星のひとみ/サカリアス・トペリウス・原作 石井睦美・文 せなけいこ・絵/KADOKAWA/2018年
クリスマスの前の晩、サーミ人の夫婦のそりがオオカミにおそわれ、雪の上におちたあかちゃん。オオカミは ただあかんぼうをながめるだけ。オオカミがいってしまうと、あかんぼうは冷たい雪に埋もれてころがったまま。
あかんぼうは、星をみつめました。星も あかんぼうをみつめました。たくさんの星たちは、この子のところに いってあげたいとおもいました。そうして、あかんぼうの ひとみの中に、星のひかりが はいったのです。
あかんぼうのからだは、雪に埋もれてどんどんつめたくなっていきました。しかし、あかんぼうは遠い町からかえる途中のフィンランド人の農夫にたすけられます。
あかんぼうは、牧師さんから「星のひとみ」という名前をつけられます。
星のひとみは、不思議な力をもっていました。星のひとみに見つめられるといじめっ子はいじめるのをやめ、イヌはほえるのをやめ、吹雪がふきあれても、星のひとみが吹雪のなかにでていくと、吹雪はやんで、すっかりしずかになりました。
おかみさんが、むかしのことを思い出していると、星のひとみがその思い出をかたり、指輪がなくなったときはすぐに指輪のありかをしめしました。
おかみさんは、こういうことがいやでたまりませんでした。かみさんは となりにすむムッラからいわれて、星のひとみの目をふさぎ閉じ込めてしまいます。
それだけでなく、星のひとみは、ムッラからクリスマスの前の晩に再び雪の中に置き去りにされてしまいます。
すぐに農夫が気づいて、おきざりにしたところへ行った時には、そこにちいさなくぼみがあるだけでした。
魔法使いとおもわれた星のひとみ。ただそれだけで存在までも否定された悲しい結末ですが、作者は「たくさんの星が、おおぜいの天使が、そしてかみさまが、星のひとみを みまもっていました」と、このあとを暗示しています。
作者はフィンランドのアンデルセンと言われるトペリウス。クリスマス前後に読みたい絵本。