「青天井」を再検討 法改正も、具体策これから 暮らし大型Q&A「ニュース早分かり」残業規制
行政・政治 2016年4月18日 (月)配信共同通信社
安倍晋三首相が3月25日の1億総活躍国民会議で、長時間労働を抑制するために「時間外労働(残業)規制の在り方を再検討する」と表明しました。
Q そもそも労働時間の規制はどうなっているのですか。
A 労働基準法は1日8時間、週40時間までと定めています。この原則を超えるのは違法で、罰則もあります。
Q でも、もっと働いている人もいますよ。
A 例外として、労働者の代表者と会社側が書面で協定を結べば、基準を超えて働かせる、つまり残業させることができます。労基法36条がこのことを定めているので「三六(さぶろく)協定」と呼ばれています。残業した時間には、25%以上の割増賃金の支払いが必要です。協定を結んだ場合でも、延長する時間は月45時間までなどと上限があります。
Q 上限があるなら問題ないのでは。
A いえ、決算期など仕事が忙しくて45時間では足りない、というときのために「特別条項」を結ぶこともできます。これにより年6回までなら延長時間をさらに超えて残業させることができます。厚生労働省は、月の上限を超える時間をできる限り短くするよう求めていますが、実質的な規制はなく「青天井」との批判があります。
Q 検討の狙いや方向は。
A 長時間労働を抑制することで家庭生活との両立や、女性の活躍推進を図る狙いがあります。方法としては労基法の改正で上限を設け、違反した際の罰則を設ける案が浮上しています。具体的なことはこれからです。
Q 働く人が早く帰れるならいいですね。
A 上限規制は労働者側が以前から主張していましたが、上限を設けてもその時間があまりに長いと意味がありません。仕事が終わらなければ、実際の労働時間を記録せずにサービス残業をさせられるかもしれません。企業側の反発も予想されます。
それに安倍政権は昨年、労働時間規制を緩める内容の労基法改正案を国会に提出しています。長時間労働につながるとの批判が強い裁量労働制を拡大し、高収入の専門職で働く人を残業代の支払い対象から除く「高度プロフェッショナル制度」を新設するものです。
Q 矛盾も感じます。
A 労働者側からは「本当に実効性のある規制を導入するつもりがあるのか」と疑問視する声も出ています。参院選向けのパフォーマンスに終わらないことを期待したいですね。
行政・政治 2016年4月18日 (月)配信共同通信社
安倍晋三首相が3月25日の1億総活躍国民会議で、長時間労働を抑制するために「時間外労働(残業)規制の在り方を再検討する」と表明しました。
Q そもそも労働時間の規制はどうなっているのですか。
A 労働基準法は1日8時間、週40時間までと定めています。この原則を超えるのは違法で、罰則もあります。
Q でも、もっと働いている人もいますよ。
A 例外として、労働者の代表者と会社側が書面で協定を結べば、基準を超えて働かせる、つまり残業させることができます。労基法36条がこのことを定めているので「三六(さぶろく)協定」と呼ばれています。残業した時間には、25%以上の割増賃金の支払いが必要です。協定を結んだ場合でも、延長する時間は月45時間までなどと上限があります。
Q 上限があるなら問題ないのでは。
A いえ、決算期など仕事が忙しくて45時間では足りない、というときのために「特別条項」を結ぶこともできます。これにより年6回までなら延長時間をさらに超えて残業させることができます。厚生労働省は、月の上限を超える時間をできる限り短くするよう求めていますが、実質的な規制はなく「青天井」との批判があります。
Q 検討の狙いや方向は。
A 長時間労働を抑制することで家庭生活との両立や、女性の活躍推進を図る狙いがあります。方法としては労基法の改正で上限を設け、違反した際の罰則を設ける案が浮上しています。具体的なことはこれからです。
Q 働く人が早く帰れるならいいですね。
A 上限規制は労働者側が以前から主張していましたが、上限を設けてもその時間があまりに長いと意味がありません。仕事が終わらなければ、実際の労働時間を記録せずにサービス残業をさせられるかもしれません。企業側の反発も予想されます。
それに安倍政権は昨年、労働時間規制を緩める内容の労基法改正案を国会に提出しています。長時間労働につながるとの批判が強い裁量労働制を拡大し、高収入の専門職で働く人を残業代の支払い対象から除く「高度プロフェッショナル制度」を新設するものです。
Q 矛盾も感じます。
A 労働者側からは「本当に実効性のある規制を導入するつもりがあるのか」と疑問視する声も出ています。参院選向けのパフォーマンスに終わらないことを期待したいですね。