9種の肝臓病、血1滴で判定…慶大先端生命研
2011年3月11日 提供:読売新聞
早期発見、負担軽減に期待
慶応大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)は10日、同研究所の曽我朋義教授(分析化学)らの研究グループが、患者の血液0・1ccを採取するだけで、9種類の肝臓病を一度に診断できる方法を開発したと発表した。
従来、複数の検査を組み合わせて、入院まで必要だった診断が大幅に簡略化されることで、疾患の早期発見が期待される。
曽我教授らは、山形大医学部付属病院(山形市)などで、肝臓に疾患を持つ患者と健常者計237人の血液を採取。血液のメタボローム(細胞内代謝で作られる物質の総称)を同研究所開発の分析計で網羅的に測定したところ、今まで知られていなかった十数種類の代謝物が見つかり、肝臓疾患を持つ患者には、それらの代謝物が明らかに増えていることがわかった。
疾患ごとに代謝物の濃度が異なっていることも判明し、特徴を比較すると、C型肝硬変や単純性脂肪肝、B型慢性肝炎など、237人の病名をほぼ100%の確率で特定することができた。同様に検査した胃がん患者ではこれらの代謝物は増えておらず、肝臓疾患に特化した基準とみられるという。
曽我教授によると、これまで肝臓病の診断は、内視鏡やMRI(磁気共鳴画像)、肝臓組織の採取など、複数の診断法を組み合わせ、1週間以上の入院も必要となるなど、患者の負担が大きく、熟練した医療従事者も必要だった。この方法は0・1ccの血液採取だけで診断ができ、採取から検査結果判明まで数日で済むという。
今後、ほかの複数の病院で実証実験を重ねて精度を確認し、早ければ2、3年後にも実用化が可能という。曽我教授は「肝臓病診断の強力な手段ができた。早期発見で、多くの命を救いたい」と話している。
2011年3月11日 提供:読売新聞
早期発見、負担軽減に期待
慶応大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)は10日、同研究所の曽我朋義教授(分析化学)らの研究グループが、患者の血液0・1ccを採取するだけで、9種類の肝臓病を一度に診断できる方法を開発したと発表した。
従来、複数の検査を組み合わせて、入院まで必要だった診断が大幅に簡略化されることで、疾患の早期発見が期待される。
曽我教授らは、山形大医学部付属病院(山形市)などで、肝臓に疾患を持つ患者と健常者計237人の血液を採取。血液のメタボローム(細胞内代謝で作られる物質の総称)を同研究所開発の分析計で網羅的に測定したところ、今まで知られていなかった十数種類の代謝物が見つかり、肝臓疾患を持つ患者には、それらの代謝物が明らかに増えていることがわかった。
疾患ごとに代謝物の濃度が異なっていることも判明し、特徴を比較すると、C型肝硬変や単純性脂肪肝、B型慢性肝炎など、237人の病名をほぼ100%の確率で特定することができた。同様に検査した胃がん患者ではこれらの代謝物は増えておらず、肝臓疾患に特化した基準とみられるという。
曽我教授によると、これまで肝臓病の診断は、内視鏡やMRI(磁気共鳴画像)、肝臓組織の採取など、複数の診断法を組み合わせ、1週間以上の入院も必要となるなど、患者の負担が大きく、熟練した医療従事者も必要だった。この方法は0・1ccの血液採取だけで診断ができ、採取から検査結果判明まで数日で済むという。
今後、ほかの複数の病院で実証実験を重ねて精度を確認し、早ければ2、3年後にも実用化が可能という。曽我教授は「肝臓病診断の強力な手段ができた。早期発見で、多くの命を救いたい」と話している。