応できる
②補修が容易である
③措置の実施後直ちに供用できる
④耐用年数が長い(参考:20年以上)
⑤路面の耐摩耗性が大きい
〇短所:①目地からの土壌の露出がないように維持する必要がある。
②措置の実施が手作業であり、措置の実施期間が長い
2) モルタル吹き付け等
当該土地の傾斜が著しいことその他の理由によりこれらを用いることが困難であると認められる場合には、モルタルその他の土壌以外のものであって、容易に取り外すことができないもの(以下「モルタル等」という。)により覆う(規則別表6の8の項の下欄のイ)。
急傾斜地、あるいは非常に細い土地(家屋と弊との間)等であって、通常の舗装等が困難な場合はモルタル等の吹き付けや、シートで傾斜面を被覆することで、舗装と同じ効果を得ることができる。ただし、モルタル吹き付け等は路盤を形成できないという前提であるため、モルタル吹き付けを行う要措置区域は上部の利用がないこと、通常は人が立ち入ることがない場所に適用する。急傾斜地等に用いられるモルタル吹付工等の種類としては表5.4.4-3に示すものが考えられる。
表5.4.4-3 吹付工等の例一覧表
●分類:構造物による法面保護工
〇工種:・モルタル吹付工
・コンクリート吹付工
〇目的・特徴:風化、浸食防止
〇選定に当たっての留意点:
・安定勾配よりも急な法面の場合に利用することが多い。
・割れ目の多い軟岩の場合に適しているが、湧水がある場合は注意を要する(基本的には実施すべきではない。)。
●分類:その他
〇工種:・合成樹脂シートを用いた被覆
〇選定に当たっての留意点:
・法面の凹凸で破損するおそれがあるので下地処理に注意を要する。
<P405>
図 5.4.4-2 モルタル吹き付け等舗装措置(一例) 概念図
3) 路盤の作成
コンクリートやアスファルトの舗装は、措置実施後の上部の利用用途に応じた外力等に耐えるため、表面を被覆したコンクリートやアスファルトとそれを支える路盤や路床等が複合構造として成り立っている。
道路等に利用される場合は、道路としてその交通量と路床の支持力により構造を別途算定し計画する必要があるが、車の走行による影響(活荷重)がほとんどない場合の舗装による被覆の目安は表5.4.4-4のとおりである。コンクリートとアスファルトの厚さは歩道程度のものとして使用した接合の最低限の厚さを例示したものであり、実際の採用に当たっては、下地の路盤、路床の耐力等を考慮して、予測される外力等に対し安全な計画・設計を行い設置する必要がある。
表5、4.4-4 舗装による被覆の厚さの目安
●舗装の種類:コンクリート舗装
〇舗装仕様:10㎝
〇路盤仕様:10㎝ (砕石、砂利、砂等)
〇一般での用途:歩道程度
●舗装の種類:アスファルト舗装
〇舗装仕様:3㎝
〇路盤仕様:10㎝ (砕石、砂利、砂等)
〇一般での用途:歩道程度
<P406>
図5.4.4-3舗装・路盤材と基準不適合土壌との関係
4)措置の実施範囲
措置の実施範囲は、基本的には当該措置の対象となる要措置区域の範囲とするが、境界面からの基準不適合士壌の露出を考慮して、舗装端部の覆い(コンクリート、アスファルト)が基準不適合土壌の存在する平面範囲より50㎝以上は余裕を持って囲むことが望ましい。また、付近に覆いと同様の構造である道路や建屋の基礎等がある場合にはできる限り接続し、土壌の露出部分を少なくすることで飛散等が生じない状況とすることが望ましい。
なお、敷地境界等が接近しており工事が両難な場所に措置を行う場合は、事前に都道府県知事とその措置実施範囲、工法について協議して実施するごとが望ましい。
5)措置に伴う工事実施時、特に留意すべき汚染拡散防止措置
汚染土壌又は特定有害物質の飛散、揮散又は流出を防止するために必要な措置を講じなければならない(規則別表第6備考)。
6)措置の完了の報告
措置実貧者は、工事状況の写真、工事終了報告書等を都道府県知事に提出し、その内容をもって措置の完了の確認を得る。
7)措置の完了後の留意事項
土壌汚染の除去以外の汚染の除去等の措置については、土壌中に特定有害物質が残ることから、実施後もその効果が適切に維持される必要がある。
このため、措置の完了後は、土地の所有者等がその効果が持続しているかどうかを定期的に点検し、措置に係る構造物の損壊のおそれがあると認められる場合には速やかに損壊を防止するために必要な措置を講ずるなど、汚染の除去等の措置の効果の維持に努めることが望ましい(通知の記の第4の1(6)④ウ)。
措置の完了後は、土地の所有者等が舗装排置を定期的に点検し、舗装の損壊があると認められる場合には、速やかに覆いの損壊(舗装のひび割れ、めくれ、陥没、下部の土の噴出等)を補修し、必要であれば損壊の防止を講ずることが望ましい。また、大雨や台風等の直前・直後、地震の直後はその都度点検することが望ましい。
<P407>
舗装措置の定期的な点揆とは、基本的に目視確認であり、基準不適合土壌が直接露出するようなひび割れや崩壊がないこと、雨水の浸入がないこと及び飛散等がないことを確認することである。また、モルタル・コンタタート吹き付けは湧水が認められた場合に損壊の可能性があることから、土地の所有者等は定期的に措置を実施した場所を点検し、覆いの損壊、特定有害物質を含む土壌粒子の飛散や流出のおそれがあると認められる場合には、速やかに必要な覆いの修復又はほかの指示措置等を講ずるごとが必要となる。
工事記録は都道府県知事に提出するとともに土地の所有者等も保管し、将来、土地の所有者等の変更等が生じる場合にそれを承継できるようにする。
(2)立入禁止
立入禁止は、当該土地のうち基準不適合土壌のある場所の周囲に、人が当該場所に立ち入ることを防止するための囲いを設ける。当該土地の区域外への基準不適合土壌又は特定有害物質の飛散等を防止するため、シートにより覆うことその他の措置を講じ、設けられた囲いの出入口(出入口がない場合にあっては、囲いの周囲のいずれかの場所)の見やすい部分に、関係者以外の立入りを禁止する旨を表示する立札その他の設備を設置する(規則別表第6の9の項)。
立入禁止は、当該土地を全く利用しない場合の一時的な措置であり、本措置が行われている間に人が立ち入ることがなく適正に管理する必要がある(通知の記の第4の1(6)④イ(リ))。
図 5.4.4-4 立入禁止(一例)概念図
1) 立入禁止で行われる工事等の種類
ア.囲い
人が立ち入らないことを目的として設置されるものであり、塀、フェンス、柵、ロープ等がある。
具体的には、塀、フェンス等物理的に人の立入りを制限することを基本とし、工場又は事業場の中にある場所で、人的に管理できる場合であれば、立入禁止区画を明確にし、進入禁止を喚起できれば柵、ロープ、有刺鉄線等でもかまわない。
表5.4.4-5に本措置の例をまとめる。
**********
■以上のとおり、健全な土壌だった農業地帯に、わざわざ有害物質を含んだスラグ=鉱滓を下層路盤材と称して不法投棄したにもかかわらず、群馬県は、当会の追及に対して当初は「ステージコンストラクションであるから施工上は問題ない」などと主張していました。
ところが大同スラグ問題で、群馬県の告発により群馬県警の捜査の結果、廃棄物処理法違反に問われた大同特殊鋼、大同エコメット、佐藤建設工業が前橋地検に送検された事件で、昨年12月22日、前橋地検は不起訴処分としたことを契機に、群馬県は「舗装で蓋をしたのは風評被害を防止するための土壌汚染対策法による対策だ」と主張し始めたのです。
自分で有毒スラグを敷砂利として撒いておきながら、今度はその上に舗装で蓋をしたのは、土壌汚染対策法による措置だと主張をあっさりと変えたわけです。なぜこれほど大同特殊鋼や大同エコメット、佐藤建設工業を庇おうとするのでしょうか。
現在マスコミを賑わせている大阪の森友学園への国有地格安払下げ問題で、地下からさまざまな生活ゴミが出てきたとして格安で払い下げをしてやったり、補助金のずさんな査定や、行政における諸手続での破格の扱いをしてやったり、などなど、通常では到底ありえないことが次々に起きていたことが発覚しつつあります。この大同スラグ事件も、根っこは同じではないのか、と私たちに連想させる不可思議な事件です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「石原・関・猿谷法律事務所」所属弁護士紹介
**********
http://ishihara.gr.jp/
●弁護士 石原 栄一
昭和31年4月、前橋市生まれ。前橋高校、東北大学法学部卒業
趣味はゴルフ、スキー、音楽鑑賞など
昭和61年4月、山岡法律事務所に「イソ弁」として入所し弁護士としてスタートしました。事務所所長の山岡正明弁護士が私のボス弁であり弁護士としての師匠にもなります。
ボスの山岡弁護士は「何事にも全力で取り組む」という姿勢でした。仕事に熱心で面倒見のいい先生でしたが、平成15年9月、多くの方に惜しまれながら他界しました。
山岡事務所で勤務するなかで、民事介入暴力(いわゆる「民暴」)という事件に出遭いました。民暴事件とは「暴力団員等からの不当な要求により損害を受けた被害者を救済する」という仕事です。民暴事件は、山岡弁護士が精魂を傾けて取り組んできた仕事のひとつでしたが、以来、私の弁護士としてのライフワークのひとつにもなりました。
現在、民暴事件のみならず様々な事件や相談に関与していますが、弁護士登録したときの初心を忘れず仕事に取り組んでいきたいと考えております。
●弁護士 関 夕三郎
昭和46年、新潟県生まれ。中央大学大学院法学研究科を卒業。
平成12年4月に検事任官。平成16年4月に弁護士登録。 趣味はゴルフ。
私は、法律家としての人生を検事としてスタートさせ、札幌地検、大阪地検などに勤務しました。検事時代に身に付けた事件に対する取り組み方、証拠の見方が、今の私の基礎になっています 。
依頼者の声に誠実に耳を傾けることを常に心掛けています。それによって、紛争の解決を目指すのはもちろんですが、依頼者の悩みをいくらかでも和らげることに繋げたいと思っています。また、依頼者の話を聞きながら、想像力を駆使し、依頼者が忘れていた記憶を換起したり、思わぬ証拠に繋がる糸口を見つけたりすることは、法曹に関わる者にとっての醍醐味であるとも思っています。
●弁護士 猿谷 直樹
昭和50年高崎市生まれ。高崎高校卒。東京大学法学部卒。
平成13年弁護士登録。
趣味はゴルフ。
●弁護士 笠本 秀一
昭和57年,埼玉県本庄市生まれ。慶應義塾大学理工学部,法政大学法科大学院卒。
平成20年群馬弁護士会に弁護士登録。公害・環境対策委員会,消費者問題対策委員会,法教育委員会等に所属。 趣味はラーメン店巡り。
私は元々環境問題に関心があり,大学時代は理工学部で環境問題を研究していました。
しかし,環境問題に携わるには,法律の知識も必要なのだと実感し,法律の世界に飛び込みました。
実際に法律の世界に飛び込んでみると,交通事故や建築紛争,知的財産権訴訟等,自然科学の知識が必要な業務は意外に多いです。 そうでない業務であっても,理工学部で学んだ論理的思考が非常に役に立っています。
皆様の悩みに寄り添って,最善の解決を図っていく。そのような弁護士でありたいと思っております。
よろしくお願いします。
●弁護士 織田 直樹
昭和61年、前橋市生まれ。前橋高校,中央大学法学部卒業,慶應義塾大学法科大学院修了。
趣味はスキーなど。
●弁護士 舩戸 いずみ
ただいま執筆中です。
●弁護士 徳島 里絵
ただいま執筆中です。
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↑おなじみの「石原・関・猿谷法律事務所」の黄色い封筒。石原弁護士は副団長(団長代行)として、関弁護士は事務局長として原子力損害賠償群馬弁護団に関与し、福島第一原発事故の放射能被害から群馬県に避難してきた住民らが国と東電を相手取り地裁に提訴した事件を支援しているが、他方では行政側に立って、今回の大同スラグ問題や関電工バイオマス発電問題などで住民側の訴えをはねつけている。これが弁護士の実態であり、行政への配慮は常に潜在化していることに留意しなければならない。↑
前回の第8回口頭弁論の様子は当会の次のブログを参照ください。
〇2017年1月29日:大同スラグ訴訟・・・第8回口頭弁論が前橋地裁で開廷。風向きに変化の兆しは前橋地検の不起訴処分のせい?↓
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前回期日では、裁判長が次の訴訟指揮を被告・原告双方にしました。
1 被告に対して、平成29年3月31日までに、被告準備書面(平成26年12月27日付け)の第1の2(2)(4頁)の裁判所からの求釈明事項に対する回答に関し、以下の点について補充されたい。
(1) 風評被害を避けるために工事をすれば環境上周辺住民の生活の安全が図られることになるのか。
(2) 土壌汚染対策法により行う舗装工事と、本件舗装工事が同等あるいは同一の工事内容なのか。
2 原告らに対し、
(1) 甲53及び54の証拠説明書を提出されたい。
(2) 平成29年3月31日までに、被告準備書面(平成28年12月27日付け)の第2(4頁)に対して認否反論されたい。
(3) 平成29年3月31日までに、原告らの鑑定申立書(平成28年11月30日付け)について、被告の鑑定申立に対する意見書(平成29年1月13日付け)を踏まえ、以下の2点を検討の上、「鑑定申立書の補充書」と題する書面及び鑑定の必要性を裏付ける資料を提出されたい。
ア 裁判所における鑑定とはどのようなことを行うものか。
イ 化学的知見を専門家に相談し、原告らが希望する鑑定結果を得るために、どのような申立てをし、どのような事項を鑑定すればよいか。
■今回、被告は上記1の裁判所からの求釈明事項に対する回答を送ってきたことになります。さっそく内容を見てみましょう。
*****送付書兼領収書*****PDF ⇒ 20170308t.pdf
前橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 清宮書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
原 告 鈴木 庸 殿
平成29年3月7日
前橋市大手町3丁目4番16号
被告訴訟代理人
石原・関・猿谷法律事務所
弁護士 関 夕 三 郎
電話027-235-2040
送 付 書
事件の表示 : 前橋地方裁判所
平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
当 事 者 : 原 告: 小川賢外1名
被 告: 群 馬 県
次回期日 : 平成29年4月14日午前10時00分
下記書類を送付致します。
1 第9準備書面 1通(4枚)
2 書証乙第24号証 1通(6枚)
3 証拠説明書 1通(1枚)
本書含み 12枚
以上
---------------切らずにこのままでお送り下さい---------------
受 領 書
上記書類、本日受領致しました。
平成29年3月8日
原告 小 川 賢
前橋地方裁判所(清宮書記官)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所 御中 :FAX 027-230-9622
*****被告第9準備書面*****PDF ⇒ 201703089.pdf
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
第9準備書面
平成29年3月7日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
同 指定代理人 福 島 計 之
同 指定代理人 松 井 秀 夫
同 指定代理人 阿 野 光 志
同 指定代理人 篠 原 孝 幸
同 指定代理人 油 井 祐 紀
同 指定代理人 安 藤 敏
<P2>
平成29年1月20日の第8回口頭弁論調書の別紙1項の御庁からの求釈明につ
いて,下記のとおり回答する。
記
第1 求釈明(1)
風評被害を避けるために工事をすれば環境上周辺住民の生活の安全が図られることになるのか。
(回 答)
1 被告が本件農道舗装工事を施工した5か所の農道(乙19に①ないし⑤の番号を付しか5路線)は,舗装工事施工前は,鉄鋼スラブが含まれたブレンド骨材が露出した状態であった。
そして,本件農道舗装工事の目的は,本件圃場整備事業の目的,すなわち,農業生産性の向上による農業振興と地域住民等の便益の増進であったが,これと共に,未舗装のままにしておくことによる地域住民等の不安や農作物の風評被害に波及することを未然に防ぐ目的も併有していた(被告の平成28年3月15日付け第3準備書面6ないし7頁)。
2 上記で防止を図った風評被害等は,具体的には,大同特殊鋼に由来する鉄鋼スラブが含まれているブレンド骨材が露出した状態になっているという噂により,萩生川西地区の農作物のイメージが傷付き,売上に悪影響が生ずるのではないかというものであった。
上記の懸念を払拭し,風評被害等を避けるためには,ブレンド骨材を被覆すれば必要かつ十分であったことから,時期を早めて本件農道舗装工事を施工したものである。
3 本件農道に敷設されたブレンド骨材は環境基準(なお,土壌汚染対策法所定の基準も同一)を超えていないので,もともと周辺住民の生活の安全が害されるものではないが,本件農道舗装工事により,周辺住民の生活の安全はより十全に図られることになったものといえ,また,仮に下層路盤材から基準値を超
<P3>
えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても,環境上周辺住民の生活の安全は図られたものといえる。
なぜなら,一般に土壌が有害物質により汚染された場合,これが人の健康に影響を及ぼすリスクとしては,①土壌に含まれる有害物質が地下水に溶出し,その有害物質を含んだ地下水を経口摂取するリスクと,②有害物質を含む土壌を直接的に経口で摂取し,又は,その土壌が皮膚に接触することで皮膚から有害物質を摂取するリスクがあるところ(被告の平成28年12月27日付け第8準備書面4ないし5頁参照),本件農道舗装工事によってブレンド骨材を被覆することにより,上記②のリスクを除去することができたからである。
ただし,本件農道舗装工事では,上記①のリスクを除去することはできないから,地下水の汚染に関しては別途の考慮が必要ではあるが,被告の平成28年12月27日付け第8準備書面・7頁で述べたとおり,これまで,大同特殊鋼株式会社から排出された鉄鋼スラブが混合されているブレンド骨材が使用された群馬県内の場所に関し,地下水汚染が確認された地点はない。
第2 求釈明(2)
土壌汚染対策法により行う舗装工事と,本件舗装工事が同等あるいは同一の工事内容なのか。
(回 答)
1 被告の平成28年12月27日付け第8準備書面7頁で述べたとおり,仮に本件下層路盤材が直接摂取のリスクの点,すなわち,土壌含有量の点て基準に適合していなかった場合は,土壌汚染対策法により,盛土や舗装が求められる(土壌汚染対策法施行規則別表5・9項)。
そして,ここにいう「舗装」の仕様については,同規則別表6・8項により,「イ 当該土地のうち基準不適合土壌のある範囲を,厚さが10センチメートル以上のコンクリート若しくは厚さが3センチメートル以上のアスファルト又はこれと同等以上の耐久性及び遮断の効力を有するもの・・・・により覆うこと。」,「ロ イにより設けられた覆いの損壊を防止するための措置を講ずるこ
<P4>
と。」が必要とされる。
上記の仕様の更に具体的な説明は,乙22号証として一部抜粋部分を提出済みの「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」の舗装の項(乙24)で明らかにされている。そこでは,アスファルト舗装については,最低3センチメートルの肩厚とされ(乙24・403頁),更にその下の路盤については,歩道程度の用途であれば最低10センチメートルの肩厚とされる(乙24・405頁)。
2 他方,本件農道舗装工事の仕様は,アスファルト舗装厚は3センチメートルであり,その下の下層路盤は,既設の下層路盤材(鉄鋼スラブを含んだもの)5センチメートル厚の上に補足材として下層路盤材(鉄鋼スラブを含まないもの)を10センチメートル厚で敷設しており,合算して15センチメートル厚となっている。
一般的に農道のうち支道と耕道については,アスファルト舗装厚3センチメートル,下層路盤材厚15センチメートルで設計されており,舗装の強度としてはこれで十分である。
3 したがって,本件農道舗装工事の仕様は,土壌汚染対策法及び同法施行規則により求められる舗装の仕様を充たしており,仮に本件下層路盤材が土壌含有量の点て基準に適合していなかったとしても,本件農道舗装工事をもって土壌汚染対策法により求められる措置と同等の措置が講じられたものとみなされる。
以上
*****証拠説明書(乙24)*****PDF ⇒
2017030800i24j.pdf
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
証拠説明書(乙24)
平成29年3月7日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
●号証:乙24
〇標目:土壌対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(抜粋)
〇原本・写しの別:写し
〇作成年月日:H24.8月
〇作成者:環境省 水・大気環境局 土壌環境課
〇立証趣旨:乙22として抜粋を提出したガイドラインのうち,舗装の仕様について説明した部分。土壌汚染対策法が求めるアスファルトの厚さは,表層のアスファルトの厚さは最低3センチメートル,その下の路盤の厚さは最低10センチメートルとされている。
以 上
*****書証目録(乙24)*****PDF ⇒20170308i24j.pdf
前橋地方裁判所
平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
書 証 目 録
乙第24号証
上記正写致しました
弁護士 関 夕 三 郎
*****乙第24号証*****PDF ⇒ 2017030801i24j.pdf
2017030802i24j.pdf
<P402>
6)措置の完了の報告
性状の変更を行った基準不適合土壌のある場所について、100 m2ごとに任意の地点において深さ1mから基準不適合土壌のある深さまでの1mごとの土壌を採取し、当該土壌について特定有害物質の量を環境大臣が定める方法(規則第6条第3項第4号)により測定し、土壌溶出量基準に適合することを確認する必要がある。さらに性状の変更を行った基準不適合土壌のある範囲において、地下水流向の下流側に1以上の観測井を設け、1年に4回以上定期的に地下水を採取し、当該地下水に含まれる特定有害物質の景を環境大臣が定める方法(規則第6条第3項第4号)により測定し、地下水汚染が生じていない状態が2年間継続することにより本措置が適正に実施されたかどうかを判断する。
措置実施者は工事状況の写真、工事終了報告書とあわせ、途中の段誓で立入検査を行った場合にはその報告書も参考にし措置の完了を都道府県知事に申請する。工事記録は都道府県知事に提出するとともに、土地の所有者等も保管し、将来土地の所有者等の変更等が生じる場合にそれを承継できるようにする。
7)措置の完了後の留意事項について
措置の実施後は、措置の効果の維持として土地の所有者等において不溶化した基準不適合土壌の飛散等がないことを定期的に点検するとともに、適切な頻度で地下水の水質の測定を行い、措置の効果が維持されていることを確認する。測定の頻度については、「地下水の水質の測定」を参照するものとする。また、地下水の水質の測定の結果、地下水基準に適合せず、あるいは地下水濃度上昇傾向を示す等の現象があった場合には、速やかに都道府県知事に報告するとともに適切な地下水汚染の拡大の防止を実施する必要がある。
5.4.4 直接摂取によるリスクに係る各措置の実施
(1)舗装
舗装については、厚さ10 cm以上のコンクリート若しくは厚さ3㎝以上のアスファルト又はこれと同等以上の耐久性及び遮断の効力を有するものにより覆うこととされている。これらの厚さは十分な耐久性及び遮断の効力を得るための最低限の厚さであり、措置実施後の上部の利用用途により破損しないような十分な強度を保つよう、必要に応じて覆いの厚さを増すことや路盤材により補強することが必要である。
なお、土壌含有量某準を超える要措置区域において封じ込め措置(原位置、遮水工、遮断工)を行い、その上面を本措置と同等の効力を有するものにより覆う場合も、舗装として位置づけられることとなる(規則別表第6の8の項、通知の記の第4の1(6)④イ(チ))。
<P403>
図5.4.4-1 舗装措置(一例) 概念図
1)舗装の種類
舗装の種類を表5.4.4-1にまとめ、表5.4.4-2に各種舗装による基準不適合土壌の人ヘの暴露面からの長所・短所についてまとめる。
表5.4.4-1 舗装の種類
●舗装の種類の名称:コンクリート舗装
〇内容:堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するコンクリートにより覆うことにより基準不適合土壌の人への暴露を防止する。最低10 cmの層厚とする。
●舗装の種類の名称:アスファルト舗装
〇内容:堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するアスファルトにより覆うことにより基準不適合土壌の人への暴露を防止する。最低3cmの層厚とする。
●舗装の種類の名称:その他(ブロック舗装等)
〇内容:ブロックやタイルであってもコンクリート舗装やアスファルト舗装と同等以上の耐久性及び遮断の効力を有すれば問題なく使用することができる。
ブロック舗装は堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するコンクリートの二次製品であるインターロッキングブロック等を利用する。施行に当たっては、目地等からの雨水の流入も抑制できるように配慮する。
<P404>
表5.4.4-2 各種舗装による基準不適合土壌の人への暴露面からの長所・短所
●コンクリート舗装
〇長所:①路面が波打ったり、変形したりしない
②盤として耐力が期待できるため、接地圧が大きい集中荷重に強い
③耐用年数が良い(参考:20年以上)
④路面の耐摩耗性が大きく、ひっかきに対して強い
〇短所:①気温の影響による伸縮膨張影響を受けやすい、そのため目地を設ける必要があり、そこをはじめとする破損に注意が必要
②措置の実施後、コンクリートの養生期間として設計強度の発現までに28日程度かかる
③補修に手間がかかる
④不同沈下に追随性がなく破損することが多い
●アスファルト舗装
〇長所:①可塑性があり、不同沈下にある程度順応できる
②措置の実施後の養生期間が短く、すぐ使用ができる
③補修が容易である
〇短所:①利用の方法や維持管理の程度により異なるが寿命が比較的短い(参考:10年程度)
②接地圧の大きい静止荷重や同一地点の繰返し荷重で、へこみやわだち掘れができやすい
③油に弱く、気温の影響も受ける
④下地の裁根が不十分な場合は根の成長で破壊される
●ブロック舗装
〇長所:①不同沈下にある程度順応できる
②補修が容易である
③措置の実施後直ちに供用できる
④耐用年数が長い(参考:20年以上)
⑤路面の耐摩耗性が大きい
〇短所:①目地からの土壌の露出がないように維持する必要がある。
②措置の実施が手作業であり、措置の実施期間が長い
2) モルタル吹き付け等
当該土地の傾斜が著しいことその他の理由によりこれらを用いることが困難であると認められる場合には、モルタルその他の土壌以外のものであって、容易に取り外すことができないもの(以下「モルタル等」という。)により覆う(規則別表6の8の項の下欄のイ)。
急傾斜地、あるいは非常に細い土地(家屋と弊との間)等であって、通常の舗装等が困難な場合はモルタル等の吹き付けや、シートで傾斜面を被覆することで、舗装と同じ効果を得ることができる。ただし、モルタル吹き付け等は路盤を形成できないという前提であるため、モルタル吹き付けを行う要措置区域は上部の利用がないこと、通常は人が立ち入ることがない場所に適用する。急傾斜地等に用いられるモルタル吹付工等の種類としては表5.4.4-3に示すものが考えられる。
表5.4.4-3 吹付工等の例一覧表
●分類:構造物による法面保護工
〇工種:・モルタル吹付工
・コンクリート吹付工
〇目的・特徴:風化、浸食防止
〇選定に当たっての留意点:
・安定勾配よりも急な法面の場合に利用することが多い。
・割れ目の多い軟岩の場合に適しているが、湧水がある場合は注意を要する(基本的には実施すべきではない。)。
●分類:その他
〇工種:・合成樹脂シートを用いた被覆
〇選定に当たっての留意点:
・法面の凹凸で破損するおそれがあるので下地処理に注意を要する。
<P405>
図 5.4.4-2 モルタル吹き付け等舗装措置(一例) 概念図
3) 路盤の作成
コンクリートやアスファルトの舗装は、措置実施後の上部の利用用途に応じた外力等に耐えるため、表面を被覆したコンクリートやアスファルトとそれを支える路盤や路床等が複合構造として成り立っている。
道路等に利用される場合は、道路としてその交通量と路床の支持力により構造を別途算定し計画する必要があるが、車の走行による影響(活荷重)がほとんどない場合の舗装による被覆の目安は表5.4.4-4のとおりである。コンクリートとアスファルトの厚さは歩道程度のものとして使用した接合の最低限の厚さを例示したものであり、実際の採用に当たっては、下地の路盤、路床の耐力等を考慮して、予測される外力等に対し安全な計画・設計を行い設置する必要がある。
表5、4.4-4 舗装による被覆の厚さの目安
●舗装の種類:コンクリート舗装
〇舗装仕様:10㎝
〇路盤仕様:10㎝ (砕石、砂利、砂等)
〇一般での用途:歩道程度
●舗装の種類:アスファルト舗装
〇舗装仕様:3㎝
〇路盤仕様:10㎝ (砕石、砂利、砂等)
〇一般での用途:歩道程度
<P406>
図5.4.4-3舗装・路盤材と基準不適合土壌との関係
4)措置の実施範囲
措置の実施範囲は、基本的には当該措置の対象となる要措置区域の範囲とするが、境界面からの基準不適合士壌の露出を考慮して、舗装端部の覆い(コンクリート、アスファルト)が基準不適合土壌の存在する平面範囲より50㎝以上は余裕を持って囲むことが望ましい。また、付近に覆いと同様の構造である道路や建屋の基礎等がある場合にはできる限り接続し、土壌の露出部分を少なくすることで飛散等が生じない状況とすることが望ましい。
なお、敷地境界等が接近しており工事が両難な場所に措置を行う場合は、事前に都道府県知事とその措置実施範囲、工法について協議して実施するごとが望ましい。
5)措置に伴う工事実施時、特に留意すべき汚染拡散防止措置
汚染土壌又は特定有害物質の飛散、揮散又は流出を防止するために必要な措置を講じなければならない(規則別表第6備考)。
6)措置の完了の報告
措置実貧者は、工事状況の写真、工事終了報告書等を都道府県知事に提出し、その内容をもって措置の完了の確認を得る。
7)措置の完了後の留意事項
土壌汚染の除去以外の汚染の除去等の措置については、土壌中に特定有害物質が残ることから、実施後もその効果が適切に維持される必要がある。
このため、措置の完了後は、土地の所有者等がその効果が持続しているかどうかを定期的に点検し、措置に係る構造物の損壊のおそれがあると認められる場合には速やかに損壊を防止するために必要な措置を講ずるなど、汚染の除去等の措置の効果の維持に努めることが望ましい(通知の記の第4の1(6)④ウ)。
措置の完了後は、土地の所有者等が舗装排置を定期的に点検し、舗装の損壊があると認められる場合には、速やかに覆いの損壊(舗装のひび割れ、めくれ、陥没、下部の土の噴出等)を補修し、必要であれば損壊の防止を講ずることが望ましい。また、大雨や台風等の直前・直後、地震の直後はその都度点検することが望ましい。
<P407>
舗装措置の定期的な点揆とは、基本的に目視確認であり、基準不適合土壌が直接露出するようなひび割れや崩壊がないこと、雨水の浸入がないこと及び飛散等がないことを確認することである。また、モルタル・コンタタート吹き付けは湧水が認められた場合に損壊の可能性があることから、土地の所有者等は定期的に措置を実施した場所を点検し、覆いの損壊、特定有害物質を含む土壌粒子の飛散や流出のおそれがあると認められる場合には、速やかに必要な覆いの修復又はほかの指示措置等を講ずるごとが必要となる。
工事記録は都道府県知事に提出するとともに土地の所有者等も保管し、将来、土地の所有者等の変更等が生じる場合にそれを承継できるようにする。
(2)立入禁止
立入禁止は、当該土地のうち基準不適合土壌のある場所の周囲に、人が当該場所に立ち入ることを防止するための囲いを設ける。当該土地の区域外への基準不適合土壌又は特定有害物質の飛散等を防止するため、シートにより覆うことその他の措置を講じ、設けられた囲いの出入口(出入口がない場合にあっては、囲いの周囲のいずれかの場所)の見やすい部分に、関係者以外の立入りを禁止する旨を表示する立札その他の設備を設置する(規則別表第6の9の項)。
立入禁止は、当該土地を全く利用しない場合の一時的な措置であり、本措置が行われている間に人が立ち入ることがなく適正に管理する必要がある(通知の記の第4の1(6)④イ(リ))。
図 5.4.4-4 立入禁止(一例)概念図
1) 立入禁止で行われる工事等の種類
ア.囲い
人が立ち入らないことを目的として設置されるものであり、塀、フェンス、柵、ロープ等がある。
具体的には、塀、フェンス等物理的に人の立入りを制限することを基本とし、工場又は事業場の中にある場所で、人的に管理できる場合であれば、立入禁止区画を明確にし、進入禁止を喚起できれば柵、ロープ、有刺鉄線等でもかまわない。
表5.4.4-5に本措置の例をまとめる。
**********
■以上のとおり、健全な土壌だった農業地帯に、わざわざ有害物質を含んだスラグ=鉱滓を下層路盤材と称して不法投棄したにもかかわらず、群馬県は、当会の追及に対して当初は「ステージコンストラクションであるから施工上は問題ない」などと主張していました。
ところが大同スラグ問題で、群馬県の告発により群馬県警の捜査の結果、廃棄物処理法違反に問われた大同特殊鋼、大同エコメット、佐藤建設工業が前橋地検に送検された事件で、昨年12月22日、前橋地検は不起訴処分としたことを契機に、群馬県は「舗装で蓋をしたのは風評被害を防止するための土壌汚染対策法による対策だ」と主張し始めたのです。
自分で有毒スラグを敷砂利として撒いておきながら、今度はその上に舗装で蓋をしたのは、土壌汚染対策法による措置だと主張をあっさりと変えたわけです。なぜこれほど大同特殊鋼や大同エコメット、佐藤建設工業を庇おうとするのでしょうか。
現在マスコミを賑わせている大阪の森友学園への国有地格安払下げ問題で、地下からさまざまな生活ゴミが出てきたとして格安で払い下げをしてやったり、補助金のずさんな査定や、行政における諸手続での破格の扱いをしてやったり、などなど、通常では到底ありえないことが次々に起きていたことが発覚しつつあります。この大同スラグ事件も、根っこは同じではないのか、と私たちに連想させる不可思議な事件です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「石原・関・猿谷法律事務所」所属弁護士紹介
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http://ishihara.gr.jp/
●弁護士 石原 栄一
昭和31年4月、前橋市生まれ。前橋高校、東北大学法学部卒業
趣味はゴルフ、スキー、音楽鑑賞など
昭和61年4月、山岡法律事務所に「イソ弁」として入所し弁護士としてスタートしました。事務所所長の山岡正明弁護士が私のボス弁であり弁護士としての師匠にもなります。
ボスの山岡弁護士は「何事にも全力で取り組む」という姿勢でした。仕事に熱心で面倒見のいい先生でしたが、平成15年9月、多くの方に惜しまれながら他界しました。
山岡事務所で勤務するなかで、民事介入暴力(いわゆる「民暴」)という事件に出遭いました。民暴事件とは「暴力団員等からの不当な要求により損害を受けた被害者を救済する」という仕事です。民暴事件は、山岡弁護士が精魂を傾けて取り組んできた仕事のひとつでしたが、以来、私の弁護士としてのライフワークのひとつにもなりました。
現在、民暴事件のみならず様々な事件や相談に関与していますが、弁護士登録したときの初心を忘れず仕事に取り組んでいきたいと考えております。
●弁護士 関 夕三郎
昭和46年、新潟県生まれ。中央大学大学院法学研究科を卒業。
平成12年4月に検事任官。平成16年4月に弁護士登録。 趣味はゴルフ。
私は、法律家としての人生を検事としてスタートさせ、札幌地検、大阪地検などに勤務しました。検事時代に身に付けた事件に対する取り組み方、証拠の見方が、今の私の基礎になっています 。
依頼者の声に誠実に耳を傾けることを常に心掛けています。それによって、紛争の解決を目指すのはもちろんですが、依頼者の悩みをいくらかでも和らげることに繋げたいと思っています。また、依頼者の話を聞きながら、想像力を駆使し、依頼者が忘れていた記憶を換起したり、思わぬ証拠に繋がる糸口を見つけたりすることは、法曹に関わる者にとっての醍醐味であるとも思っています。
●弁護士 猿谷 直樹
昭和50年高崎市生まれ。高崎高校卒。東京大学法学部卒。
平成13年弁護士登録。
趣味はゴルフ。
●弁護士 笠本 秀一
昭和57年,埼玉県本庄市生まれ。慶應義塾大学理工学部,法政大学法科大学院卒。
平成20年群馬弁護士会に弁護士登録。公害・環境対策委員会,消費者問題対策委員会,法教育委員会等に所属。 趣味はラーメン店巡り。
私は元々環境問題に関心があり,大学時代は理工学部で環境問題を研究していました。
しかし,環境問題に携わるには,法律の知識も必要なのだと実感し,法律の世界に飛び込みました。
実際に法律の世界に飛び込んでみると,交通事故や建築紛争,知的財産権訴訟等,自然科学の知識が必要な業務は意外に多いです。 そうでない業務であっても,理工学部で学んだ論理的思考が非常に役に立っています。
皆様の悩みに寄り添って,最善の解決を図っていく。そのような弁護士でありたいと思っております。
よろしくお願いします。
●弁護士 織田 直樹
昭和61年、前橋市生まれ。前橋高校,中央大学法学部卒業,慶應義塾大学法科大学院修了。
趣味はスキーなど。
●弁護士 舩戸 いずみ
ただいま執筆中です。
●弁護士 徳島 里絵
ただいま執筆中です。
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