■2015年11月に安中市内の小学校で発生した体罰事件について、当会は3月26日までに住民訴訟を提起しなかったため、体罰教師への損害賠償請求の手段は失われてしまいました。ところがその翌日3月27日朝お隣の栃木県那須町のスキー場付近での登山講習会に参加した高校生40人と教員8人らが雪崩に巻き込まれ、高校生7人と教員1名が死亡、残る40人全員が負傷し、うち7人が重傷を負うという事故が起きました。
↑雪崩に巻き込まれた生徒が通う県立大田原高校=27日午後4時7分、栃木県大田原市、朝日新聞社ヘリから、堀英治撮影↑
安中市内の小学校で起きた体罰事件では、暴行罪で起訴された元教諭が安中市による被害児童の代理人の弁護士に賠償金50万円を支払ったことが考慮されて前橋地検により不起訴処分(起訴猶予)となったので、当会は、公金での損害賠償金の支払いが妥当かどうか今年1月6日付で住民監査請求を安中市監査委員に提出し、1月27日に監査委員らの前で陳述をしていました。
しかし、遺憾ながら2月24日付で監査委員から「本件請求については合議により『本件請求は、理由が無いものと認める』ことに決した」との棄却決定通知が25日に届きました。このため、3月26日を期限として住民訴訟を提起するかどうか慎重に検討してきましたが、多忙のため3月24日(金)までに訴状を前橋地裁に提出できませんでした。
そのため、現在学習の杜で勤務しているとみられる元体罰教諭に対する公金による和解金支出については、本人が市に自主的に返還する以外、強制的に損害賠償を行わせる手立てはなくなってしまいました。この場を借りて、お詫びとともにご報告します。この件に関する関連ブログは逆時系列で次のとおりです。
〇2017年3月3日:学校での体罰に寛容な教育界・・・公金で体罰を不問にしてくれる安中市にお墨付きを与えた市監査委員↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2249.html#readmore
〇2017年1月28日:公金で損賠金が支払われ不起訴になった体罰教諭に係る住民監査請求で安中市監査委員の前で陳述↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2219.html#readmore
〇2017年1月18日:公金で損賠金が支払われ不起訴になった体罰教諭に係る住民監査請求で安中市監査委員から陳述等案内通知届く↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2212.html#readmore
〇2017年1月6日:学校での体罰に寛容な教育界・・・暴行罪適用でも損害賠償金を公金で払い起訴猶予となった安中市のケース↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2200.html#readmore
■こうした最中、3月27日午前8時半ごろ、栃木県那須町湯本のスキー場「那須温泉ファミリースキー場」付近で雪崩が発生しました。積雪をかき分けながら歩く「ラッセル」の訓練をしていた高校生らが巻き込まれ、栃木県警によると、県立大田原高校山岳部の男子生徒7人と顧問の男性教員1人が死亡したというニュースが報じられました。
栃木県警は、こうした悪天候の中で訓練をなぜ実施したのか、業務上過失致死傷容疑で捜査を開始しました。
この悲惨な出来事の原因の追究と、責任の所在は県警の捜査の結果を待たねばなりませんが、犠牲となった高校生や教師に対しては、国家賠償法第1条第1項の「「国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」とする定めが適用され、公金で補償がなされるものとみられます。
なぜなら警察は業務上過失致死傷容疑で捜査をしているわけですから、当然、この事件は過失だとみなした上で、捜査を進めていることになるからです。もちろん、この講習会の総責任者の公務員が、「故意に」講習会参加者らを雪崩に遭遇させて、死傷者をだしても、国家賠償法が適用されることになります。
■一方、当会が今回住民訴訟を見送ってしまった安中市内の体罰事件では、公務員である教諭が、体罰という故意の行為で、小学校の児童にケガを負わせたわけですから、国家賠償法で公費から和解のための補償金が支出されることに問題はないと考えます。
しかし、国家賠償法第1条第2項では、「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」としています。
このことは、栃木県那須のスキー場で起きた悲惨な出来事で、県警が業務上価値土師匠容疑で捜査をした結果、重大な過失があった場合には、当該公務員に対して求償権が適用される可能性があることになります。雪崩注意報発令や、ビーコン不携帯などの状況のもとで、あえてラッセル訓練を実施したことが、重大な過失かどうかのポイントになるかどうか、でしょうが、いずれにしても「故意」で行った行為の結果が、この悲惨な出来事を招いたわけではありません。
■他方、安中市内の小学校における体罰事件は、警察が暴行罪で捜査をして、検察に送検していました。暴行罪は、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときに成立する(刑法208条)とされており、人の身体を傷害するに至ったときは傷害罪(狭義の傷害罪、刑法204条)として判断されることになります。
実際に体罰を受けた児童は打撲や擦り傷を受けた模様ですので、本来であれば傷害罪に該当したのかもしれませんが、警察は暴行罪として捜査をしたうえで、体罰教師を送検したのでした。
それではなぜ警察は体罰教師に対して、業務上過失傷害罪を適用しなかったのでしょうか。刑法211条1項前段は「業務上必要な注意を怠り、よって、人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する」と定めています。これが業務上過失致死傷罪のことです。
教師は学校において公務員として児童を継続的に管理・指導する職業ですから、業務上の仕事のはずです。そして、体罰を受けた児童は軽傷かもしれませんが、ケガを負ったことは事実のようです。
今回の当会の住民監査請求では、安中市監査委員は、「本件監査において市が甲に対しての求償権を有するか否かの判断をするには、甲に故意又は重大な過失があるか否かを判断する必要がある」とし、結果的に「体罰教師の任命権者である県教育委員会が、体罰教師に対して、教育公務員特例法第9条に基づいて県教育委員会が評議会を開催して群馬県教育委員会懲戒指針に則して審議したものであり、体罰により児童を死なせたり重傷を負わせたりしなかったことと、体罰を常習的に行っていなかったから、故意でも重過失でもない。よって単なる過失だから、国家賠償で体罰教師に損害賠償請求をしなかったことは正当だ」とする判断を下しました。
学校での体罰が常習的でない限り、「故意ではない」というのですから、今後も、教師はスポット的に適宜、体罰を与えることが許されることになります。
確かに、児童や生徒、学生の中には手の付けられない者が存在することは事実です。また、モンスターペアレント問題もあり、教職に携わる公務員の苦労は、並大抵ではない部分もあることでしょう。
今回、当会が住民訴訟を見送った背景には、時間的な余裕がなかったことが一番の理由ですが、今回の検察の暴行罪不起訴処分や国家賠償法の「故意または渋滞な過失」に非該当と判断された事件を奇貨として、教職に携わる公務員の皆さんには萎縮せず、熱血教育を実践してもらいたいと思います。
また、体罰を受けた児童や保護者から「二度と授業を受けたくない」とされ、現在学習の森で隠遁状態で勤務している元体罰教師の方を、安中市教育庁は、一刻も早く本来の教職の現場に戻すよう、新年度の人事でさっそく配慮すべきでしょう。
【ひらく会情報部】
※関連報道「登山講習会で訓練中の高校生ら8名死亡事故」
**********TBS NEWS 2017年3月27日17時57分
栃木・那須町のスキー場で雪崩、8人心肺停止
27日午前、栃木県那須町のスキー場で雪崩が発生し、登山の講習会に参加していた高校生らが巻き込まれました。安全な登山を学ぶ春山で、一体、何があったのでしょうか?
27日午前、栃木県那須町の「那須温泉ファミリースキー場」で雪崩が発生しました。通報があったのは午前9時20分ごろ、引率していた高校の男性教諭からでした。
「雪崩が発生して生徒が巻き込まれ、連絡が取れない」
雪崩に巻き込まれたのは登山の講習会に参加していた高校生らで、当時、現場では県内7つの高校の生徒と教諭、あわせて48人が参加し、「春山安全登山講習会」が行われていました。生徒らは、積雪期の登山に必要な知識や技術を習得する目的で、2泊3日で講習を受けていたということです。
「ラッセル訓練中に雪崩が発生した。新雪の所を切り開いていく訓練だと思われる。行った隊員によると、完全にずぶずぶと入ってしまう状態。かなりの積雪があったと思われる」(那須地区消防本部 会見)
現場には消防に加え、自衛隊も駆けつけました。救助に向かう隊員でしょうか、山の中腹を歩いて進みます。現場は午後になっても雪が降り続き、悪天候のなかでの救助活動となりました。
午後2時前から、雪崩に巻き込まれた高校生らが下山を開始。けがをした人たちが病院に運ばれました。この事故で、県立大田原高校の男子生徒ら8人が心肺停止の状態になっているほか、40人がけがをしたということです。雪崩に巻き込まれた生徒のうち、自力で脱出した人もいました。
那須温泉ファミリースキー場は、東北新幹線・那須塩原駅から北におよそ20キロにあります。雪崩が発生したのはスキー場の第2ゲレンデで、この冬のスキーの営業は今月20日に終了していました。
県の教育委員会などによりますと、春山登山の講習会は毎年行われているということで、生徒が心肺停止になっている大田原高校の山岳部は、県大会を8連覇している強豪校です。
「きちんとした登山に関する専門的知識を持った顧問が、冬山にあたっての注意事項、もろもろの天候の状況とか、講習会という位置づけですので、それは止めるように言ったことはない」(栃木県教育委員会の会見)
27日、真冬並みの寒さに見舞われた関東や東北地方。福島県の安達太良山でも雪崩が発生し、登山していた男性2人が巻き込まれ、このうち70代の男性が意識不明になっているということです。
宇都宮地方気象台では、26日から、栃木県の北部に大雪や雪崩注意報を出して注意を呼びかけていました。気象庁の観測によりますと、「那須高原」では、午前1時に0センチだった積雪が、午前9時には33センチに。短時間で一気に雪が積もったことがわかります。今回の雪崩の原因について、専門家は・・・
「今回は雪崩が起きる前に、昨夜から大量の雪が降り積もっている。大量の雪が降り積もったことが(今回の)雪崩の原因と考えられる。古い雪の上にどんどん新しい雪が積もり、その雪が不安定になり崩れたものと考えられる。今回、可能性が高いのは、この『表層雪崩』が起きた」(防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 平島寛行主任研究員)
表面の雪が崩れ落ちる表層雪崩は、予兆を見つけるのが難しいといいます。過去には、富山県でも表層雪崩と見られる大規模な雪崩が発生し、山スキーを楽しんでいた7人が犠牲になりました。
滑り落ちる雪が時速100~200キロにも達することがあるという表層雪崩。雪崩から逃れたスキーヤーは、その瞬間をこう振り返ります。
「雪煙がこっちに向かった瞬間に、これは逃げなきゃって思った。あっという間で、雪煙の高さもすごく高かった。もうのまれるって思いました」(雪崩から逃げたスキーヤー)
今回、栃木県那須町のスキー場で高校生を襲った雪崩。現地では、警察、消防、山岳遭難救助隊による救助活動が続いています。
**********上毛新聞ニュース2017年3月27日(月) PM 07:00
雪崩で高校生ら8人心肺停止 登山講習中、栃木
27日午前9時20分ごろ、栃木県那須町湯本のスキー場「那須温泉ファミリースキー場」付近で、雪崩が起きたと110番があった。県警は、登山講習会に参加していて巻き込まれた、いずれも県立大田原高山岳部の男子生徒7人と顧問の男性教員1人が心肺停止になったと明らかにした。消防によると、このほか多数のけが人がいるという。
県警や消防が状況の確認を急いでいる。
県警などによると、講習会は県高等学校体育連盟が主催。大田原、那須清峰、矢板東、真岡女子、真岡、宇都宮の県立6校に私立矢板中央の計7校の1~2年生ら60人以上が参加し、午前7時半ごろから登山を始めた。
↑雪崩があった「那須温泉ファミリースキー場」の27日午前11時すぎのライブカメラ画像(同スキー場のホームページより)↑
**********毎日新聞2017年3月27日 16時11分(最終更新 3月27日 19時40分)
心肺停止は高校生8人に 多数負傷 栃木のスキー場
↑高校生らが遭難した現場近くに駆けつけた救急車。後方が雪崩が発生した那須温泉ファミリースキー場=栃木県那須町湯本で2017年3月27日正午ごろ、柴田光二撮影↑
27日午前9時20分ごろ、栃木県那須町湯本の那須温泉ファミリースキー場で雪崩が発生したと110番があった。地元消防などによると、県内7高校から登山講習会に参加していた団体が雪崩に遭い、生徒8人が心肺停止の状態で見つかったほか、重傷者2~3人を含む多数が負傷した。同スキー場は20日に今季の営業を終えており、雪崩は第2ゲレンデ付近で発生したとみられる。
↑発生現場の地図↑
7校は25~27日の日程で組まれた県高体連主催の「春山登山研修」に参加していた。参加校は、▽大田原▽矢板中央(矢板市)▽矢板東(同市)▽宇都宮(宇都宮市)▽真岡(真岡市)▽真岡女子(同市)▽那須清峰(那須塩原市)--の計約60人。
心肺停止で見つかった生徒は大田原高に集中しており、雪崩は同校の隊列を直撃したものとみられる。
同県北部では26日から降雪が続き、気象庁によると27日午前10時に那須高原で34センチの積雪を観測。宇都宮地方気象台は、同県北部に26日午前10時から雪崩注意報を発令していた。【田中友梨、金秀蓮】
**********上毛新聞ニュース2017年3月28日(火) PM 07:39
スキー場「典型的な雪崩発生区」 現地調査のNPO理事
NPO法人「日本雪崩ネットワーク」(横浜)の出川あずさ理事(56)が28日、雪崩で高校生ら8人が死亡した那須温泉ファミリースキー場(栃木県那須町)付近で現地調査を実施、調査後に「目視でも分かるほど、雪崩の起きやすい斜度や気候条件がそろっている典型的な雪崩発生区だ」と明らかにした。
ネットワークによると、雪崩の痕跡はその後の降雪ではっきりと残っていなかったが、スキー場の第2ゲレンデ上部にある樹林帯を抜けた尾根手前付近の斜面で発生したとみられる。
雪崩が起きたとみられる斜面は斜度30度以上で大きな木が少なく、風の影響を受けやすい環境だった。
**********日テレNEWS24 2017年3月28日 11:48
雪崩犠牲の高校生 全員「ビーコン」不携帯
27日、栃木県那須町のスキー場で雪崩が発生し、登山講習会に参加していた地元の高校生ら8人が死亡した事故で、死亡した高校生ら全員が、遭難した際に位置情報を発信できる「ビーコン」を身につけていなかったことがわかった。
27日は吹雪だった現場は天気も回復し、消防などによる現地調査が始まっている。いまだに「なだれ注意報」が出ている現場では、ドローンで雪の状況を撮影していて二次災害の恐れがないか慎重に確認し、本格的な調査が始まるものとみられる。
この事故は、27日朝、栃木県那須町のスキー場周辺で雪崩が起き、登山講習会に参加していた高校生ら48人が巻き込まれ、このうち8人が死亡したもの。27日は悪天候だったため、教師の判断で高校生らは当初予定していた登山を中止し、雪を踏み固めて進む「ラッセル訓練」を行っていたが、その後の取材で、死亡した高校生ら全員が、雪崩に巻き込まれた際などに、自分の位置を発信できる「ビーコン」という機器を装着していなかったことがわかった。
救助にあたった那須山岳救助隊「(Q.掘り出す時にビーコンは活用された?)全員つけていませんでした。現場到着してから掘り出すまでは30分ぐらいしかかかっていないけど、その間の時間は相当かかってますよね。発生してから掘り出されるまでは3時間以上が経過」
山岳救助隊によると、「ビーコン」を装着していれば、遭難した場合も早期発見につながるということで、本来、冬山に入るのであれば持つべきものだと指摘した。
警察は、正しい装備をしていたのか、登山講習会を開催したことが正しかったのかなどを、特別捜査班を設置して詳しく調べる方針。
**********NHK NEWS WEB 2017年3月28日 12時07分
高校生など8人死亡の雪崩 約100m崩れたか
27日、栃木県那須町にあるスキー場付近で、登山の講習中の高校生と教員合わせて48人が雪崩に巻き込まれ、生徒ら8人が死亡した事故で、27日の救助活動の際の情報では、雪崩はおよそ100メートルの長さで起きたと見られることがわかりました。警察はヘリコプターで上空から雪崩の状況などの確認を進めています。
27日午前8時半ごろ、栃木県那須町にある「那須温泉ファミリースキー場」の付近で雪崩が起き、登山の講習を受けていた県内の高校の山岳部の生徒や教員合わせて48人が巻き込まれました。
この事故で、県立大田原高校の男子生徒7人と男性教員1人の合わせて8人が死亡し、生徒と教員合わせて40人がけがをしました。
警察によりますと、雪崩が起きたのは、スキー場にある「センターハウス」と呼ばれる小屋から山頂に向かって500メートルほど進んだゲレンデよりも上にある斜面で、27日の救助活動の際の情報では、雪崩はおよそ100メートルの長さで起きたと見られることがわかりました。
警察は28日午前、ヘリコプターを飛ばして、上空から雪崩が起きた状況や範囲などの確認を進めています。
一方、現場検証については、現地の天候の状況などから、再度雪崩が起きる危険性があり、行うかどうか検討しているということです。
★消防と栃木県 ドローンで現場を調査
事故を受けて、消防や栃木県は28日朝から、小型の無人機、ドローンを使って上空から雪崩の現場を調査しました。
雪崩が起きた現場近くにある那須町のスキー場の入り口には、28日午前8時ごろ、地元の消防と県の職員、それにドローンを所有するさいたま市消防局の消防隊員ら10人余りが集まり、ドローンが入ったケースなどを持って現場に向かいました。
調査地点に到着した消防隊員らは斜面に沿うようにしてドローンを飛行させ、雪に覆われた斜面の状態を上空から撮影していました。
消防の担当者によりますと、調査には警察も立ち会い、ドローンで撮影した映像を分析して、雪崩の規模や発生状況の解明につなげるということです。
さいたま市消防局警防課の大塚成人消防司令長は「立ち入りが難しい雪崩の現場をドローンで撮影することで、原因を少しでも明らかにしたい」と話していました。
★安倍首相 原因究明し防災対策強化
安倍総理大臣は、参議院決算委員会で「痛ましい災害が発生した。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族に心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げる」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「政府では、融雪出水期を迎え、雪崩などの発生に備えた防災体制の強化を関係機関などに働きかけていたところだが、今回の事態を踏まえ、再発防止を徹底するため、原因の徹底究明を行うとともに、警戒避難体制の強化、危険箇所などの巡視、点検の実施の徹底などによる防災対策の強化を図っていく」と述べました。
★松野文科相 高校生以下は冬山登山行わないよう通知
松野文部科学大臣は閣議のあと記者団に対し、「スポーツ庁の職員2名を栃木県教育委員会に派遣し、今回の講習会の実施に問題がなかったのか、状況の把握に努め、二度と同様の事故が起こらないよう万全を尽くしたい」と述べました。
そのうえで松野大臣は「今回の事故にあたっては、まずは状況をしっかり把握することが重要で、今後の対応は精査・分析をしたうえで行いたい」と述べました。
また、松野大臣は、高校生以下の生徒については、技術や体力の面から、冬山における安全を確保することは難しいとして、原則として冬山登山は行わないよう指導の徹底を求める通知を、27日付けで全国の教育委員会などに出したことを明らかにしました。
**********日テレNEWS24 2017年3月28日 14:29
雪崩犠牲 高校生の家族や友人が悲痛な思い
27日、栃木県那須町のスキー場で雪崩が発生し、登山講習会に参加していた地元の高校生ら8人が死亡した事故で、高校生の家族や友人が、悲痛な胸の内を明かした。
午前中から始まった消防などによる現地調査は終了した。ドローンを飛ばすなどして、生存者や生き埋めになった人がいないかの最終確認を行ったという。
この事故は27日朝、栃木県那須町のスキー場周辺で雪崩が起き、登山講習会に参加していた高校生ら48人が巻き込まれ、栃木県立大田原高校の生徒7人と男性教師1人が死亡したもの。亡くなった高校生の家族や同級生らが無念の思いを語っている。
浅井譲さん(17)の父親「打撲とかそういうのはなかった。顔もきれいでした。冷たくなっていた。『寒かったね』『帰ってきたね』と。妻が『ごめんね、ごめんね』と言って、誰も悪くないんですけど『ごめんね』とずっと言ってました。17年で短かったですけど幸せだったと思います。良い子でした。ただ親より先に死んじゃいけないと思います」
鏑木悠輔さん(17)の親友「活発で運動神経がよくて正義感がある子でした。クラス替えしてクラスになじめない子がいると自分から話しかけたりしていて、悠輔のおかげで(野球の)上の大会行けて楽しかったです。もっと一緒に遊びたかったし話したかったし、でもいなくなっちゃったのでゆっくり休んでほしい」
奥公輝さん(16)の小中の同級生「もりあげキャラみたいな感じで、頭がよかったんでテスト前わからないところ聞いたりした。勉強も部活も熱心にやってました。長距離すごく頑張ってました」
警察は今後、雪崩の原因や、高校生の装備に不備がなかったかなど業務上過失致死傷の疑いで調べる方針。
**********読売新聞2017年03月28日
雪崩で高校生ら8人死亡…那須、注意報発令中
「春山安全登山講習会」で惨事
栃木県那須町湯本の町営「那須温泉ファミリースキー場」で27日午前、雪崩が発生し、登山講習会に参加していた同県内の7高校の登山部員と引率教員の計48人が巻き込まれた。
県警などによると、県立大田原高校の男子生徒7人と男性教諭1人の計8人の死亡が確認された。死因は圧死や外傷性窒息だった。このほか、生徒33人と教員7人の計40人がけがをした。当時は大雪、なだれ注意報が発令中で、県警は業務上過失致死傷容疑を視野に、講習会の主催者側から事情を聞く方針。
↑高校生らが雪崩に巻き込まれたスキー場で続く救助活動(27日午後4時18分、栃木県那須町で、読売ヘリから)=関口寛人撮影↑
県教育委員会によると、訓練は25~27日の日程で行われていた「春山安全登山講習会」。県高校体育連盟の主催で、大田原、宇都宮、那須清峰、矢板東、真岡、真岡女子の県立6校と私立矢板中央を含めた7校から、1、2年の生徒51人と引率教員11人の計62人が参加していた。
初日は学科講習とテント設営などの講習会、2日目は雪上での歩行訓練などを実施。3日目の27日は茶臼岳(1915メートル)登山を予定していたが、大雪のため午前6時に中止を決定。雪をかき分けて進むラッセルの訓練に切り替えた。
講習内容の変更などの判断は、登山経験が豊富な県高体連登山部の委員長と副委員長らに任されているという。委員長は無事だった大田原高校の教員、副委員長は真岡高校の教員で、ともに今回の講習会を引率していた。
ラッセルは48人が4班に分かれ、午前8時頃からスキー場の第2ゲレンデ近くにある林の急斜面で実施していた。大田原高校が先頭で移動中、標高1550メートル付近で雪崩が発生し、約200メートル下にいた高校生らをのみこんだという。
県災害警戒本部によると、雪崩は同8時30分に起きたと推定されている。無事だった14人は、この日の訓練に参加していないか、出発前だった。
スキー場周辺は荒天に見舞われており、宇都宮地方気象台は26日午前10時32分、大雪、なだれ注意報を発表、雪崩が起きた時も継続していた。25日は比較的暖かかったことから、日中に解けた積雪が夜に凍り、その上に積もった新雪が滑り落ちる「表層雪崩」が起きた可能性があるという。県警は訓練実施の判断が適切だったかどうか調べる。
県教委によると、訓練は雪が残る中での遭難や滑落を防ぐ方法を実地に学ぶ内容で、毎年の恒例行事だった。スキー場は今月20日に今シーズンの営業を終了した。ホームページによると、スキー場には、初級用から上級用まで三つのゲレンデがある。
大雪の中、県警61人、消防80人以上、山岳遭難救助隊員20人以上に、自衛隊員117人も加わって捜索や救助が行われ、午後5時過ぎまで続けられた。
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