【京都】3年がかり「看取り」写真展 下京
地域 2015年9月18日 (金)配信読売新聞
自宅で終末期を過ごす人々の〈看取り〉をテーマにした写真展「いのちをつなぐ」が、下京区の東本願寺しんらん交流館で開かれている。写真家の国森康弘さん(41)(大津市)が、滋賀県東近江市の永源寺地区で、家族らに見守られながら人生の最期を迎える人たちの様子を3年がかりで撮影した。国森さんは「命の有限性や継承性について考えるきっかけになれば」と話している。(佐藤行彦)
布団の上で息を引き取り、ひ孫に優しく額をなでられる92歳の女性。往診で訪れた医師や親族とカメラに向かって、笑顔で手を振る末期がん患者の男性。家族全員の手で、そっとフタをされる棺ひつぎ――。
同館ギャラリーには、最期の時を家族と過ごした人々の様々な場面の写真が並ぶ。鑑賞した左京区の無職松本嘉郎さん(79)は、「亡くなる方の最期の瞬間はどれも表情が神々しく、思わず手を合わせたくなった」と語った。
写真展を開いた国森さんは、神戸新聞記者を経て、2003年からフリーのフォトジャーナリストに。スーダンやソマリア、イラクなど数々の紛争地を取材し、多くの若者や子どもが犠牲になるのを目の当たりにしてきた。
紛争地の死を「争いによって強制的に断たれた〈冷たい死〉だった」と感じた国森さん。その後も死を見つめる活動の中で、10年に滋賀県東近江市の永源寺地区で在宅医療に取り組む医師と出会った。
医師に同行し、在宅医療の撮影をスタート。難病のひ孫を看病する高齢女性や、互いに認知症を抱えながら助け合って生活する夫婦など様々な家族と出会った。その中で、ファインダー越しに見えたのは、親しい人と感謝や別れを交わしながら最期を遂げた〈あたたかな死〉だったという。
写真展には作品60点が並び、一つひとつに撮影時の状況を記した。国森さんは「『看取り』は、悲しみだけでなく、充足感や生命のほとばしりを感じる。地域の中で、自分らしく年を重ねて生き切ることが、どの地域でもできたらいい。自分自身の経験に重ねて写真を眺めてほしい」と語る。
30日まで。入場無料。見学は平日午前9時~午後7時、土日祝日は午後5時まで。問い合わせは同館(075・371・9208)。
地域 2015年9月18日 (金)配信読売新聞
自宅で終末期を過ごす人々の〈看取り〉をテーマにした写真展「いのちをつなぐ」が、下京区の東本願寺しんらん交流館で開かれている。写真家の国森康弘さん(41)(大津市)が、滋賀県東近江市の永源寺地区で、家族らに見守られながら人生の最期を迎える人たちの様子を3年がかりで撮影した。国森さんは「命の有限性や継承性について考えるきっかけになれば」と話している。(佐藤行彦)
布団の上で息を引き取り、ひ孫に優しく額をなでられる92歳の女性。往診で訪れた医師や親族とカメラに向かって、笑顔で手を振る末期がん患者の男性。家族全員の手で、そっとフタをされる棺ひつぎ――。
同館ギャラリーには、最期の時を家族と過ごした人々の様々な場面の写真が並ぶ。鑑賞した左京区の無職松本嘉郎さん(79)は、「亡くなる方の最期の瞬間はどれも表情が神々しく、思わず手を合わせたくなった」と語った。
写真展を開いた国森さんは、神戸新聞記者を経て、2003年からフリーのフォトジャーナリストに。スーダンやソマリア、イラクなど数々の紛争地を取材し、多くの若者や子どもが犠牲になるのを目の当たりにしてきた。
紛争地の死を「争いによって強制的に断たれた〈冷たい死〉だった」と感じた国森さん。その後も死を見つめる活動の中で、10年に滋賀県東近江市の永源寺地区で在宅医療に取り組む医師と出会った。
医師に同行し、在宅医療の撮影をスタート。難病のひ孫を看病する高齢女性や、互いに認知症を抱えながら助け合って生活する夫婦など様々な家族と出会った。その中で、ファインダー越しに見えたのは、親しい人と感謝や別れを交わしながら最期を遂げた〈あたたかな死〉だったという。
写真展には作品60点が並び、一つひとつに撮影時の状況を記した。国森さんは「『看取り』は、悲しみだけでなく、充足感や生命のほとばしりを感じる。地域の中で、自分らしく年を重ねて生き切ることが、どの地域でもできたらいい。自分自身の経験に重ねて写真を眺めてほしい」と語る。
30日まで。入場無料。見学は平日午前9時~午後7時、土日祝日は午後5時まで。問い合わせは同館(075・371・9208)。