米国初の子宮移植実施へ 死後提供、出産後は摘出
臨床 2015年11月16日 (月)配信共同通信社
【ニューヨーク共同】米オハイオ州の著名な非営利医療機関クリーブランド・クリニックが数カ月内に子宮の移植手術に踏み切る方針を決めた。ニューヨーク・タイムズ電子版が12日報じた。米国では初めて。これまで3カ国で実施されたが、出産に成功したのはスウェーデンのみで、日本は動物実験の段階だ。
同クリニックは死の直後の子宮提供を想定。提供者側の負担を考慮し、生体移植は退けた。卵巣はあるが先天的に子宮がない女性らに移植する。米国での実施は各国に影響を与えそうだ。
移植を受ける側のリスクも大きく、手術時の危険性に加え、長期的に拒絶反応を抑える薬物が必要になる。生きる上で不可欠な心臓、肝臓の移植とは性質が違うため、クリニックでは、出産する子どもを最大2人に限定し、その後は子宮を摘出する。
スウェーデンでは生体移植のみ実施され、9人の移植で4人が出産した。5人が母親からの移植だった。ほかに移植を実施したサウジアラビアとトルコでは出産に至っていない。
クリーブランド・クリニックで移植を待つ26歳の女性は子宮がない。結婚し養子を持ったが、自分の子どもが諦めきれない。「手術を理解してくれない人もいると思うが、単なる思いつきではない」と強調した。
生体での子宮移植手術は難易度が高く、単なる摘出と違って周囲の組織も慎重に取り出す必要がある。
記事は脳死か心停止後かを区分していない。